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Vol.21 ル・マン24時間(2015年WEC第3戦)
★ジャンル レース
★月日 2015年6月11日(木)〜6月14日(日)
★場所 サルテサーキット(フランス)/ 1周13.629キロメートル
★レースカーデータ@ トヨタTS040HYBRID2015年仕様 1号車
★ドライバー ★予選結果 ★決勝結果
A・デビットソン、S・ブエミ、中嶋一貴 3分23秒767(LMP1 8位 +6.880) 総合8位(386周 −9Laps)
★レースカーデータA トヨタTS040HYBRID2015年仕様 2号車
★ドライバー ★予選結果 ★決勝結果
A・ブルツ、S・サラザン、M・コンウェイ 3分23秒543(LMP1 7位 +6.656) 総合6位(387周 −8Laps)

★思いつくままに感想など‥
先ずは本番2週間前に行われる公式テストデーについて触れておこう。今年は5月31日(日)に行われ、ル・マンに向けての最終調整が行わた。トヨタは、ル・マン仕様のロードラッグパッケージを持ち込んだ。スパ惨敗後、テストデーぎりぎりまで開発が行われたマシーンの高いポテンシャルに期待が高まる。雨が断続的に降り続く生憎のコンディションとなったこともあり、トヨタの2台は、速さや耐久性、タイヤの性能などについての確認作業を粛々と行った印象である。結果、2回のセッションでトヨタが記録したベストタイムは、#1が3分25秒321(午後7位)#2が3分26秒929(午前7位)となった。トップのポルシェは昨年のポールタイムを上回るラップを記録するなど、圧倒的な速さを見せつけた。アウディ勢も好調で、トヨタはドイツ2強に大きく離される結果となった。トヨタ陣営は、「積極的にタイムを狙いにいかなかった」としている。確かに、本来、スパで消化すべきテストをル・マン公式テストデーで行っているわけで、メニューが盛沢山であったことは想像に難くない。だが、私は、速さではライバル達に遠く及ばないことは分かっていたとみている。なので、レースペースを意識したセッティングに専念したのではないだろうか。いずれにせよ、トヨタにとってスパ後の状況好転の兆しはなかった。前年の状況とは大きく異なる展開に、レースという競争社会の過酷さを垣間見る思いであった。
迎えたル・マン本番。3回の予選を通じてのベストラップでスターティンググリッドが決まる。ポルシェ、アウディ勢がここでも速さを見せつける。ポルシェ#18が3分16秒887でポールを獲得。同#17、同#19も17秒〜18秒台を記録し、ポルシェが上位を独占する。以下、アウディが19秒〜20秒台で続き、わがトヨタは、#2が3分23秒543(7位)、#1が3分23秒767(8位)と定位置におさまる。昨年のポールタイムにも及ばないが、これは明らかにレース重視のセッテイングで予選を戦った結果である。決勝重視の戦略は理解できるものの、裏を返せば、ロードラッグ仕様も速さでは劣勢にあることを証明したようなもの。テンションは上がるはずもなく、ひたすら、本番での大化けと、上位勢のトラブル脱落に期待するしかなかった。
決勝レースは、ポルシェとアウディのドイツ2強、新旧耐久王の争いとなったが、結果はポルシェが安定した速さを発揮して#19が優勝。#17が1Lapsダウンの2位で、復帰2シーズン目でル・マンを席巻する。#7アウディが2Lapsダウンの3位に入り、トヨタは#2が6位(8Laps↓)#1が8位(9Laps↓)でレースを終える。上位陣とはタイム差があるため、競い合うシーンはスタート直後だけで、以降は淡々と自分たちのレースを展開する。#1トヨタがA・デビットソンドライブ時に他車接触クラッシュを起こした(ピット修復13分)のを除くと、全くのクリーンレースだった。#9アウディのトラブルで#2が順位を一つ上げただけで、ライバル達には大きく水をあけられてしまった。「自分達がノントラブルでミスなく走り続ければ状況は開けてくる」とトヨタ陣営は読んでいたはずが、ポルシェやアウディは速さだけでなく、耐久性も兼ね備えていた訳で、マシーン開発でもレース戦略面でも見事なまでの完敗である。サルテの長いストレートで、青いカラーリングのTS040がアサッリとポルシェやアウディにパスされる。トヨタファンにとって見たくないシーンだった。それも、チャンピオンナンバー「1」を付けてである。前年、WECタイトルを獲得して、来期は悲願のル・マンだ!、と意気込んでいた結果がこれである。屈辱的・歴史的敗北を喫したわけだが、TMGが努力を欠いていた訳ではない。レースラップもベストラップも昨年のル・マンを上回るタイムを刻んでいる。レースラップは1秒ほど短縮し、ベストラップも#1が3分20秒896を記録している。マシーンのポテンシャルは上がっているが、進化の度合においてポルシェやアウディに及ばなかったのである。Vol.19〜20で触れたが、ライバル達の上昇度を過小予測し、2014年仕様車の正常進化で今季を闘えるとの情勢分析にこそ問題があったというべきだろう。勿論、パワーユニットやハイブリッドシステムなどに関して、技術的な限界に近づきつつあるというのも背景的要因である。メーカーの威信をかけた技術開発は停滞が許されない。とりわけ、スポーツカーや高級車販売に軸足を置くドイツの2大ワークスにとって、ル・マンは特別なレースなのである。彼らの本気度に比べれば、トヨタのそれなど希薄である。ル・マンに勝つためには何をなすべきかを知り尽くしているポルシェやアウディ。彼らを凌駕するにはまだまだ力不足である。ル・マンに勝つための最低条件として、資源を惜しんではいけない。つまり、人・物・金である。TMGの活動には常にリソースの問題がささやかれる。ポルシェの25パーセント、アウディの50パーセントと言われる予算では、先進技術の競争には勝てない。3台体制の確立や、より速い勢いのあるドライバーの起用も重要な要素である。このあたり、トヨタは極めて消極的で、勝利へ向けての貪欲さが決定的に欠けている。なお、アウディやポルシェのように、ル・マンとマーケティングの融合を指摘する声があるが、肝心のレースがエキサイティングなものでなければ意味がない。勝負できるマシーンを用意することが先だ。国内におけるル・マンキャラバントラックなども私は無意味だと思う。それをするなら、昨年、WECチャンピオンに輝いたとき全国紙に広告を打つべきだったし、TVCMなどにも活用できたと思う。何かちぐはぐさを感じる。そこを打開するためのトヨタモータースポーツ活動の「GAZOO Racing体制」への一本化らしいので、今後の動向を見極めたい。とにもかくにも、「参加に意義あり」のレベルではなく、「勝利のために」レースをするのである。トヨタレーシングの関係者は、レース直後に「スピード不足(中嶋一貴)」「ル・マンを理解できていない(村田Hyプロジェクトリーダー)」「ライバルは一枚も二枚も上(トヨタ嵯峨専務)」などと敗因を語っている。私など、30年近くル・マンに挑戦してきたトヨタが「何をいまさら」という思いがするが、とにかく、この屈辱をばねに飛躍してもらうしかない。GAZOO Racingはレース終了直後に、今回の成績について、不本意な結果とし、来年に向けてTS040の全領域における改良を行うとコメントしている。当然だが、一方で、「信頼性を証明し、優れた高速性能を披露した」とも評価している。甘さの残る総括というべきだろう。批判はさておき、2016年シーズンにどんな車を用意するのか、注目していきたいが、忘れてならないのは、トヨタはまだル・マンに勝っていないということだ。挑戦者である限り、闘いは保守的であってはならない。変わり映えのしないドライバーラインナップ、耐久性だけに重きを置いた平凡なマシーン、最初から数的不利な2台体制‥。こんなことを続けている限り勝利の女神は微笑まないだろう。チャレンジャーである以上、ライバル達を凌駕する体制で臨むのは当然で、要は、本気で勝ちにけるかどうかである。欧米のメーカーなら、とっくに優勝しているはずで、安易に「壁が高い」などと言って希薄な勝利欲を正当化してはいけないのだ。
WECは8月末から後半戦に突入する。6時間レースが5回続くのだが、トヨタはどう闘うのか。マシーンの基本的なポテンシャルや力関係は変わらないと思われ、トヨタは劣勢を強いられるだろう。常に5番手6番手争いとなり、妙味を欠いたレースとなるに違いない。そこで提案だが、後半戦は参加をキャンセルし、リソースを来シーズンの新車開発に振り向けてはどうだろうか。チャンピオンチームとしては情けない限りだが、かなりのハードワークでも埋められないポテンシャルギャップがあるからだ。寂しさは否めないが、私なら恥ずかしいレースを5回も見せられるよりは、来期の躍進を選択する。