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163.十勝幌尻岳(北日高/1846M)
暗闇の登高に恐怖の下降、悪戦苦闘の連続も厳冬の勝幌はいいゾ
 【@除雪終点→尾根取付→北尾根826p→BC(Co1250p)】
 私の住む街から北日高の山々が良く見える。雪を纏うと山の個性が際立つが、中でも十勝幌尻岳は北と東に大きく羽を広げたようで、その名のとおり実に雄大である。厳冬期にその頂きに立ちたいという思いは絶ちがたく、今年(08年)の正月山行として登ることとなった。
 戸蔦別林道は最終民家まで除雪されており、ルートとなる北尾根取付までは3.5キロほど。この時期のアプローチとしては好条件の部類だが、除雪終点から先にもしっかりとした轍が2本伸びているではないか。これを利用しない理由などあるはずもなく、早速車を乗入れる。が、20メートルほど進んだ所で雪に嵌って立往生。脱出を試みるも状況は更に悪化し、落差1メートルの路外に転落しそうになる。これはヤバイ!。横着しないでスコップでコツコツ除雪し、ようやく元に戻る。この間.40分ほど、ウォームアップにはハード過ぎるスタートとなった。
憎き轍だが、このお陰で尾根取付までラッセル省略はラッキーだった。それでも、靴擦れをおこしテーピングするのだから情けない。オピリネップ林道に分け入り直ぐに尾根に取付くがどうも雪が少ない。煩いブッシュもあり、シールの効きもイマイチの感である。途中でスノーシュー跡と合流したので、時々拝借しながらスキー登高するも、Co826p直下に至り遂にワカンにチェンジする。前出のトレースをスキー担いで上がるが、肩に食い込む重荷に思わず悲鳴を上げる。Co826pからは再びスキーを履くが、雪質が一様ではないために予想以上に消耗しコンスタントに進めない。出だしのロスにこのスローペース、早くも当初プランCo1472pでのBC設置に暗雲が立ち込める。予定変更を決定的にしたのが、Co1224pへの急登に耐えている時だった。キックターンの際にバランスを崩し転倒、左膝をイヤというほど捻ってしまった。一瞬ヒヤリとしたが、大事に至らずラッキーだった。湿布を貼ってリスタートしたが、単独の場合、ケガが致命的になることもあり、そのハイリスクを痛感する。地鳴りのような風音に木の軋む音、そして、舞い上がる雪。正に極寒の情景の中を黙々と上がっていく。14時過ぎにようやくCo1224pに到着するが、平坦で風が凌げる場所となると見つからない。結局、Co1250p付近まで上がり何とか適地を確保する。除雪にテント設営でたっぷり1時間、ようやくBC設置を終える。6時前に夕食を摂り、娘達に連絡を取る(携帯が通じた)。7時にはシュラフに潜りこむ。テントを叩く雪音にゴウゴウたる風音、何時ものことだが浅い眠りしか得られない。堪らず、夜中に外へ出てみると、満天の星空と煌く街の灯りが美しい。重い荷を担いでここまで上がった者だけが目に出来る光景である。
【ABC→Co1472p→十勝幌尻岳→Co1472p→BC→Co826p→尾根取付→除雪終点】
 
2日目は前日の遅れを挽回すべく、午前3時に起床し5時BCを出発する。勿論、まだ闇が支配する世界で、ヘッドランプを点けコンパスをCo1472pに正確に切り歩き出す。足下は、1472pから上のことも考慮し最初からワカンにする。左手の街の灯りを見ながら、こんな暗闇、それも山中を唯一人歩く不思議さ感じていた。小心者なのに怖さも辛さも感じないのだ。Co1472pまで上がると闇が去り白日の世界が戻ってくる。目指す勝幌もCo1570コブの右奥に見えているが、あくまで高い。西風が一層強くなり、時折雪煙を伴う。十勝側は晴れているが、北側から西側にかけては雲に覆われている。細い尾根、波打つ雪面、小さな雪庇が続く。雪庇に注意しながら歩いていたつもりだったが、踏み抜いてしまった。私の足下、尾根の中心付近から崩れ、私は咄嗟に反対側に飛び移り難を逃れる。雪庇らしく見えなかっただけに驚いてしまった。斜面の高さ角度とも易しいもので、例え落ちてもダメージはないと思われたが、下山時に見ると、下で雪崩を誘発していた。やっぱり怖いなぁ〜と。雲間から太陽が顔を出す。何となく荘厳な気持になり、もっと早立ちして頂上でご来光というのも良かったと思う。硬い雪面にワカンを軋ませ快調なペースが続く。夏道と出合う肩付近でストックからピッケルにチェンジする。この辺りからは尾根の東側はほとんど雪庇なので西側を上がるが、強烈な風をまともに受けるので飛ばされそうになる。耐風姿勢を意識しつつ、雪で固まったハイマツの上を歩くがワカンが邪魔をする。足の指先とピッケルを持つ手の感覚が鈍ってくるので意識して手足を動かす。BCから4時間、待望の頂上に立つ。東側の窪みで風を凌ぎつつ、半ば凍り気味のパンとソーセージを頬張る。友人にメールでもと思ったがそれどころではない。素手では10秒ぐらいが限界だからだ。やむなく、手袋をはいたままデジカメ操作で数カット撮る。残念ながら、北日高の山々の眺望は得られないが、何処までも平坦な十勝平野の広さは驚くばかりで、これを目に出来ただけでも幸運だったと思うべきだろう。
 
ピークに立つ自信はあっても、必ずしも実現できるとは限らない。ましてや、私の力量では、勝幌は挑戦の世界であった。それだけに、達成感に包まれながらの下山となったことは言うまでもない。が、それもBCまでで、尾根取付まで悪戦苦闘の連続だったのだ。BC撤収後、重い荷を担いでのスキー下降は至難を極めた。予想はしていたものの、密集する樹木と雪質の悪さには閉口してしまった。樹木の隙間を狙っての斜滑降・山回りターンか、ボーゲンで恐る恐る下降のいずれかで、滑降を楽しむ場面は全くなかった。とにかく、転倒は極力避けなければならない。転倒してしまうと容易に起きあがれないし、ケガをする心配もある。姿勢などかまっていられない。へっぴり腰でもなんでもいいのだ。そのことだけに集中し降りきったというのが本当かもしれない。途中で2度ワカンに変えてみたが、浮力はやはりスキーが優位で、消耗が少ないのも大きなアドバンテージである。
 失敗談もひとつ付け加えておこう。スキーに嫌気がさしワカンに履き替えた時だった。片方のスキーがスイスイと直滑降していくではないか。到底、追いつけるはずもなく、何処へ滑り降りたかも分らない。ルート上を逸れてしまったら探す体力も気力もない、と半ば諦めの境地だったが、幸運にも50メートルほど下のルート上で私を待っていてくれた。「どうだ、俺の良さが分っただろう」と言わんばかりに。迷わず、ワカンからスキーに履き替えたのは勿論である。
 
■山行年月
2008.01.11(金)
   01.12(土)
■天気
11日晴/12日晴
■同行者
単独
■山行形態
山スキー
■コース(往路/帰路)
北尾根
コースタイム(1日目)
午前4時20分自宅出発
地点分岐等 時間
除雪終点 6:40
北尾根取付 7:40
Co826p 10:35
10:55
BC(Co1250p) 14:30
所要時間 7:50
尾根取付付近 北尾根から北望
快適なBC 雪庇の奥に太陽
近づく勝幌 辿りし雪庇
夏尾根頭付近 札内岳への稜線
頂上から東望 東ピーク方向
なだらかな尾根 雪庇の奥に勝幌
硬雪の尾根上部 GPSトラック
コースタイム(2日目)
地点分岐等 時間
BC(Co1250p) 5:00
Co1472p 6:30
十勝幌尻岳 9:00
所要時間 4:00
十勝幌尻岳 9:20
Co1472p 10:35
BC(Co1250p) 11:10
12:30
Co826p 14:00
北尾根取付 15:05
除雪終点 16:10
所要時間 6:50
総所要時間 18:40
自宅午後6時35分到着