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187.遠音別岳(知床山域/1330.5M)
超マイナーな山なれど言葉を失う大眺望は流石に「知床の黒き怪鳥」
ソアラならなあ 日高とともに知床は私の心を掴んで離さない。世界自然遺産に登録されたことで、状況は少し変化したが、ともに手つかずの自然や険しさが残る数少ない山域だからである。無雪期には連山縦走をはじめ、夏道のある山はほとんどそのピークを踏んでいるが、積雪期となると海別岳くらいしか上がっていない。尤も、単独且つ私の力量で狙える山は限定される。今回の遠音別岳は夏道もなく、適当な沢もない訳で、積雪期でなければ登頂を果たすことはできない。ルートは斜里側から遠音別岳の西尾根を辿るもの。基本的には山中1泊を要するが、雪の締まったこの時期なら早立ちで日帰可能と判断し、アタックを決める。知床まで4時間弱、ソアラなら快適だろうになどと思いながらのロングドライブである。夜8時過ぎに前泊地のオシンコシンの滝パーキングに着く。昼間なら観光客で賑わうであろうが、流石に夜は訪れる人もいない。ただ、国道を行き交う車の音とオホーツク海の波音が響くだけである。翌日の好天予報を信じて狭い車内で寝袋に潜り込む。
海抜10メートル  3時過ぎに起床すると満天の星空である。迷いなく準備にとりかかることができるから、天気がモチベーションを大きく左右するといっていい。登山口はオケペプ林道で、パーキングから斜里側に1.4キロほど戻る。前日確認しておいたので迷ったり、探したりすることはない。問題は林道をどこまで入れるかだが、国道から僅か数拾メートル入った所で車はストップ。札幌ナンバーの車が1台、前夜からなので、山中泊で遠音別岳に向かっているのかもしれない。海抜10メートルくらいからの登山、最初はスキー担いで林道を歩く。スキーでも歩けるのだが、なんとなく登山靴のトレースを辿ってしまった。Co130付近で林道を離れ尾根に取付く。顕著な尾根地形ではないため、コンパスを正確に地形図182標高点に合わせる。そこかしこに夥しい鹿の足跡があり、無残にも幹が剥き出しになった木々が目立つ。爪跡も明瞭な羆の足跡もある。春を迎え、獣達が餌を求めて活発に行動しているようだ。有効期限が切れた熊撃退スプレーに少し不安を覚えつつ、遭遇しないことを祈るばかりである。
赤いテント一張 Co182付近からは雪もしっかりとありスキー登高に切り替える。雪は硬くラッセルの必要は全くないのでペースは上がる。トレースもあり、登山者が入っている形跡も明瞭にある。地形図252標高点で送電線の下を通過する。木が伐採されていて南の海別岳が目に飛び込んでくる。その白さに思わずため息をつく。ここからは3回ほどのアップダウンを繰り返しながら、緩やかに高度を上げていく。それでも、Co450からCo550までは急斜面が壁のように立ちはだかる。雪面がクラストしているのでスキーエッジを最大限利かせる。汗を吹き出しながら上がりきるとそこには赤いテントが一張。前述した車の持ち主に違いない。テントに人の気配はなく、真新しいトレースが上に伸びている。尾根は再び幅広の緩斜面となり、静かな樹林帯をトレースにつかず離れず淡々とした登高が続く。森林限界はCo750付近で、待望の遠音別岳が真正面に姿を現す。頂稜までは平坦地が続いているせいか、一見すると山は丘陵状だが、標高差は600メートル弱もあり、楽をさせてもらえそうにはない。
急に力が湧いて 頂稜取付まではハイマツが僅かに顔を出す程度で、目印となるものは皆無である。視界のない時などはリングワンデルングの可能性大である。念のためコースサインをつけていくが、先行者のものと思われるそれも付いている。取付に近づくと、頂稜中程を上がる2人の登山者を発見する。私自身かなりバテていたが、急に力が湧いてくるから不思議なものである。Co850付近から傾斜が増し雪面はいよいよ硬くなる。スキーシールも歯が立たなくなり、ズルズルと後退したりする。Co1050付近でスキーをデポしツボ足登高となるが、急斜面を兼用靴で上がるのはやはり辛い。頂稜の背Co1074でアイゼンを履く。辺り一面がエビのしっぽ状態で、中には鳥の羽のように成長したものまである。アイゼンを軋ませ、左右の眺望を楽しみながら上がっていくと、直下で2人の登山者と行き違いになる。私より年配のご夫婦らしきパーティである。好天に恵まれた山行を共に喜びあう。おそらく、登頂の喜びも2倍になったに違いない。
言葉を失う眺望 出発時から、高いモチベーションとは裏腹に、果たしてピークまで行けるのか、という不安や弱気がいつも付きまとう。登山とは、あるいは、何かを成すということは、そういった内なる自分との葛藤を克服することに違いない。そうして人は磨かれ成長していくのだろう。そんな思いをかみしめながら待望の頂上に立つ。言葉を失うような眺望が待っていたことは言うまでもない。雲ひとつない青空、海を切り裂くように突き出す知床半島、南北に羽を広げたように連なる白き山々‥。その中心に身を置いているのである。感激しない方が不思議というくらいである。但し、東側はデンジャラスゾーンである。スパッと切れ落ちていて、覗き込むことはおろか、近づく気さえ起きない。辿りし西尾根といえば、オホーツクの海と黒き樹林帯、そして、頂上まで延びる白い帯のごとく尾根、コントラストが美しい。Co600前後に点在する湖沼群も勿論厚い雪の下である。
尾根の降り過ぎ 風もなくポカポカと温かいので少し寝ていたいくらいだが、復路とて楽観できない。スキーデポ地点まで戻りランチタイムとする。前述の登山者はツボ足で、気温の低いうちはいいが、暖かくなると雪が緩み踏み抜くことになる。体力を消耗することになるが、スキーはそれがない。踏み抜い跡を横目で見ながら気持ち良く樹間を滑り降りる。テントを撤収中の2人に挨拶をして下降を続ける。心配した登り返しもシールを付けることなく突破しヤレヤレだが、尾根を少し降り過ぎてGPSとコンパスのお世話になってしまう。苦笑してしまったが、これも御愛嬌である。
この遠音別岳、今回辿った西尾根からはあまり険しい山容を感じないが、東側や北側から望むそれは迫力モノらしい。「知床の黒き怪鳥」と形容されているくらいで、特に、北側からが素晴らしいようだ。GW、横断道路が開通したら峠から眺めてみたいものだ
■山行年月
2009.04.04(土)
■天気
■同行者
単独
■山行形態
山スキー
■コース:往路/帰路
西尾根
コースタイム
オシンコシン滝車中泊
地点分岐等 時間
林道入口 4:35
Co560平坦地 7:05
森林限界 7:50
スキーデポ地 9:10
9:20
遠音別岳 10:30
所要時間 5:55
遠音別岳 10:55
スキーデポ地 11:15
11:45
Co560平坦地 12:05
林道入口 13:35
所要時間 2:40
相泊市街午後5時到着
林道標識 無残な樹木
伸びるトレース 森林限界から
頂稜取付付近 デポ地から海別
ピーク直下 エビのしっぽ
知西別岳 西尾根全景
羅臼から硫黄 GPSトラック