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140.戸蔦別川本流〜戸蔦別岳(北日高/1959M)
重い荷と酷暑に耐え抜き沢遡行の楽しさと下降の難しさを改めて知る
【@6号砂防ダム→八の沢出合→Co995三股→Bカール→戸蔦別岳】
 北日高の高峰群の中で唯一そのピークを踏んでいないのが戸蔦別岳である。2001年9月の幌尻岳山行の際に足を伸ばすチャンスがあったが、この時は膝の調子がよくなく断念している。また、日帰りでアタックを試みたこともあるが、当然ながら敗退し(04年8月)、今月上旬には1泊2日でプランを立てるもドタキャンと、戸蔦別岳とは相性があまり良くないらしい。今回も出発するまで不安だったが、家を出てしまえばこっちのもの。「いざ戸蔦別岳へ!」なのである。が、またしてもドジを踏む。後30分も走れば林道終点(登山口)という所で携帯を忘れたことに気づく。慌てて家まで戻り再出発、2時間近くもロスしてしまう。ま、モノは考えようで、登山口を出る前に気づいて良かったと思うことにする。お陰で登山口での仮眠はカットとなり、寝不足のまま登山口の6号砂防ダムをスタートする。
 先ずは、入渓地点の「八の沢出合」まで5キロほどの林道歩き。久々の縦走装備も応えるが、精神的にも辛いところだ。救いは遠くに1967峰付近の稜線がスッキリと望めることで、遡行意欲が湧くというものである。八の沢出合まで1時間15分ほど。快調な滑り出しである。ここで沢スタイルに変身し入渓する。995三股までは何度も遡行しているので「勝手知ったる何とやら」、適当に遡行していく。2時間弱で995三股に到着、今回の山行はここからが本番である。一息入れた後、勇躍右沢に突入する。すぐに滑が現れ続いて10メートルほどの釜付滝に出合うが、ここは右岸を巻く。暫くは単調な沢に戻るが、1130二股からは変化に富んだ遡行が楽しめる。1130二股はどちらも滝となって流入しているが、進むべき左股は15メートル2段で下段は右岸を、上段は左岸を巻く。ここを越えると函付の小滝が連続する。最初のうちは直登出来るが、途中から右岸を小さく巻く。1180付近で10メートルほどの滝が現れるが、右岸のルンゼを上がり沢身に戻る。1300二股からは右股へ入るのだが、手前では少しばかり考え込んでしまう。地形図からも分るとおり、明確な二股ではない。右岸から細い流入があり、一瞬「これか!」と思うが、藪っぽくて崩れた感じがまったくない。少し先へ進むと二股らしき地形が現れ、右股の奥には二股も望める。確信しつつGPSで確認するとドンピシャだった。水量は左1右3ぐらいで右股は緩やかな滝となって落ち込んでいる。ここを右に入ればCカールに出られる。目指す左股は階段状の滝でここを越えると細い水流のガレが続く。高度感も次第に増し、暑さと重い荷でペースも落ちてくる。1480二股を水量の少ない右股に入り、1540付近で念のため水3リットルを確保する。荷がズシリと重くなり、自然とノロノロ登高となる。やがて水が涸れ、傾斜が緩みだしてくる。源頭の雰囲気の中、獣道を辿っていくと木立の奥にカールバンドが、左には目指す戸蔦別岳が望めるようになる。更に進むと平坦で穏やかな草原という趣のBカールに飛び出す。ここで沢靴から登山靴に履き替える。ここでのテント泊も魅力的だが、そこかしこにある羆の掘り返しはそれを許してはくれない。カール中央方向に西進する。草原から一転して岩場となるが、水場もしっかりと残っていた。カールバンドは傾斜・高さともそれほどとは思えないが、トレースもないのでルート選択に時間をかける。やや左手に上部まで続く細いガレ場があるのでそれを上がることにする。ステップを数えながら黙々と登る。右手から背後に連なる山々のシャープな稜線に見とれつつ、玉のような汗を流す。やがてガレが終わり行く手をハイマツに阻まれる。ここから右手の膝下程度の優しいブッシュ帯に逃げて登高を再開する。傾斜が緩み、右手の1881峰が目線に近づく。詰めはハイマツを乗越え直下西側の縦走路に出る。ピークから50メートルほど下で、傾斜もなくテント一張くらいなら大丈夫な場所である。遅い昼食をとった後、大きな幌尻岳を右手に見ながらピークを目指す。15時、ピンクのテープがたなびく無人の戸蔦別岳の頂上に到着する。登山口から9時間50分、我ながら良く登って来たものだと感心する。中部日高以南には薄い雲がかかりカムエクなどはスッキリ見渡せないが、その他は全てが見渡せるほどの眺望である。足下の七つ沼は初めて目にするが、沼の水が随分と濁っているようで美しさは感じないが、急峻な山の上に平坦でしかも沼があるカール地形の不思議さを実感する。この好天、テント泊組もいるのではないかと思ったが誰もいない。やはり、先日の豪雨災害による林道不通が登山者の入山を阻んでいるようだ。1時間ほどかけてテントを設営する。心配なのは落雷と強風だが、予報からは落雷の心配なさそうだ。強風対策として細引きでテント固定をする。迫る夕闇とともに辺りは薄いガスに包まれる。テントに引きこもり夕食をとる。厚手の靴下とフリースの上下、レインウェアー上下を着込み早めにシュラフカバーに潜り込む。テントを優しく揺らす弱い風がリズミカルだと思っているうちに眠りにつく。しかし、2000メートル近いピークの気温は流石に低く、夜中に寒くて目が覚めてしまう。テント内の気温は12度ほどだが、こと体感気温となると間違いなく10度以下だと思う。外へ出てみると、満天の星空と街々の灯りが美しい。良く見ると山々の連なりが黒いシルエットとなって浮かんでいる。結局、熟睡できないまま朝を迎える。
 【A戸蔦別岳→Aカール→Co995三股→八の沢出合→6号砂防ダム】
 十勝平野に昇るご来光、漆黒の闇から人々を解放する太陽の無限のエネルギーを実感する瞬間である。山々が少しだけ赤く染まる。七つ沼カールの細く急峻なカールバンドが目を引く。朝日を浴び輝く東側と未だ闇の西側、陽と陰、光と影、自然の織成すバランスたるや見事なものだ。立体的に浮かび上がる見事な周囲の景観に見とれつつ、ふと足下の七つ沼に目をやると、大きな沼の縁に黄色のテントが一張。いつ、何処から来たのか気になってしまう。西側に出来た影戸蔦は全くピラミダルで、これを見る限りピークにテントを張れる場所など無いように見える。その奥には夕張岳から芦別岳に連なる夕張山塊が雲の上に顔を出している。中間に位置する夕張マッターホルンの山容が目を引く。どうやら富良野方面は雲に覆われているようだ。
 2日目は下降するだけなのでノンビリペースだが、Aカールへの下降が少しイヤラシイという情報もあるので気は抜けない。朝食後、テントをたたみ東尾根から下山を開始する。身体が動きに慣れるまで足下がふらつく。左足下は源頭まで続く急斜面で転倒などしたらひとたまりもない。慎重に下降する。勿論、ルートなど不明瞭で、尾根の右側は濃いハイマツなのでどうしても薄いブッシュの右側を歩くことになる。20分も降りるとピンクテープを見るも、事前の情報では、ここからの下降で大変苦労したとの話もあり、もう少し下っていくと、左足下に浅い沢形があり、右には尾根を乗越し七つ沼へ直接向かう(?)ルートも薄っすらとある。Co1760付近だが、ここから下降することにする。ところが、60メートルほど下がったところで25メートルほどの涸滝に行く手を阻まれる。左右にトラバースすれば潅木のブッシュが下まで伸びており、お助け紐程度で沢身に戻れそうだ。だが、トラバースがイヤラシイ。滝上には支点となる潅木もあるのでダブルで支点を取り懸垂下降することにする。こんなこともあろうかと思い40メートルロープを持ってきて正解だった。スリングは残置することになったが、ダブルで20メートル近く降りて、後はクライムダウン。この滝の下降で30分を要したが、今山行で最も緊張したシーンであることは言うまでもない。ここから沢靴に履き替え、ネオプレーンのスパッツをつける。水流も現れるが、1500付近までは初めての沢であり何が出てくるか分らない。注意をしながら慎重な下降が続く。滑や小滝に出会うも手強いものはない。そんな訳で何処がAカールか分らないうちに通過してしまう。地形図からも明瞭なカール地形ではないので気づくのは難しい。1400二股では左股にピンクテープが付いていた。私は右股を下降してきたので一般的なルートではないのかもしれない。左股であれば、地形図的には崖などがなく、東尾根の1740付近に上がれるようだがどうなのだろうか。日帰アタックの際は1500付近まで上がっており、見覚えのある地形にホッと一息つく。1315二股からは20メートル大滝を筆頭に、中クラスの滝が5個ほど現れるが、ほとんど左岸を巻いて降りる。一箇所、草付ざれ斜面のトラバースがあったが、以前あったフィックスロープはなく、足場も崩れていた。高さもあるので少し緊張する。やがて前方に995三股付近の尾根の張り出しが見えてくる。「戻ってこれた」との思いから足取りもつい軽くなる。995三股まで降りてしまうと、山行もほぼ終わり。後は、間抜けなミスを犯さぬように注意しながら八の沢出合を目指す。995三股下流の函を過ぎたあたりだった。突然、遡行者が出現する。人とあうことなど考えてもいなかったので、驚くやら懐かしいやら不思議な感じに包まれる。それも15人ほどのツアーらしき一団で、挨拶を交わし行き違うがふと気になったことがある。@ヘルメットやハーネスを着用している人が誰もいなかったこと ABカールテント泊1泊2日の山行とのことだが、ほとんどの人が軽装備だったこと B組織的に行動していたのは10人ほどで、後続者は個々バラバラに行動し、先頭グループからは100メートル以上も離れていたこと‥等である。中高年がほとんどというパーティ構成もあり、他人事ながら「大丈夫かなァ〜」という気持になってしまった。
八の沢出合からの5キロの林道歩きは流石に辛かった。荷は確実に軽くなっているのだが、ズシリと肩に食い込むザックに悲鳴を上げる。それでも無事に当初の目的を達成した訳で、嬉しい苦痛とも言える。エサオマン出合に設置してある入山帳に「13時15分下山」と記入するが、何となく自分が誇らしい。一緒に投函してあった山行計画書を回収し6号砂防ダムへと急ぐ。
 久々の山泊登山は、自分自身の体力や精神力、技術レベルや判断力を試す絶好の機会となった。勿論、私的には納得のいく山行で、その意味において、戸蔦別岳山行は忘れられないものとなるだろう。
「自らの力と技を信じつつ、時に大胆に時に慎重に、ひたすら沢と戯れる」
■山行年月
2006.08.25(金)
   08.26(土) 
■天気
1日目:快晴
2日目:快晴
■同行者
単独
■山行形態
沢登
■コース(往路/帰路)
戸蔦別川→Bカール
Aカール→戸蔦別川
右沢滝@ 右沢滝A
カールバンド Bカール
カールから戸蔦別 北戸蔦別方向
1967峰方向 カムエク方向
テントとメット 七つ沼カール
ご来光 夕張山塊
朝の幌尻岳 朝のカール壁
朝のカムエク方向 強烈な朝日
Bカール 蔭戸蔦別
Aカール下降沢 左股奥に涸滝が
中沢滝@ 中沢滝A
中沢滝B 中沢滝C
コースタイム(2日目)
戸蔦別岳頂上出発
地点分岐等 時間
戸蔦別岳 6:45
Aカール下降点 7:10
Co1315p 8:50
9:00
Co995三股 9:55
10:15
八の沢出合 11:40
12:10
6号砂防ダム 13:35
所要時間 6:50
総所要時間 16:40
16時00分自宅到着
コースタイム(1日目)
3時30分自宅出発
地点分岐等 時間
6号砂防ダム 5:10
八の沢出合 6:25
6:40
Co995三股 8:30
8:45
Co1300二股 10:35
10:50
Bカール 12:25
12:45
戸蔦別岳 15:00
所要時間 9:50
戸蔦別岳頂上テント泊