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Vol.8 2014シルバーストーン6時間(WEC第1戦)
★ジャンル レース
★月日 2014年04月18日(金)〜20日(日)
★場所 シルバーストーンサーキット(イギリス)/ 1周5.891キロメートル
★レースカーデータ@ トヨタTS040HYBRID2014年仕様 7号車
★ドライバー ★予選結果 ★決勝結果
A・ブルツ、S・サラザン、中島一貴 1分42秒774(LMP1 1位) 総合2位(165周)
★レースカーデータA トヨタTS040HYBRID2014年仕様 8号車
★ドライバー ★予選結果 ★決勝結果
A・デビットソン、N・ラビエール、S・ブエミ 1分43秒189(LMP1 5位) 総合1位(166周)

★思いつくままに感想など‥
2014年のWECはシリーズ発足3年目。最高峰LMP1クラスのレギュレーション変更とル・マン16回優勝の実績を持つ初代耐久王ポルシェの復帰という話題もありオフから活況を呈してきた。新レギュレーションでは、@ワークスカーにハイブリッドシステムを義務化させ、A燃料消費量(およそ30%減)および燃料流量を規制するとともに、B車両規格についても、車幅を100ミリ狭める、というのが主な変更点で、これまで規制されていた排気量規制は撤廃された。

これを受けトヨタは、新たに3.7リットルのV8ガソリンエンジン(自然吸気)を開発し、フロントとリアにモータージェネレーターユニット(MJU)を搭載。4輪回生・4輪力行のハイブリッドシステムを組み合わせ、フルパワー1000PS(エンジン520PS+ハイブリッド480PS)を誇る新型車両「TS040 HYBURID」を開発した。ル・マンコース換算で1周当たりのエネルギー放出量は6MJを選択している。そもそもトヨタは、2012年のWEC参戦時にTS030 HYBURIDにこのシステムを搭載する予定でいたが、レギュレーション上のメリットがなく、フロントモーターを撤去した経緯があるので、トヨタが従前からのプランを実現したと考えた方が自然である。ちなみに、リアモーターはこれまで通り「デンソー製」で、フロント側は「アイシン・A・W製」である。
TS040HYがロールアウトしたのが1月下旬。ポルシェは前年夏に、アウディは前年秋にそれぞれ新型マシーンをシェイクダウンさせている。当然にも、新型車両のテスト総量や熟成度としては、トヨタのそれはやや劣る訳で、「前半ボロ負け→後半好勝負」というこれまでのパターンが頭を過ることになる。アウディやポルシェは新車のテスト走行(米セブリング)動画などがネット上に流出したが、トヨタの新車情報は3月末のWEC合同テスト(仏ポール・リカール)まで全くの極秘だった。

アウディは4リットルV6ディーゼル+フロントハイブリッド231PS(前輪回生・力行1周2MJ)の「R18 e-トロンクワトロ」を。ポルシェは2リットルV4ガソリン直噴ターボ+フロントハイブリッド250PS+熱エネルギー回生システム(前輪回生・力行1周6MJ)の「919ハイブリッド」をそれぞれ持ち込んだ。2日間のテスト状況についてオートスポーツ誌は、「ポルシェが総合トップタイムをマークするとともに、走行距離数でも最も多かった。トヨタは、ル・マンを念頭に置いた自動制御による燃費走行に集中、順調な仕上がりを見せた。アウディは、開幕戦とスパを想定したレースシュミレーションを行った」と報じ、「アウディもトヨタもポルシェのステディな走りに驚いていた」とも付け加えている。ともあれ、各チームともそれぞれの戦略や思惑の中で行動しており、テストで実力が把握できた訳ではない。

WEC開幕戦はシルバーストーン6時間レース(英)である。アウディとトヨタがハイダウンフォース仕様を持ち込んだが、ポルシェはローダウンタイプを持ち込む(ポルシェにはル・マン対応のロードラック一仕様しかない)。各マシーンとも、ヘッドライトが壁のように垂直に立っているが、これはレギュレーションにより、フロントエアダクトの位置が前方にずれた関係で、空力的に詰めるとこうなったらしい。トヨタはカマキリで、ポルシェはポパイの靴に例えられるとか(笑)。私としては、アウディのUFO的なスタイルが好きだ。安全上、ドライバーの視野確保もかなり改善されているようだ。
予選ではトヨタ#7が1000分の5秒差でPPを獲得。以下、アウディ#2、ポルシェ#14と続くが、6番手のポルシェ#20までの差が0.45秒という僅差だった。決勝レースはスタート直後のバトルからトヨタ#7が抜けだし、これをアウディ#2が追う展開となった。コーナースピードで勝るアウディがトヨタを追い詰め、13周目にトップに立つ。20周目で雨が降りだすと状況は一変する。上位陣ではトヨタ#8が最初にピットイン、スリックタイプのインターミディエイトタイヤを装着。#7はウエットタイヤを選択し、トヨタは戦略を分けたのに対し、アウディは2台ともスリック、ポルシェは2台ともインターミディエイト(ST)をそれぞれ装着する。この対応が大きく明暗を分けることになる。ブリティッシュウェザーと呼ばれるようなしとしと雨が続き、スリックを選択したアウディ#1は堪らずクラッシュ・リタイヤとなり、#2もタイムを大きく落とす。タイヤ選択がズバリ的中したトヨタ#8が大躍進し、レース開始50分ほどでトップに立つと、快調なペースでギャップを広げ、2番手のトヨタ#7とともにワン・ツー体制に入る。3番手にはポルシェ#20が続くが、トヨタ勢を追い詰めるほどの速さはない。ポルシェ#14は序盤にサスペンショントラブルでリタイヤし、中盤を過ぎるとアウディ#2がクラッシュ・リタイヤ。アウディ勢はまさかの全滅となってしまう。この辺り、中島一貴のキレキレの走りが見事で、トップとの差を40秒近くも詰めるが、SC導入で再びギャップは拡大する。この日の#7はタイヤ選択のミスといい、SC導入のタイミングといい、ツキに恵まれなかった。レースは終盤に入り再び雨が降りだし、ラスト1時間を切ると雨足も強まり、SCが導入される。雨は更に強まり、残り30分ほどで遂にレッドフラッグが振られレースは終了となる。トヨタは初のワン・ツーフィニッシュと、幸先の良いシーズンスタートとなった。

レース前には、アウディが有力と見られていただけに、レース半ばまでに2台ともリタイヤしたのは意外な展開という他ない。やはり、序盤のタイヤ選択ミスが大きく響いたといえるだろう。その修正タイミングを逸したことも傷口を大きくした訳で、王者アウディらしからぬレース運びだった。もう一つは、車の挙動である。#1も#2も同じようなスピンクラッシュとなったが、B・トレルイユが「リスキーなドライブは全くしておらず、スピンの原因が分からない」とコメントしている。アウディのニューマシーンは、より神経質なドライブを必要としているようだ。それにしても、コーナーで見せたアウディ勢の速さは抜けていて、プロトタイプというよりは、フォーミュラカーに近い動きという印象だ。一方、ポルシェは#20が完走し3位に食い込んだ。流石にポルシェと言いたいところだが、アウディ全滅で得たポジションであり、SC導入の恩恵を受けたことを考え合わせると、素直に喜べないはずだ。ポルシェは予選などの一発の速さや、ストレートスピードは一番だが、耐久性に関しては多くの問題を抱えていそうで、レースでアウディやトヨタと互角のバトルを展開するにはもう少し時間が必要だ。なお、昨年までF1を走っていたM・ウェーバーは最後に#20をドライブしたが、その前歴に恥じない走りだったことを付け加えておく。
コーナーで速いアウディ、ストレートで速いポルシェ、その中間のトヨタ。車の特性が現れたシルバーストーンだった。タイヤ選択など、いくつかの幸運に恵まれた感は否めないが、オールマイティの速さと安定感はトヨタが一番で、チームの判断や対応も的確だった。トヨタが望外の横綱相撲を見せてくれたことで、昨年までの悪循環を払拭できそうである。それを確実なものにするためにも、次戦のスパでも力強さを発揮してほしい。