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141.ニセイノシキオマップ川(北大雪 ニセイカウシュッペ山大槍/1840M)
降雨と手強きF2「天国の階段」の前に歯立たず久々の敗退となる
 9月下旬、計画年休を取得したため休日が1週間続く。週間予報も珍しく晴マークの連続で、正直何処へ行こうか迷ってしまう。山泊でヌピナイやポンクワウンナイも考えたが、単独ではリスクが大きすぎる。そこで急浮上したのが北大雪の沢。初日はニセイカウシュッペ山大槍に突上げるニセイノシキオマップ川、2日目が源頭に屏風岳を抱くニセイチャロマップ第一川とプランをたてる。が、出発日の前夜にHYMLの仲間から沢行の誘い(北日高カタルップ沢)が入り、2日目のニセイチャロマップ第一川はキャンセルする。
 満天の星空のもと層雲峡まで深夜のドライブだが、青空に向かって天国の階段を登る自分をイメージすると思わず興奮を覚える。同時にえもいわれぬ恐怖感が全身を走る。初めての沢を単独で遡行する前夜はいつもこんな感じである。層雲峡の温泉街から国道39号線を旭川方面に3キロ少々走ると右手に北電層雲峡発電所がある。ここを過ぎ直ぐにニセイノシキオマップ川左岸の林道に入る。車一台がようやく通れるような荒れた林道は1キロほどでニセイノシキオマップ川に行き着き終点となる。
 仮眠の後、6時に歩き出すが、空は雲に覆われ今にも降り出しそうで、「約束が違うゾ!」と言うような感じである。先ずは右岸の林道跡を行くが直ぐに670二股で左股をとる。ここからも右岸の林道跡を辿りながら川を見るが、とにかく砂防ダムが多い。670二股から15分ほど歩くと砂防ダムは姿を消すが、この間、17基のそれがあった。コンクリートを打ち込まれた川の嘆きが聞こえてきそうな気がしてしまった。お役人がマジメに計算して建設したのだろうが、その必要性を疑わざるを得ない光景だった。最後の砂防ダム上から入渓するも水量は思ったより少ない。高圧線下付近で川は凸状に西に屈曲するが、ここを過ぎると直線的に源頭を見通せるようになる。勿論、上部はガスの中でモチベーションの低下を感じる。河原林を歩いたり、水中を歩いたりしながら進むが、何の変化もなく同じような景色が延々と続く。この沢を「ブタ沢」と酷評した人がいたが、ここまでは正にそんな感じである。1069二股は右手から下降に予定している小槍からの沢が流入してくる。選択する左沢はいきなり伏流となり水流が消失する。5分ほども歩くと再び水流が現れ何となくホッとする。1240付近の二股は少し分りにくい。少し手前に比較的顕著な沢が右に分かれており、ついそちらへ行きそうになる。そこは左に入り、その先から右股をとる。時折、雲が少し切れて周囲の景観が目に入ってくる。迫出す斜面と僅かな紅葉、天気が良ければ雰囲気も違ってくるのにと思う。やがて、右手に垂直な壁が現れ、左手には険しく切り立つ荒涼とした岩世界が展開する。その中心に遡行者の行く手を阻む門のようなF1(8M)が水飛沫を上げている。一変する渓相、核心部に入ったことを実感するとともに、ブタ沢が変身する瞬間でもある。霧雨が雨に変り条件は悪化しているが、上がるしかない。遠目には容易に越せると見たF1だが、いざ取り付いてみると中々難しい。左岸からホールドを手がかりに半分ほどは登れるがその先がイヤラシイ。直ぐ上に残置ピンがあるのだが中々届かない。2度上り下りを繰り返すが越せない。下から弱点を探すが見つからないので、3度目はロープだけ持ち挑戦する。僅かなホールドを頼りに何とか残置ピンにスリングをつけ自己確保する。その後、微妙な動きで最上部の残置ピンまで上がる。ロープをセットし一旦降りる。ザックを担いでようやく滝上に辿り着く。恥ずかしいことにF1通過に60分ほど、冷たい雨と吹き上げる沢風で身体がすっかり冷え込んでしまう。結局、F1には3個の残置ピンがあり、中間のそれにはスリングがセットされていた。あまりの緊張か、それとも低ナトリュウム症か大腿四頭筋がつる。塩を少し舐め身体をリラックスさせている内に治まってヤレヤレである。周囲は深く大きな岩溝という感じで緑なきモノトーンの世界である。レインウェアーを着ているが寒い。中にもう一枚着込みたいくらいである。一気に増す高度感と滑る川床、慎重に足を運ぶ。ほどなくF2「天国の階段」である。写真で見た景色が目の前に広がっている。天まで届くようなその高さに圧倒される。高所恐怖症の私が克服できるのだろうか。胸中を不安がよぎる。全神経を両手両足に集中し、水際右岸を一歩ずつ上がっていく。正に、階段状の小さな岩棚だけが頼りで他にホールドはない。上に登るにつれ角度も浅く濡れていて滑りやすくなってくる。行き詰って対岸に移ることも度々だが、基本的には右岸直登なのだろう。それは分っているのだが、手足を伸ばすのが怖くなってくる。「ピンを打ちながらの登高」も考えたが、やり慣れないことはしないほうがいいとの結論に。ふと、新聞紙上を賑わす山岳事故の記事が浮かぶ。落ちたらタダでは済まない高さであり無理はすべきでないとの思いが強くなる。加えて、大槍基部までは少なくとも3時間ほどは見ておかなければならず、時間的にも厳しくなってきた。11時、F2「天国の階段」中間付近で遡行中止を決断する。
 沢登りでは「遡行するより下降が難しい」というのが常識。ここなどは正にその典型的な例で、慎重なクライムダウンを繰り返す。F1は懸垂で下降し、なんとかF1下に降り立つ。無事に降りた安堵感よりも、自らの力量不足を痛感する。「北海道の山と谷」ではグレード「!!」なので、少し安易に構えていたことも反省材料である。グレードが上がればクライミング的要素が濃くなる沢登りだが、経験上、ここは「!!」以上ありそうな気がする。敗退ということもあり、ブタ沢を意気消沈しダラダラと下降する。それでも林道終点の愛車を目にすると、今回も無事に戻れたことを感謝する私がいた。何より大事なのは「無事に戻ること」なのだから‥。
 クライミング技術を磨き(というよりは学び)、いつの日か再チャレンジしたい。ただ、山(沢)は逃げないが、歳は逃げるので追いつけるかどうか‥。帰路に着く頃には、もう翌日のカタルップ沢に思いを馳せていた。ganサン達がどんな反応を示すのか楽しみでならない。
■山行年月
2006.09.22(金)
■天気
曇時々雨
■同行者
単独
■山行形態
沢登
■コース(往路/帰路)
左股大槍直登沢
コースタイム
午前2時自宅(池田)出発
地点分岐等 時間
林道終点 6:00
Co670二股 6:10
Co1069二股 7:30
F1 8:45
9:45
F2(天国の階段) 11:00
所要時間 5:00
F2(天国の階段) 11:15
F1 11:45
Co1069二股 12:20
12:40
Co670二股 13:50
林道終点 13:55
所要時間 2:40
総所要時間 7:40
自宅午後5時00分到着
F1手前から下流方向
切立つ両岸渓相が一変
ガスの中からF1(8M)が
F1上から荒涼とした岩世界が
F2天国の階段は高度感満点