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穏かな三条沼 テント設営完了
   
尾根から稜線 背後の1662峰
   
前天からニペ 前天狗最高点
   
北側二重稜線  辿りしルート
   
天狗からニペ ヌプン九沢方向
   
 1740からニペ 山頂標識 
   
山頂風景  直下の岩塔群 
   
トラバースP  下山時の岩塔
   
 天狗岳方向 迫力の沢源頭
   
下山時のP方向 GPSトラック
コースタイム②
BC(Co1530) 6:05
前天狗  9:00
 ニペソツ山 12:10
所要時間  6:05
ニペソツ山 12:20
前天狗 14:40
BC(Co1530) 16:30
所要時間 4:10
コースタイム①
登山口 8:30
三条沼 11:40
 BC(Co1530) 14:50
所要時間  6:20
■山行年月
2019.02.09~11
■天気
2月0911日 晴時々曇
■同行者
単独
■山行形態
積雪期登山(山スキー)
■コース:往路/帰路
幌加温泉C(夏道)
↑(東尾根)
コースタイム③
BC(Co1530) 7:15
Co1111  9:30
 登山口 11:00
所要時間  3:45
468.ニペソツ山(東大雪/2013M)
極寒の稜線歩きに心折れそうになるも執念という力に導かれ登頂果たす
雪のニペソツ山は美しさも厳しさも一級品だ。その山容に魅せられて、何度も杉沢コースから挑戦したが、前天狗までが精一杯だった。ならばということで、超マニアックな南稜ルートからトライし、登頂の栄に浴したのが4年前だ(2015年4月)。これはこれで私の中では価値ある山行なのだが、前天狗側からの再チャレンジを断念させるには不充分だった。2月厳冬期、2泊3日でプランを組む。間際になって最強寒波の到来が伝えられるが、最高の雪質が得られるとポジティブに考える。
【1日目 登山口(Co670)→三条沼→シャクナゲ尾根BC(Co1530)】
コースは幌加温泉ルート。1日目はベースキャンプ(Co1530付近)までで標高差は860メートルほどだ。登山口で準備をしていると男女2名Pが到着。その荷からしてどうやらニペソツ組らしい。彼らとは相前後して山行をともにすることになる。林道には今朝のものと思われる明瞭なトレースがあるが、ゲートから左手の沢方向に向かっている。ここからは浅いラッセルとなるも、30分ほどで前述のトレースが合流してくる。若干のショートカットにはなるのかもしれない。トレースはユウンナイ川の渡渉ポイント(Co840)で対岸に渡り、ニペソツの夏道方向へ向かっている。私は直線的にCo1300台地に向かう東尾根を予定していたが、ここに至って、どこまで行くのか謎のトレースを拝借してみることにする。いくら乾雪とは言え、避けられるものならラッセルは避け、体力を温存したい。40分ほどのまったりとした林道歩きを終えると、Co1020付近で最初の急登が始まる。勿論、トレースはしっかりとある。傾斜が緩むと左手に三条沼が現れる。雪に覆われていても穏やかな空間であることは間違いない。それにしても、驚くべきは先行者のトレースで、完璧に夏道を辿っている。コースサインがあるとはいえ、実際には小刻みに曲がりくねっている場合も多いからだ。おそらく、何度もこのコースを歩いているのだろう。Co1300台地への急登が始まる手前で男女2名Pが先行する。この急登はせいぜい標高差60メートルほどだが、微妙なキックターンが必要で、シャクナゲ尾根に出るまでの唯一の危険エリアである。もうすぐでCo1300台地に出るというところで先行者に追いつく。こちらも男女2名Pだった。トレース感謝の旨を伝え、無傷の樹林帯に飛び出す。夏道に拘らず、BC予定地にコンパスをセットし直線的に進む。後続者達も追随するかと思えば、忠実に夏道を辿っているようだ。当然のように、途中で交差することもあるのだが、一緒になることはない。互いの矜持のなせる業か、それとも、単なる意地の張り合いか。広かった尾根が次第に収斂してくる。樹林帯を抜け出すとシャクナゲ尾根だ。天気が良ければ、左手にウペペサンケが見えるのだがガスって視界はない。天狗やニペソツもガスの中だ。6時間20分ほどかかって、シャクナゲ尾根Co1530のベースキャンプ予定地に着く。私のすぐ後を出たパーティは先へ向かう。どこまで行くのだろうか‥。有難きトレースの主は一向に現れない。樹林帯にテントを張ったのか、それとも日帰りだったのか。そういえば、背負っている荷が小さかったような気もするが定かではない。1時間ほどでテントを設営し初日の行動を終える。底冷えする寒さに耐えながら、19時にシュラフに潜り込む。テント内に紛れ込んだ雪が全く溶けないのは驚きだった。
【2日目 BC→前天狗→ニペソツ山→前天狗→BC)】
2日目はニペソツアタックだ。予定は4時30分ヘッデンスタートなので2時に起床する。だが、テントを揺らす強風が収まらない。この状況では強行できない。8時間もあればニペソツ往復は可能とみていたので、7時くらいまで様子待ちとする。突然というか、6時前にピタリと風がやむ。星も出ており、予報通り好天が期待できる。アタックザックを背にスタート切る。1662峰の東面をトラバース気味に越えてゆく。小尾根に添って上がり、Co1780付近から左手の浅い沢形にジグを切る。振り返ると、小尾根を辿る2名Pが見える。昨日のパーティだろうか。傾斜が強く、雪質や雪庇崩壊にも気を付けなければならない。今回は稜線までスキーを使えそうで、これはラッキーという他ない。ただ、ここは予想以上に消耗してしまった。Co1840で稜線に出ると、直ぐ上にコース標識があった。スキーをデポしアイゼンを履く。稜線上は、それまでの穏やかさとは一変し、強烈な風が吹き荒れている。完全武装はしているものの、身体が中々順応してくれない。風速は優に10メートルは超えるだろう。体感的にはおそらくマイナス30度くらいか。右奥に小天狗や石狩連峰が視界に入ってくる。やがて、前天狗最高点(Co1888)の左にニペソツが見えてくる。大槍は僅かにガスに包まれ一層険しさを見せる。まるで別の山の様で、思わず、「あんなに険しかったか!」とつぶやく。雪は飛ばされ、風がなければ気分よく歩けるに違いない。前天狗まで約3時間。予定より30分は遅いが、時間はまだ9時過ぎ。迷うことなく先に進む。定番アングルで写真を撮るも、オーバーグローブをつけたままでは、カメラの出し入れもシャッターを押すのも一苦労だ。岩場を下り、天狗平の登りにかかると一面固雪となる。アイゼンが心地よく軋む。以降、天狗岳のトラバース、最低コルまでの下降は、おおむね登山道は出ており、所々で踏み抜く程度だ。最低コル手前でストックをピッケルに替える。コルからトラバースポイント(Co1900)までは辛かった。連続する踏み抜きは体力を猛スピードで奪ってゆく。それに加えての強風、うかうかしていると身体が持っていかれそうだ。左側は岩塔が恐ろしいまでの迫力を放ち、絶壁が大口を開け待ち受けている。標高差170メートルを登るのに75分を要し、雪中でもがいていた感じだ。トラバースラインの処理が最も難しいと見ていたが、嫌らしい雪の付き方(カリカリ状態)ではなかったので助かった。アイゼン効かして慎重に通過する。西側に回り込むとピークは近い。適当にルートをとりながらボンヤリとした高みを目指す。BCを出て6時間強、何とかピークに辿りつく。ガスっていて眺望は効かない。そそくさと証拠写真を撮り下山の途に就く。直下で後続のパーティと行き違う。前日、相前後して行動してきた彼らだった。東側に回り込むと幾分眺望は良くなる。天狗岳も天を衝く鋭さだ。ニペソツ北斜面に突き上げる沢の険悪さも目を引く。カメラに収めたいところだが、バッテリーが悲鳴を上げ万事休す。コルまでは、特に足の運びに気を配りつつ、耐風姿勢も忘れない。コルから少し天狗に上がったところに(Co1740)に稜線ルート中、唯一のオアシスがある。東側の岩場で風を凌ぎながら一息つく。その間に後続者が先を行く。長時間、極寒ゾーンに身を置くことは危険極まりなく、歩みを止めることはできない。登行を再開すると、高い高い天狗の登り返しに耐え、天狗平から前天狗への岩場を気力で登る。前天狗まで戻ると少しだけ安堵感に包まれ、そこから15分でスキーデポ地だった。一気に風が弱まり、まるで別天地だ。滑りを楽しむ余力など残されているはずもなく、確実に往路を辿りBCに戻りつく。トータル10時間25分、プランより2時間以上も要した訳で、山行の厳しさを物語る。途中、何度も心が折れそうになったが、都度、執念という根拠なき力が導いてくれた。大袈裟に言うと「精魂尽き果てた」感じだが、それだけに、達成感をもまた最大級である。登頂祝いにとシュラフに入れてあった(凍結防止のため)伊予柑を食す。この上ない美味しさが体の隅々までしみわたる。この夜も厳しい寒さとテントを揺らす風に悩まされたが、首尾よく登頂を決めた後だけにほとんど気にならない。復路のルート取りをどうするか、などと考えているうちに眠りに落ちていた。
【3日目 BC→Co1111(東尾根)→ユウンナイ川渡渉P→登山口】
3日目は下山するだけなのでのんびりスタートで良さそうなものだが、どうも気がせいてしまう。これも性分だから仕方がない。テントを撤収し、20キロ超のザックを背負う。幾分軽い感じがするのはピークゲット効果だろうか。東にコンパスをセットし平坦な樹林帯を降りてゆく。東端から急斜面をCo1254とのコルまで降りる。ルートは前年辿った東尾根なので知見はある。夏道の北側を直線的に降りるイメージだ。樹林帯は適度な変化があり、良好な雪質とも相まって重装備でも楽しい滑りをプレゼントしてくれる。Co890付近で林道の往路トレースに合流すると、そこから5分で渡渉ポイントだった。無理矢理ノンシールで突破し、林道分岐まで戻る。ここまで降りれば完全に緊張感から解放される。穏かな麓の陽射しを浴びながらシールを付けて登り返す。ラストは快適な林道滑降で締めくくる。
●山行アレコレ 今回の山行で痛感したことは、稜線上(2000メートル前後)における厳しい気象条件だ。厳冬期では当たり前なのだろうが、私の冬山登山史の中では経験したことのないレベルで、体力の消耗は勿論のこと、思考力や判断力を奪ってゆく。一つのミスが取り返しのつかない事態を招くに違いない。万全な装備で臨めたことが登頂に大きく寄与している。その上で、厳しいなりに天気が安定していたことがあげられる。初日の先行者のトレースといい、幸運という他ない。ルート的には、ユウンナイ川渡渉P~Co1300台地が往路と復路が各別となったが、難易度にほとんど差はなく、好みの問題だろう。経験上、地形よりコースサインを気にしてしまう傾向があり、右往左往するケースが多い。それよりも、地形に気を配りながら思い通りのラインを描く方がいい。冬ならではのルートというのもある。BCの設営ポイントに関しては、今の時期ならシャクナゲ尾根Co1530~1540付近がベストだろう。1662峰付近にも設営可能な場所はあるが、理想的とは言い難く、スケジュールメリットもあまりない。残雪期にでもなれば話は異なるが‥。結果として、厳冬期のスケジュールとしては2泊3日に落ち着くことになる。当初、1泊2日でもと思ったが、私の場合これは全くの論外だった。いずれにせよ、単独で厳冬期のニペソツ山登頂を成し遂げ、体力も気力も極端に萎えていないことが確認できた。素直に喜び、自分を称えたいと思う。だが、調子に乗ってはいけない、もう若くないのだから。