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コースタイム(22日)
BC(Co1224) 4:30
伏美岳 7:10
8:05
 妙敷山 10:15
10:40
 1612西コル 11:30
12:10
BC(Co1224)  12:55
所要時間  8:25
(120)
■山行年月
2020.03.21~23
■天気
3月21日 晴時々曇
3月22日 晴
3月23日 晴時々曇
■同行者
単独
■山行形態
残雪期登山
■コース:往路/帰路
伏美岳夏尾根短縮
同上
コースタイム(23日)
BC(Co1224) 7:30
尾根取付  8:30
林道ゲート 9:30
所要時間  2:00
コースタイム(21日)
林道ゲート 7:00
尾根取付  9:35
夏尾根Co1120 12:50
13:20
BC(Co1224) 14:00
所要時間  7:00
(30)
左岸林道流出 林道U字カーブ
BCから妙敷山 夏尾根Co1350
ご来光 九合目
芽室岳方面  ピパイロ岳方面
 
戸蔦別幌尻方面 札内~エサオマン
   
妙敷山への尾根 シュカプラ
   
伏美岳東面  ピパイロ~幌尻 
   
戸蔦別と幌尻 妙敷山 
   
勝幌と札内  夏尾根からBC
   
BCから夏尾根 GPSトラック
476.伏美岳・妙敷山(北日高/1792M・1731M)
百花繚乱主役脇役勢ぞろいオールスターキャストの競演にただ魅入る
今季山泊山行第一弾は北日高の伏美岳だ。北海道を直撃し自然災害の脅威を見せつけた2016年8月の台風以降、日高の山域に足を運ぶ機会は激減した。アプローチとなる主要林道が軒並み通行止となっているからだ。特に、十勝側は壊滅状態と言っても過言ではない。伏美岳避難小屋に至る林道も修復の見込みは無きに等しく、雪を利して行くしかないとと腹をくくる(大袈裟だが‥)。
初日はBC(Co1224)まで。のんびりスタートでも良さそうなものだが、久々の重装備、後半苦戦は必至なので早目に林道ゲートを抜ける。固雪の上に僅かに積もる新雪、ラッキーなことにラッセルはほぼない。気温も高く、アンダー一枚でも良さそうだ。だが、山を揺らすような強い風が吹いている。渓谷橋までのニタナイ川左岸沿いの林道は数箇所で法面崩落や増水で道路が大きく抉られている。スキーを脱いで細い流れを渡るシーンもある。後半も沢筋が入り込むところは林道が流失する。極めつけは妙敷山北面直登沢出合で、ここは林道がU字形にカーブするところで、薄暗く鬱蒼としていたはずだ。しかし、すっかり開放的な沢景色に激変していた。勿論、林道など跡形もなく惨状という他ない。プランでは林道が北から西に緩やかに回り込む辺り(Co640)から尾根に取付く予定だったが、少々急な枝尾根を使って直線的に夏道尾根を目指すことにする。最初の20メートル位は緊張を強いられた。特に、右手の沢筋は落ちるとヤバそうな高さがあるし雪質も微妙だ。慎重にシールを利かし危険ゾーンを脱すると作業道も現れ、時にそれを利用し、80分ほどかけて当初予定ルートに合流する(Co890)。たおやかな尾根だが傾斜が出てくると夏道尾根は近い。記憶を手繰り寄せるかのように木の根元に目をやる。「あるある」、お目当てのコース標識とのご対面だ(Co1120)。以前は距離数が何とか読めたが、今は判読不能だ。標識を設置した頃の山はどんな様子だったのだろうか。登山者も管理する人達も活気に満ちていたに違いない。例によって、バテバテになりながらうねった尾根を上がる。予定のテン場はCo1224だが、気持的には、夏道尾根に上がったのでどこでテンパっても良かった。が、尾根を吹き抜ける強烈な風は立ち止まることさえ許してはくれない。やがて、前方左手に妙敷山がゆったりとした山容を見せるようになる。14時前、ようやくCo1224に着く。やや小高くボリュームのある雪庇を選んで雪面を掘る。深さ50センチ以上、防風ブロックも50センチくらい積み上げる。風の影響を最小限にとどめ、テントを立てる。念のためテントをロープで木に固定する。いつもなら1時間で済む作業だが、90分はかかってしまった。テント内に逃げ込むと、2日分の水を作り早めの夕食を摂る。先ずは予定通りの初日だったが、計算外なのは両小指に靴擦れを起こしてしまったことだ。途中でテーピングはしたのだが爪先にウエイトがかかると痛みが出る。可能ならピパイロ岳までと密かに考えていたが、早くも暗雲が立ちこめる。全ては翌日の判断となるが、完調とは言い難い状況ではある。結局、轟轟たる風音は明け方まで続いた。
2日目は4時30分ヘッデンスタートを切る。強風は治まり最高のアタック日和りになりそうだ。東の空が朱から群青へのグラデーションに染まり、40分もするとご来光だ。暖かさを感じながら高度を上げる。ガリガリ雪面が怖かったが、それは適度に緩んでいる。Co1450で方向は真西に転じると樹木は疎となり、ジグも心なしか大きくなる。右手の伏美岳北東斜面が何とも魅力的だ。九合目辺りまで登ると妙敷山の左奥に勝幌が、右に札内岳とエサオマンが望めるようになる。北側と言えば、パンケヌーシ岳から芽室岳、剣山までが見渡せる。線状の連なりというよりは面としての塊というイメージだ。眼前には頂上へと続くたおやかな斜面が広がる。眩しさに耐えながら一登りすると奥に一段高いピークが現れ、ほどなく、朱色の山頂標識に迎えられる。雪のある時期としては2013年10月以来の登頂で、そんなに前だったかという気持ちになる。チロロ、ピパイロ、戸蔦、幌尻、エサオマン、札内、勝幌‥遠くカムエクも顔を覗かせる。百花繚乱というべきか、主役脇役達の競演に圧倒される。見慣れた景観のはずだが、毎回驚かされるのは何故だろうか‥。ベールを纏ったような美しさ、尾根筋のシャープなラインはまるで鋭利な刃物の様だ。険しさ、静寂、凛とした空気感‥。どんな言葉も陳腐に思えてしまう。そうだ、ここは言葉が不要な世界なのだ。前日のような強風は治まったとはいえ、刺すような冷たさは低山のそれではない。ピーク西端からピパイロへの支稜を目で辿ってみる。靴擦れを抱えたままでピストン出来るほど易しくはなさそうだ。今回はキャンセルすることにし、サブプランの妙敷山経由を決める。景観に酔いしれること小一時間、東隣の妙敷山に向かう。吊尾根沿いに東斜面を一気にコルまで滑り降りる。深雪パウダーは望むべくもないが、それなりの雪質で滑りを楽しむ。コルでシールを付け妙敷山に登り返すが、意外と尾根が細いので気を使う。特に、1612東コルからが結構しんどい。片方のシールのテールフックを無くしてしまったのも痛かった。雪庇の張り出す偽ピークの北面直下をトラバースすると、ようやく、丘状の本峰とのご対面だ。苦しみながらもラストはアッサリとピークに立つ。150メートル上がるのに90分ほども要してしまった。こんな体たらくではピパイロなど夢のまた夢、断念は正解だった。東側にはめぼしい山は帯広岳だけ。十勝平野が、そして、勝幌がグッと近くなる。だが、眺望ということでは手前の偽ピークの方がはるかに上だ。伏美岳とはアングルが少し異なるが、馬蹄形の端から全体を見渡す感じでこちらも北日高の展望台としては申し分ない。コルまでは往路を下降するが、北斜面は概して急で、転倒でもしようものならただでは済みそうもない。強く慎重なエッジングを心掛ける。1612東コルからはシールを再装着。吊尾根をCo1630付近まで上がり、夏尾根に戻る。空身で伏美に登り返し1本滑れば良かったと思うも後の祭りだ。一回りしてBCに戻ったのが13時前。時間的には余裕で下山できる範疇だが、疲れていたし、靴擦れも治まらない。林道の雪がベタつくのではとの不安もあった。翌日、早い時間帯に下山することを決め、午後はテント内でダラダラと過ごす。ストーブがいらないほどの暖かさで、山にも春の訪れである。
3日目、夜半降雪があったが基本的には好天だ。その分、冷え込みは厳しく、テント外張端の雪が凍り付いている。ペグなども掘り出すのに一苦労する始末だ。BC撤収で一汗かき、下山を開始したのが7時30分。軽くなったとはいえ荷はズシリと重い。滑りを楽しむ余裕などなく、とにかく、転ばないように下降するので精一杯だ。それでも3回も転倒してしまった。頭から雪面に突っ込んだ時などはメットを被っていて良かったと。尾根取付まで1時間もかかったのだから難儀したということになる。だが、苦あれば楽ありで、林道は全く快適だった。スピードを抑えるのも度々で、25分ほどで渓谷橋まで戻る。ここからはスキー脱着を4回ほど。林道の被害も大きく高低差も僅かだが、望外の滑りを得て車に戻る。林道を1時間でカバーできた訳で、目論見通りというべきだろう。
今回は、あわよくばピパイロ岳までと思っていたので、ワカン、アイゼン、ルート旗なども装備に加えていた。結果として、不要な装備となったが、これはままあることなので後悔はない。問題は靴擦れの発生だ。考えてみると、これまで、固雪の林道シール歩行で発生することが多い。テーピングやバックル調整など、傾向を把握し対策を講じるべきだった。体力的には、腰痛の不安があったが発症することはなく、筋力等の衰えも想定範囲内だったのは好材料だ。また、ルート取りやBCの選定などについてもおおむね妥当と思われる。但し、食糧計画については、フリーズドライ食品をメインにしていたが、味はお世辞にも美味しいとは言えない。重量的には微増が避けられないが、もう少し「美味しさ」に拘って見直したい。
いずれにせよ、林道の被害状況を確かめながら、伏美と妙敷を巡るという最低限の目標は達成できた。加えて、得難い大眺望である。満足度は大きい。何より、歳を重ねてもこうして山を上がれることの喜びを痛感する山行となった。