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139.芽室岳南東面直登沢(北日高/1753.7M)
下流域の雰囲気も良く核心部の大滝や滑も充分に楽しめる綺麗な沢
 芽室岳は私の日高デビューの山(99年北尾根夏道)であり、厳冬期テント泊(06年)を初体験した地でもある。途中撤退や山小屋泊、00年初冬の羆との接近遭遇等、私的には思い出多い山の一つである。その山に、今回は沢から上がってみる事にした。ルートは「南東面直登沢」。十勝川水系美生川の源流部を遡行するプランで、沢ガイド本には全く登場しないし、インターネット上などでも情報はきわめて少ない超マイナーな沢ということになる。
 上美生の市街地から伏美岳方面への道路に入り、富良牛橋手前で伏美岳方面への林道を左に分け、美生川に沿って西進する。このピパイロ林道は崩落箇所もなく実に走りやすい。清流橋を渡ってすぐに四の沢林道に入り、奥の沢林道を左に分けるとほどなく地形図上での林道終点に着く。土場跡のようで上美生の市街地から19キロ弱である。実際は更に奥まで林道は伸びているが荒れているので、ここに車を置き入渓することにする。
 林道終点は美生川の川床よりも40メートルほど高い。少し北進すると小沢がありそこから美生川Co630付近にに降り立つ。下降時に見逃してしまいそうなので赤テープ2本を木の枝に括りつける。朝日の差し込まない沢はまだ薄暗いが、遡行しはじめてすぐに釜付小滝や滑(滝)が次々と現れる。水際には苔むした岩や巨木が横たわり雰囲気はとても良い。雲知来内の後だけに尚更そう感じるのだろう。写真を数カット撮るがどれも手ブレを起こしてしまう。フラッシュ撮影では不自然だし、下降時に期待し先を急ぐ。入渓地点から30分ほどのところで頑丈そうな木橋がかかっており、どうやら前述した林道がここで美生川に出合っているようだ。670二股は左股に入る。川は地形図に現れない小さな蛇行を繰り返す。滝などはあまり見られなくなるが、かといってのんびり河原歩きを楽しめる渓相ではない。とにかく変化に富んだ沢で厭きさせないのである。コースサインらしきものは一切無いが、所々に入渓者の足跡がうかがえる。これほどマイナーな沢でも遡行する人はやはりいるのだ。1時間で760二股に着く。ここは右股を取るが左右の水量はほぼ同じである。流木の堰があるので、やや左から回り込んで右に入る。左岸は一面の笹斜面で、思わず羆避けのホイッスルを吹く自分に苦笑してしまう。時折、滝なども現れるが問題となるものはない。
Co820は正確には三股で、ここは左股に入る。ここまで上がるとようやく強烈な朝日が沢に差し込み、気分的にも明るくなれる。ここからはグングンと高度が上がり、振り返ると辿ってきた沢筋や尾根筋が視界に入ってくる。930付近からは滑と滑滝が連続し核心部に入ったことを実感する。さながら白い帯のようでとても美しい。青空と生茂る緑、飛沫を浴びながら沢靴のフリクションを効かせ快適に遡行していく。こんな時がなんとも嬉しい。1000を越えるといよいよ滝が出てくる。1035付近で遠目では2段だったが、側まで行くと全く別モノで、下は5メートルほどの滑滝で、奥に15メートルほどの滝だった。ここは左岸を小さく巻いた。更に100メートルほど上がると、滑の奥に20メートルほどの滝が現れ、滝下まで上がってみるとここは完全に2段になっていた。15分ほどかけて左岸を巻き上がる。難所を越えると、僅かに残る雪渓の側で鮮やかなオレンジ色の花を付けたエゾノリュウキンカが出迎えてくれる。花の癒し効果は抜群で本当に気が和むものだ。見上げると、源頭付近や頂上付近の稜線が目に入ってくる。気になるのは、源頭から頂上にかけての藪漕ぎである。楽に上がれればいいのだが‥。
1210二股は右に入る。水流は左1対右4といった感じで、水流に導かれると自然と右になる。初めての沢でもあり地形図とGPSでの現在地確認はこまめに行う。ここまで3時間、予想以上にいいペースで遡行する足取りも軽くなるというものである。期待した水流は1420付近で突如として消失する。まだ300メートル以上もあるのにもう藪漕ぎかと思ったが、ラッキーなことに涸沢は潅木が生い茂っているものの比較的薄い。1475付近で2股に出会うがここは左に入る。1600付近から待望の(?)ハイマツがお出ましになる。四方八方に枝を伸ばし、背丈を越えるハイマツを両手でかきわけ、メットから突入し、足で跨ぐ。この作業を延々と繰り返す。遅々としてペースは上がらないが時間が解決してくれるだろう。半ば諦めの境地の登高が続く。否応なしに体力が奪われていくのを実感する。しかし、どんなことにも終わりはあるもので、ハイマツの背丈が低くなり周囲が見渡せるところまで上がってしまうと、左斜面は腰丈ほどの潅木と笹に覆われていることが分る。少し左に逃げてハイマツ帯から脱し、稜線に沿うようなルートをとりピークを目指す。ハイマツとの格闘から見るとさながら天国の藪漕ぎで、遠かったピークが徐々に近づくのが分る。1475から右股上部はハイマツが濃く広いようで、左股選択は結果オーライだった。最後は稜線上の壁のようなハイマツで、この突破に苦労させられる。とにかく弱点が無いのである。遮二無二突っ込んでいくと赤テープがあり、そこを脱するとピタリと無人のピークだった。源頭から直下の苦戦ぶりに、遅くなったら夏道下山もありとマジメに考えていただけに、11時30分着は上出来といえるだろう。快晴、微風、360度の大眺望、これ以上ないというロケーションに息を飲む。チロロに1967峰、幌尻、カムエク‥、上げるとキリがないのである。夏道から一人登山者が現れるが、どういうわけか偽ピークとのコルから引き返していった。赤ヘルの妙なオヤジに関わりたくなかったのだろう。悪いことをしてしまった。ふと、南に伸びる主稜線に目をやると、1504P北側に2つの池があることが見てとれた。地形図にも明瞭に記載されているが、実際に確認したのは初めてで、獣達にとって貴重な水源なのだろう。
 およそ30分滞在後、往路を下降するべく地形図でルートを確認しようとポケットに手をやると、ジッパーが開きっ放しで地形図とメモ帳が無くなっているではないか。ガックリ来たものの、目視確認は充分可能だしGPSもあるので予定通り下降する。下りといえどもハイマツの中を下降するのは容易なことではないが、気分的には全く違う。運の良いことに潅木帯に入ると手帳はすぐに見つかった。何度もスリップをしながら涸沢をようやく脱する。下降で気を使ったのはやはり核心部の通過で、特に、高度感ある滑の下降はクライムダウンや巻を多用した。遡行は容易でも下降は難易度が上がるものなのだ。820三股、760二股と順調に下降し、670二股からは遡行時に撮れなかった写真を撮る。630二股付近の木橋から林道を辿ることも考えたが、そのまま川を下り2本の赤テープを目にすると、正直ホッとしたものである。小沢を詰め、適当なところから左手の急斜面を上がっていく。10時間の沢旅が終わる瞬間である。
 この沢はとても綺麗な沢で、他の沢と違い下流域の小滝や滑なども楽しめるのがいい。また、820〜1210の核心部も技術的には容易な部類に属し、ロープを使用するシーンはなかった。ただ、メンバーによっては必要になるだろう。ハイマツ漕ぎは日高らしく強烈で、150メートル上がるのに2時間近く要したのは初めてのことである。豊似川左股沢より下で、ニオベツ川上二股沢(十勝岳)よりは上とみたがどうだろうか。
■山行年月
2006.07.27(木)
■天気
快晴
■同行者
単独
■山行形態
沢登
■コース(往路/帰路)
南東面直登沢
コースタイム
午前3時自宅(池田)出発
地点分岐等 時間
林道終点 5:15
Co670二股 5:35
Co760二股 6:15
Co820三股 6:35
Co1210二股 8:15
8:30
Co1420水流消失 8:50
芽室岳 11:30
所要時間 6:15
芽室岳 12:00
Co1420水流消失 12:35
Co1210二股 13:00
Co820三股 13:55
Co760二股 14:15
Co670二股 14:45
林道終点 15:05
所要時間 3:05
総所要時間 9:20
自宅午後5時30分到着
下流域@ 下流域A
下流域B 下流域C
頑丈な木橋 900付近から下流
連続する滑@ 連続する滑A
滑滝と奥の大滝 大滝上から@
大滝上からA 20M大滝全景
エゾノリュウキンカ 1210右股
山頂標識 南東面直登沢
1967峰方向 奥にカムエク
稜線上の二つ池 東は十勝平野