mysoarertown.com Motor Sports(モータースポーツ)                                  2001.05 start/2013 06 30 renewal start
トップ  自己紹介  マイソアラ  登山トップ  ギャラリー  ブック  BBS  モータースポーツ 映画日記  リンク

マイソアラタウンはリンクフリーですが、予告なく閉鎖することがありますのでご了承下さい。

メッセージはこちらまで

copyrigrt(c)2001〜2004 shun1@ikeda All rights reserved

Vol.26 バーレーン6時間レース(2015年WEC第8戦)
★ジャンル レース
★月日 2015年11月19日(木)〜11月21日(土)
★場所 バーレーンインターナショナルサーキット(バーレーン)/ 1周5.412キロメートル
★レースカーデータ@ トヨタTS040HYBRID2015年仕様 1号車
★ドライバー ★予選結果 ★決勝結果
A・デビットソン、S・ブエミ、中嶋一貴 1分42秒158(LMP1 5位 +2.422) 総合4位(196周 −3Laps)
★レースカーデータA トヨタTS040HYBRID2015年仕様 2号車
★ドライバー ★予選結果 ★決勝結果
A・ブルツ、S・サラザン、M・コンウェイ 1分42秒462(LMP1 6位 +2.726) 総合3位(196周 −3Laps)

★思いつくままに感想など‥
WEC2015年シーズン最終戦の舞台は中東、西アジアのバーレーンである。富士、上海と続いたウェットコンディションとは無縁の砂漠気候のもとレースは闘われる。注目は、最終戦まで持ち越されたLMP1-Hクラスのドライバーズタイトルの行方で、ポルシェ17号車(155P)とアウディ7号車(143P)にその可能性が残されており、ポルシェの二冠阻止に向けたアウディのレース戦略が見ものである。トヨタ関係では、直前になってA・ブルツがバーレーン6時間レースを最後に現役生活にピリオドをうつことが発表された。2012年、トヨタのWEC参戦以来、エースドライバーとしてチームを引っ張り、2014年はトヨタのダブルタイトル獲得に大きく寄与したのは周知のとおりだが、全盛期の力はすでになく、今季などはハイテクノロジーのLMP1マシーンを持て余していた印象だった。引退決断は正しい判断だったと思う。アウディチームのように、別のポストをトヨタが用意するのかと思ったがそうではなさそうである。トヨタにとっては、レース以外のところでのビックニュースとなったが、彼のためにも良いレースで有終の美を飾りたいところである。公式練習ではアウディ勢が速いところを見せるが、予選を終えてみるといつも通りポルシェ勢がフロントローを独占する。ポールは#17で1分39秒736と唯一40秒をきるタイムを刻む。以下、僅差でポルシェ#18が続き、2列目にアウディ勢が41秒台、3列目に42秒台のトヨタが並ぶ。紛れの無いドライコンディション、ポルシェ優位の状況に変化はない。
決勝レースも序盤はポルシェ#17、#18、アウディ#8、#7、トヨタ#1、#2のオーダーで進んでゆくが、18周目に最初の波乱が訪れる。ポルシェ#17が燃料系のトラブルでピットイン。9分ほどの修復作業でコースに戻ったが5ラップダウンとなり、チャンピオンシップの行方に暗雲が漂う。ポルシェ#18もトラブルを抱えているのか、ペースが上がらない。アウデイ勢がこれを見逃すはずがなく、久々にワン・ツー体制を築く。トヨタ勢も順位を上げライバル達を追うがじわじわと離されてゆく。スタートから2時間ほどするとサーキットは闇に包まれ、雰囲気のよいナイトレースとなるが、トヨタ#1の中嶋一貴がLMP2マシーンと接触、フロントカウル交換を強いられる。非は中嶋一貴にあった印象で、ペナルティが出ないだけラッキーだった。上海もそうだったが、このところ彼はあまり乗れていないようだ。僚友#2が替わって4位に浮上する。レースをリードするのはアウディ7号車で、A・ロッテラーが切れた走りを見せる。彼はやはり絶対的エースなのだ。しかし、レースが半分を過ぎたあたりでサポート役で2位追走の#8がブレーキ系のトラブルでピットイン、修復に15分を要することになる。ポルシェとアウディが1台ずつトラブル後退したことにより、トヨタは労せずして3位4位にポジションを上げる。3位を走るのは#2で、ブルツの引退レースということもあるのか、迫る#1の先行を許さない。というか、一見、仲間内のガチンコバトルのように映ったが、#2を表彰台へというチームオーダーがあったのだと思う。肝心のドライバーズタイトル争いだが、アウディ#7が優勝するためには、このレースで1位となり、ポルシェ#17が5位以下になることで、一方、ポルシェ#17のそれは4位以上で完走することである。アウディ#7は1位フィニッシュしかないが、2番手のポルシェ#18を中々引き離すことができない。決定的だったのはルーティンピット作業におけるタイヤ締め付け強度不足のため緊急ピットインを行ったことだ。アウディらしからぬミスだが、これで、ポルシェ#18の先行を許し、大きなギャップを築かれることになる。序盤、トラブルで大きく遅れたポルシェ#17は最速ラップを刻みながら上位を追い、ペース的にはトヨタ勢をパスできる可能性も出てくる。自力でタイトル獲得と行きたいところだったが、終盤にきて再び不調に見舞われ、完走も危うい状況となる。最終盤は、専らM・ウェーバーのドライブするポルシェ#17の走りに注目が集まる。ヘルメット越しにいかにも不安げなウェーバーの様子がTV画面に映し出される。「最後まで走ってくれ!」という彼の叫びが聞こえるようだった。祈るように静観するピットの様子も印象的だった。彼らの願いが天に通じたか、ポルシェ#17は9ラップダウンの5位でフィニッシュし、タイトルを決める。優勝はポルシェ#18で、6連勝でシーズンを締めくくった。2位にはアウディ#7、3位に3ラップダウンでトヨタ#2が入り、トヨタ勢としては開幕戦シルバーストーン以来の表彰台となった。ライバル達の自滅で得た表彰台ではあるが、屈辱的シーズンに終わったトヨタにとっても、引退するブルツにとっても有終の美となったことは間違いない。
2015年シーズンは、ポルシェが速さと強さでル・マンとWECシリーズを席巻した訳で、王者にふさわしい文句なしの戦績である。名門ポルシェのレースを闘う意味がいかに高次元なものかわかるような気がする。アウディが開幕2戦を連勝したのは流石に新耐久王で、したたかで粘り強い走りを見せてくれた。速さの劣る部分を戦略でカバーし、シリーズを盛り上げてくれた。「敗れて強し」の印象である。恥ずかしいシーズンに終始したのがトヨタである。勿論、日産もそうだが、ル・マンのみの参戦であり、同列に扱うには無理があろう。トヨタの主たる敗因は、マシーンのポテンシャルが決定的に劣っていたことで、ライバル達の進化度合を過小予測したのが全ての発端である。屈辱的敗北を招来した責任は大きく、関係者の更迭や辞任など、組織としてケジメをつけるのは当然だろう。その他にも、非力な2号車のドライバーラインナップ、低いレースマネジメント能力など、克服すべき課題が山積している。2016年シーズンに向けては、まずは前記諸課題を改善・是正することが重要である。あえて指摘させてもらうとすれば、トヨタには「速い車さえ用意すれば勝てる」との思いがあるようだが、レースはそんな単純なものではない。レースの戦略や戦術、ピットの判断や指示、ドライバーの力等々、トヨタには車以外にも問題点があることをこの際指摘しておきたい。そのうえで、挑戦者として「攻め」の闘いを展開すべきである。特に、ル・マンに関しては、「勝利は悲願」と言いながら、トヨタの闘い方は消極的で、その強い気持ちは伝わってこない。勝利へのベクトルがライバル達に比べて小さく希薄なのだ。リソース問題が常にささやかれるが、WECはいまやハイテクノロジーを争うハイレベルの闘いである。闘う意義は充分にある訳で、にもかかわらずそれを惜しむくらいなら潔く撤退を決断すべきなのだ。
最後にトヨタの来季のマシーンについてだが、来季のライバル達の上昇度をどの程度見込むのかということが前提条件となる。仮に、ライバル達の上昇度が「ゼロ」の場合、トヨタはル・マンで7秒弱、ほかの6時間レースで3秒前後タイムを縮めなければならない。新設計のマシーンとなるのだが、様々な制約・条件の中で今季のギャップを解消する ことすらかなり難しいと私は見ている。それどころか、アウディもポルシェも今季ほどではないにせよ、ポテンシャルを必ず上げてくる。彼らと同等あるいはそれ以上の「凄い車」を作るのがいかに高いハードルか容易に想像がつく。トヨタの技術力が問われるオフになる。