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173.妙敷山(北日高/1731.3M)
核心部の連続する滑と函付連滝に痺れるほどの緊張感を味わう
嬉しいお誘い 伏美岳の東に位置する妙敷山は登山道もなく、一般的には残雪を利用して登られることが多い。私自身、04年5月にスノーシューでその頂を踏んでいる。この山に、沢から上がろうと、HYMLの谷本さん(仮称)からお誘いを受ける。谷本さんとは旧知の仲だが、一緒に沢に入る機会はなかった。HYMLの山行報告からは強者とのイメージがあり、自らの力量も省みず同行させていただくことにする。妙敷山の沢遡行記録に関しては、南側のトッタベツ川六ノ沢のそれが僅かにあるだけで、今回遡行するニタナイ川支流北東面直登沢の記録は全くない。難しさはなさそうだが、気持ちとしては処女地を行くが如くである。
沢慣れた印象 ニタナイ川沿いの林道に入り、伏美岳避難小屋手前1.2キロ、林道が鋭角的に弧を描く所を流れる支流が目的の沢である。道路脇の駐車スペースに車を止め、沢スタイルに変身する。スリムな身体つきに、「安全第一」と書かれた黄色いヘルメットがよく似合う。沢慣れした雰囲気も漂いカッコいい。私が先になり早速入渓する。薄暗く鬱蒼とした感じだが、15分も歩くと沢は開けてくる。支流にしては水量も多い。苔むした石と清らかな流れ、気持のよい沢である。谷本さんと言えば、「身体が眠ってる」「ついていくのが精一杯」といいながらも、その動きには余裕が感じられる。
逆層滑に苦戦 90分で900二股に着く。水量はほぼ1対1で、ここは左股の直登沢に入る。直ぐに、8mほどの滑が現れ、核心部の始まりを感じさせる。この予感は全く正しく、間断なく滑や小滝がCo1100あたりまで続く。滑といっても傾斜があり、逆層なので遡行には気を遣う。水際のブッシュを頼りに確実に高度を稼ぐ。とどめの滑などは右岸を巻いたほどである。名もなき沢にこれほどの滑があるとはただただ驚くばかりであった。滑の洗礼を終えようやく一息つく。振り返ると、十勝平野は雲海に包まれ、芽室岳が顔を覗かせる。墨絵のようなロケーションに思わず見とれてしまう。
一瞬ヒヤリと 1150三股は、左股が15m滝で流入するが、中股に水流はない。目指す右股も水流は細いが、両岸に岩壁が迫る函状地形となる。とにかく、傾斜があり、3m前後の小滝が連続する。僅かなホールドを頼りに両手両足を総動員して直登していくが、いずれも微妙な動きを強いられ緊張を解く暇がない。Co1270付近の小滝では、スリップして2m近く滑落してしまう。背中から落ちたが、ザックが衝撃を吸収してくれ事なきを得たのは幸いだった。谷本さんはさぞかし肝を冷やしたことだろう。沢の難易度を特定する要素は様々あるが、大きな滝や突破困難な函がなくとも難しさはあることを実感する。
藪下降視野に 私は「いやらしい沢」といい、谷本さんは「緊張で鳥肌が立った」という。二人して、この沢を下降するくらいなら尾根の藪下降もやむなし、で意見の一致をみたものである。下降するにしても、懸垂必至だが支点となる木もない。ピンは用意してはいるが、練習で打っただけで実戦経験はない。選択の余地がなければ別だが、今回は危険を冒すつもりはない。Co1300位からはガレ気味になり、風倒木などで沢が埋まったりもする。Co1370付近で水流が消失する。明瞭な沢形もあり、再び現れるかと思ったが、結局、水流を見ることなく、谷本さんの水確保はならなかった。
力強さに脱帽 沢形が浅くなると灌木の藪に突入するが、いつものごとく、私はバテバテで、前を行く谷本さんの姿が直ぐに見えなくなる。獣道を繋ぎながらひたすらピークを目指す。直下、Co1700でハイマツが登場する。ここで谷本さんはイボ付シューズカバーを装着。ハイマツをグイグイと漕いでいく。その力強さに脱帽であった。ハイマツ漕ぎ30分でピタリピークだったが、嬉しいことに、谷本さんが私に先行登頂を譲ってくれた。細やかな気配りに感謝である。ガスで眺望もないが、風もなく穏やかな頂上でのランチタイム。ボソボソと進む会話、単独とは違った満足感を感じる。
立派な登山道 下降は、とりあえず西峰とのコルまで下がるが、ピークからは踏跡も明瞭な登山道状態で驚いてしまった。また、コルは裸地が広がる別空間で、獣達の遊場といった雰囲気である。コルからは、コンパスを真北に切り、右股沢1150二股に流れ込む小沢源頭を目指頭す。このあたり、谷本さんの読図、ルート設定は流石である。20分も降りると目的の沢で、Co1465で右から、Co1215で左から沢が合流してくる。この小沢も床は滑で、悪戦苦闘の下降が続く。おかげで、ザックの底と尻は乾く暇がない。遡行した左股沢のイメージがあって、状況によっては尾根藪下降を、と谷本さんと話していたが、なんとか1150二股(右股沢出合)に降りたつ。ここは二股全体が滑斜面で、クライムダウンで慎重に下降する。ガスに包まれる右股沢は見える範囲内滑である。上がどうなっているのか気になるところではある。
巻き巻き懸垂 二股直下20mは左岸を、Co1095の20mは右岸をそれぞれ巻き降りる。Co1030の8mで懸垂下降、下手に巻くくらいなら安全だし、確実に速い。やはり、ロープを出すことを億劫がってはいけない。私一人ならおそらく巻き降りたことだろう。谷本さんの安全に対する姿勢は見習いたい。以降、難しいシーンはなく、無事に900二股につく。8時間かけて一回りしたわけで、谷本さんと、想像以上にタフな沢行だったとの思いを共有する。水量も心なしか遡行時よりは増えているようで、疲れた足元に沢中をジャブジャブというのは苦しい。自然と河原の薄い藪を歩くが、途中から右岸の造材道跡を利用しクールダウンを決め込む。
豊似左より上 正直なところ、滝が4〜5個出てきて、後は灌木漕ぎかな、と思っていたのだが、地形図からは想像もできない世界が広がっていた。手強い滝はないものの、気が抜けない核心部が長く続くという点においてはトヨニ左股沢よりは上かもしれない。また、滑の長大さも特筆すべきだろう。勿論、そのスケールや美しさではクワウンナイやエサオマントッタベツに遥かに及ばないが、沢の大きさを考えると異様な渓相である。 この沢は、人の気配はあまりしない沢だが、僅だがピンクテープもあり、踏み跡もあった。特に、下降に使用したルート(ピーク→西コル→小沢→右股1150→900二股)はその形跡が顕著であり、意外な印象である。この右沢は難易度も低く、遡行も容易である。ま、それだけに面白味に欠けるとも言えるのだが‥。
久々に緊張感溢れる沢行で満足度は100パーセント(落ちなければ120%)。誘ってくれた谷本さん、ありがとうございました。 
■山行年月
2008.08.13(水)
■天気
■同行者
谷本さん(仮称)
■山行形態
沢登
■コース:往路/帰路
北東面直登沢(左沢)
北東面直登沢(右沢)
コースタイム
自宅午前3時20分出発
地点分岐等 時間
林道出合 5:10
Co900二股 6:45
Co1150三股 7:55
直下ハイ松帯 10:45
妙敷山 11:15
所要時間 6:05
妙敷山 11:45
西コル 12:05
Co1150二股 13:20
Co900二股 14:45
林道出合 15:40
所要時間 3:55
総所要時間 10:00
自宅午後5時40分到着
美しい苔と清流 滑@
滑A 滑B
滑C 平地は雲海
雲海と芽室岳 狭まる沢形
1150左股の滝 三角点標識
西コルの裸地 下降沢1465付近
右沢1150の滝 右沢1095の滝
右沢1030の滝 GPSトラック