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Vol.18 WEC2015年シーズン開幕直前 トヨタは今季1勝もできない!
★ジャンル ニュースあれこれ‥

★思いつくままに感想など‥
WEC世界耐久選手権は、3月27〜28日、ポール・リカールサーキット(仏)でのプレシーズンテスト「プロローグ」を終え、いよいよ今季開幕戦シルバー・ストーン6時間レースを迎える。シーズンイン直前の情報を織り込みながら、最高峰LMP1-Hクラスの2015年シーズンを独断と偏見で占ってみたい。
初めに、各ワークスマシーンの技術概要に触れておこう。
ポルシェは昨年に引き続き、2リッターV4ガソリンターボエンジンとともに、運動エネルギー回生と熱エネルギー回生の二つの回生システムを搭載する。エネルギー貯蔵システムがリチウムイオンバッテリーというのも昨年同様である。ただし、1周当たりのあたりのエネルギー放出量(「ル・マン換算」以下同)については、6MJから最大ランクの8MJを選択。これにより、システム自体の重量増加が発生するが、ポルシェはすべてのコンポーネントに手を入れ、軽量化を実現している。そのほか、モノコックや空力、サスペンションなど、あらゆる部分で改良が加えられている。
アウディは、4リッターV6ディーゼルターボエンジンを搭載し、フライホイールタイプの運動エネルギー回生システムを2014年に引き続いて採用するが、エクステリアは大きく変化している。空力に関する抜本的な見直しとともに、エネルギー放出量は2MJから4MJへと倍増し、フライホイールのエネルギー貯蔵量も最大700KJへと増加している。14年比で17パーセントの向上で、燃料使用量も1周当たり2.5パーセント減少する。4リッターV6 TDIエンジンについても更なる開発が進み、最大558馬力を発生する。さまざまな性能アップを実現しつつも、最低重量870キログラムを満たす軽量化が図られている。
今季から「GT-R LM NISMO」で復活する日産だが、本サイト「Vol.17」で触れているのでここでは割愛する。
ディフエンディングチャンピオンのトヨタは、2014年仕様を「正常発展」させたTS040 HYBRIDで参戦する。つまり、3.7リッターV8ガソリン自然吸気エンジンと運動エネルギー回生システム(THS-R)、スーパーキャパシタの組み合わせで総出力1000馬力以上を発生する。放出エネルギー量は前年同様6MJを採用するが、空力を最新なものにリファインするとともに、タイヤの効率使用を意図したサスペンションの設計見直しを行い、重量の軽減が図られている。また、性能向上を意図したスーパーキャパシタの構造変更も行なっている。
ポルシェは昨年12月に、アウディとトヨタは今年1月にそれぞれニューマシーンのシェイクダウンを終え、以降、個別テストを繰り返している。各ワークスとも新車両で2万キロ以上を走破するという順調さを発揮し、熟成度は進んでいるとみていいだろう。その実力確認はシルバー・ストーンまで待たなくてはいけないが、プレシーズンテストを終えて見えてきたものがある。言うまでもなく、プレシーズンテストは各チームがそれぞれのテストプランに基づいて行動する訳で、タイムの比較は意味がない。それよりも、どれだけロングランできたかが評価のポイントとなるといわれている。テストは2日間、5セッションで行われた。ポルシェは全セッションで最速タイムをマークし、ロングセッションでも安定した走りを見せた。アウディも速さと安定度を取り戻し、総合で3番手と4番手タイムを刻む。トヨタは2日目午後に1号車がオイル漏れを起こしストップ。2号車も縁石にマシーンを打ち付け白煙を上げるシーンがあった。タイムも5番手6番手で、ポルシェに対し2.7秒の遅れを取った。トヨタの村田久武MSU開発部長は、「山ほどあるメニューを粛々とこなしただけで、他車のラップは大体想定通り」と答えている。各ワークスとも、「順調にテストメニューをこなした」としているが、エネルギー放出量8MJ選択のポルシェと、同4MJを選択し空力の大幅改善を施したアウディが速さも安定度も示したようだ。これに対し、各部の見直しと改良がおこなわれただけのトヨタとでは、見劣りする印象を否めない。いわば、具体的に性能向上を図った新型車に対し従来性能のままの旧型車で挑むようなもので、全体的なポテンシャル比較でトヨタは下位にあるとみる。放出エネルギー量変更による重量増加を強度を保ちながら軽量化によって打消し、尚且つ、空力の改善を実現したポルシェとアウディの技術力は流石である。特に、2シーズン目にして8MJ実現のポルシェには脱帽である。ただ、こういった変更点がレースでは思わぬマシーントラブルに結びつく可能性もある。その点、保守的な選択をしたトヨタは、安定感や信頼感では僅かにアドバンテージがあるかもしれない。というか、そこにしか可能性を見いだせない状況だ。
いずれにしても、2014年シーズンはトヨタが大きなアドバンテージを保ちながらシーズンを席巻した。今季、トヨタにそのマージンはなく、ポルシェとアウディの後塵を拝すると考えられる。特に、ポルシェはシリーズを完全にコントロールし、ル・マンも含めて全勝する可能性もある。マシーンの力もさることながら、ル・マンの3台体制表明を含む、チーム体制早期確立やドライバーラインナップに強い決意と勢いを感じさせることも本命視する所以である。アウディがどこまで対抗できるかが見どころで、新耐久王として前シーズンの轍は踏まないだろう。トヨタは「1」のチャンピオンナンバーをつけながらも5番手6番手に低迷すると思われる。非力なマシーンに加え、2号車のドライバーラインナップはいかにも苦しい。ル・マンの2台体制というのも消極的で、好材料が見当たらない。上位のマシーンが揃って崩れた場合に、僅かに表彰台の可能性が出てくるだけだろう。但し、ドライバーやピット判断のミスゼロが前提条件だが‥。開幕戦に向けて1号車の中嶋一貴は「すべての要素を揃えてのぞめばポルシェとのギャップ(プラス2.7秒)はこれほどにならない」といい、「今年は昨年以上の接近戦になる」ともコメントしている。楽観的との印象を受けるが、裏を返せば、車を完璧に仕上げてもポルシェとの差を逆転することは不可能ということである。シルバー・ストーンでは良い意味で、私の予想を覆す走りを見せてほしい。
最後に日産だが、3月のセブリングテストでエンジンマウントに関連するコンポーネントに問題が発生し、序盤2日間でそれを打ち切っているが、開発プログラムの遅れが発生しており、プレシーズンテストもキャンセルしていた。ニスモのダレン・コックスは「GT-R LMニスモは特殊なマシーンで、私たちはいくつかの課題に直面している。今年の目標はル・マンであり、開幕2戦を欠場してテストを続行する」とコメントしている。現在のLMP1カーの常識を覆す意欲的なレイアウトを選択しているだけに、問題解決へのプロセスや方法もまた特殊なものとなるだろう。アウディもポルシェもトヨタも、勇気ある挑戦としつつも、「リスキー」との見方を示している。否定的に見ていたライバル達をアッと言わせるほどの走りを見せてほしいところだが、現実は厳しいようだ。ル・マンテストデーに現れた時に、公開当初の原型をとどめないほどにエクステリアが変わっているかもしれない。彼らの2015年シーズンは、試行錯誤に満ちた実験とテストになることは間違いなさそうだ。