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137.豊似川左股沢〜トヨニ岳南峰(南日高/1493M)
食傷気味の雪渓登場も高巻きや懸垂でそれなりの手応えを実感する
 沢登の季節到来なのだが、このところの北海道、とりわけ、十勝・日高は「降雨低温」状態が続いている。単独ゆえのリスク軽減、飛沫浴びる楽しさを考えると、沢登はやはり好天に限ると私は考えている。そんな好天と私の休みが重なった。沢へ行かない手はない。今回の沢は、南日高の豊似川左股沢で、トヨニ岳南峰へ突上げる直登沢である。この沢は、03年7月に豊似川右股沢を遡行し、トヨニ岳北峰〜同南峰を経て下降に利用した沢である。2度目ということになるが、その時は夕闇迫る中、右股沢遡行時の静子の落石負傷もあり必死の下降だった。勿論、渓相をゆっくり楽しむ余裕などもなかった。実質的に初めて入渓する気分である。
 先ずは野塚トンネル十勝側パーキングからポン三の沢川支流を495二股に向けて下降する。水量もそこそこあり、心なしか川音も大きいようだ。歩き難い河原林から獣道を辿り30分ほどで495二股に着く。左股沢は、ここから530二股付近までは広い河原を持ちごくやさしい河原歩きといった趣だ。530二股は左をとるが、川は尾根を回り込むように流れている。川幅もグッと狭まってくる。眩しいくらいの朝日を背に受け、淡々とゴーロ帯をいく。Co600あたりを過ぎると正面に源頭付近が見えてくる。青い空と濃い緑の稜線、そのコントラストがなんとも美しい。予想はしていたものの、Co650辺りから雪渓が現れてくる。Co700をすぎると、両岸はいよいよ迫立ち左股沢の核心部に突入する。Co900辺りまでをどうクリヤーしていくか、自称「沢屋」の真価が問われることになる。雪渓の先に最初の滝が登場する。ここは右岸を巻き、すぐのF2も右岸を巻く。どちらも川床にはロープを使用して降りる。ここからは谷は雪渓で埋め尽くされている。とは言っても、崩壊直前のものがあり、出来るだけ刺激を与えないように恐る恐る上を行く。勿論、一番強度が高そうな場所を選んでいくのだが、川音などが足下から聞こえるというのはあまりいい気分ではない。810二股を右に入るとほどなく850二股で、左右股ともほぼ同じ水量がある。ここは右股をとるのだが、ここが最大の難所となった。滝は見えているのだが、雪渓から滝下まで降り立つのも一苦労しそうだし、降りても滝をどう上がるかが思いつかない。思案の末、手前の左岸から流入する小沢を利用し、左岸を大きく高巻くことにする。しかし、この小沢といえども傾斜があり、手がかりとなるものも少ない。細心の注意を払い30メートルほど上がり、そこから左岸の潅木と笹斜面のトラバースに移る。30分ほどかけてようやく滝上に降り立つ。ホッとしたのも束の間、目の前に最後の難関である。薄い雪渓のトンネルの奥に滝である。滝に取付くにはトンネルをくぐるしかないが、その勇気がない。結局ここも左岸を巻き何とかクリヤーする。あとは源頭めざしてひたすら登高を続けるのみである。それにしても、開けた沢で明るい気分になれる沢だ。時折、左岸から流入する流も美しい。但し、随所に落石の後があり、その危険性だけがいただけない。ピッケルとアイゼンを頼りに長い雪渓を上がっていくが、少し前までの好天が嘘のようにガスって来る。Co920付近で雪渓が消えたので、アイゼンを脱ぎデポしていく。が、Co1170付近でまたまた雪渓が現れる。この雪渓はCo1230あたりの二股まで続いていた。アイゼンはここまで我慢すべきだった。ちなみに、ここは左を取るが右股は水流があった。周囲は緑に覆われているために、荒涼とした感はないが、右岸の複雑で切り立つ沢状地形は目を引く。半ば登山道と化した源頭を喘ぎながら上がっていくと、ようやく東峰につづく尾根に出る。一張程度のテン場を後に締め括りの藪漕ぎを10分で南峰の頂上だった。眺望はあまり良くなく、特に日高側のガスが濃いようだ。眼下に日高最南端のカール地形(トヨニカール)が見える。雪渓とロックガーデン、右股沢800二股を左股に入るのも面白そうである。それにしても、4月末にganさんとこの地に立った時は一面銀世界だった。季節の移ろいの見事さを痛感せざるを得ない。
 早ければ北峰までと思っていたがその余裕はない。30分ほど滞在し下降を開始する。正面に野塚岳を望みながら順調に下降し、Co950付近まで降りた時だった.Co850二股上部の左岸斜面に黒いものが。良く見ると、その一部が動いているようだ。つまり、羆が一心不乱に食しているような
感じなのである。笛を吹き、オーイと何度も叫ぶが、一向に動く気配がない。そのうち動くだろうと思い30分ほど待つが、変化なしである。羆ではないと確信しつつも可能性は否定しきれない。羆撃退スプレーを何時でも噴射できる状態にしながら、ゆっくりと近づいていく。良く見ると黒い岩だった。思い込んだらそう見えてしまう自分の精神構造が恥ずかしい。苦笑しつつ、850二股前後の滝を往路同様一気に高巻いて下降する。前述した小沢の下降には40メートルロープで懸垂下降した。F2は左岸のフィクスロープを使用し、滝下のインゼルを回り込む。F1は右岸を巻き、下降にはロープを使用する。どの滝も出ており、滝上から懸垂下降するのが一番早いのだが、滝下下流は例外なく雪渓のトンネルで、その選択肢は私にはない。核心部を過ぎると気が緩んだのか、疲れがドッと出てきた感じである。それでも、当初の目的を達成できたのだから気持ち的には大満足である。495二股で左股沢に別れを告げ、獣道をトンネルパーキングへ急ぐ。
 トータル11時間に及ぶ沢行は流石にシンドイがそれだけに充実感も一入である。しかし、雪渓の多さには正直食傷モノであり、機会があれば雪渓のない9月頃に遡行したいものだ。もっとも、これはどんな沢にもいえる事なのだが、北海道の場合、その時期を待っているとシーズンが終わってしまう(笑)。ともあれ、難易度もソレナリで、手応えのある沢行だったことは間違いない。
■おまけを少々‥ 帰宅してから沢用具の後始末をしていると、沢靴のフェルトソールがないことに気づく。私の沢靴はソール張替えタイプなのだが、痛みが激しく今沢行で終わりと思っていた。マジックテープの機能低下もあったので、恐らく、495二股からトンネルパーキングの間で剥がれたのだろうが、使いたくてももう使えない。「これ以上使うと危ないよ」とのサインと受け止め、酷使に耐えてくれた靴に感謝することにしよう。
■山行年月
2006.07.13(木)
■天気
晴/曇
■同行者
単独
■山行形態
沢登
■コース(往路/帰路)
豊似川左股沢
コースタイム
午前3時自宅(池田)出発
地点分岐等 時間
野塚トンネルP 4:25
Co495二股 4:50
Co530二股 5:10
F1 6:05
Co850二股 7:10
Co1230二股 9:35
トヨニ岳南峰 10:30
所要時間 6:05
トヨニ岳南峰 11:00
Co1230二股 11:30
Co850二股 12:40
F1 13:55
Co530二股 14:35
Co495二股 15:00
野塚トンネルP 15:35
所要時間 4:35
総所要時間 10:40
自宅午後6時30分到着
左股沢495付近 ゴーロ帯の私
沢に強烈な朝日 最初の滝
F1下流の雪渓 足下はF2
F2上流の小滝 F2のインゼル
口を開ける雪渓 下流方向
雪渓で埋る渓谷 850二股の滝
高巻中の足下は 最後の難所
開放感満点の沢 1230付近の右岸
野塚岳方向 頂上風景