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135.トヨニ岳(南日高 南峰1493M/北峰1529M)
大雲海に浮かぶ山々望みつつ仲間と辿る白い稜線の素晴らしさよ
 4月ともなれば残雪期山行の最盛期だが、中旬以降お天気がパッとしない。かろうじて23日が良さそうだが、何処へ行くか逡巡してしまう。そんな時だった。HYML(北海道の山メーリングリスト)の仲間であるganさんからトヨニ岳山行の誘いが入る。ま、仲間といっても、山に関する経験や技術等に関しては私など足下にも及ばない訳で、HYMLの中でもリーダー的存在と言ったほうが適切だと思う。04年10月の十勝岳沢遡行(ニオベツ川上二股沢)以来、2度目の同行となる。
 登山口となるのは天馬街道野塚トンネル十勝側パーキングで5時前に到着する。先着のganさんが出迎えてくれてガッチリ握手。懐かしい顔、心なしか沢装備の時よりは大きく屈強な山男風で実に頼もしい。ルート等について簡単な打ち合わせの後、先行する登山者を追うように5時過ぎ出発する。まずはトンネル北側の尾根に取付く。辺りはどんよりとガスに包まれており、勿論、稜線も見通すことは出来ない。風もなく気温も高そうで一気に汗が噴出す。雪は適度に締まり足下のワカンが埋まることはほとんど無い。快調なペースで高度を稼いでいく。いつもなら話す相手もなくひたすら歩を進めるだけだが、相手がいると話に紛れて苦痛も和らぐ感じである。途中で先行する沢詰めの登山者をパスする。ganさんの力強い動きに引っ張られるように1時間20分ほどで稜線に飛び出す。稜線上も天気に変化はなく、視界は200〜300メートルといったところか。すぐに稜線を横切る羆の足跡を見つける。30センチほどもあろうかというそれは指の形も鮮明で、おそらく早朝のものと思われた。ganさんの「ホッホッ!、ハッハッ!、ハ〜ア〜ア〜ッ」という雄叫びが稜線に響き渡る。稜線上もしばらくは平坦で、雪も比較的柔らかいためアイゼンの出番はない。それでも痩尾根がスタートする1251Jp手前で念のためにアイゼンを履く。7時30分、踏み抜きに少し苦しみながらも樹氷の花咲く1251Jpに到着する。稜線はここで西から北に方向を転じる。視界不良時などはうっかり西進してしまいそうなポイントである。1251Jpからは少しの間、尾根上には雪がなくアイゼンを脱ぐ。すぐに雪面に変るが、ganさんによると前年同期より雪の付方が少ないらしい。Co1322付近を登高中だったと思う。ベールが剥がされるように雲が切れだし、青空とトヨニ岳が、そして北に伸びる稜線が見えてきたのだ。思わず二人で歓声を上げる。更に、ganさんから「南を見てください」との声。振り返ると大雲海に浮かぶ楽古や十勝、野塚、オムシャが視界に飛び込んでくる。異口同音「いゃあ〜スゴイ!」である。感激に包まれていたせいもあるのだろうか、Co1322過ぎのナイフリッジも難なく通過する。雪が柔らかかったので容易に突破できたものの、クラストでもしていたなら難儀したことだろう。それにしても足下がいきなり奈落の底に通じているというのは気分のいいものではない。振り返ると、私達に続く登山者の姿が稜線上に浮かぶ。何処かの山岳ポスターで見たような風景である。右に豊似川左股沢源頭の深い切れ込みと、南峰から東峰に至るシャープな稜線、美しさと厳しさが同居する景観だと思う。午前9時前、登山口から約3時間で待望のトヨニ岳南峰に立つ。南峰からは北峰はもとより、屈曲する主稜線とその先のピリカヌプリと神威岳が輝いて見える。少し大袈裟な表現だが、言葉を失う美しさである。
 小休止の後、空身で北峰に向かうことにする。どういう訳か北峰はトヨニ岳の名を冠する南峰より36メートル高い。これが反対なら足を伸ばす人少ないと思うが、岳人にとっては拘りの36メートルといったところだろう。北峰まで30分、空身効果は絶大である。そうこうしているうちに、私達の後につづいていた単独の登山者が到着する。話すうちに年齢が72歳だと知る。二人して思わず唸ってしまった。その健脚振りとモチベーションの高さにはただただ感服するしかない。20年後の自分を重ねてみるも、願望と不安が交錯するばかりであった。北峰からは稜線を南進する登山者の姿も見える。先行する微かなトレースがあったが、どうやらその主らしい。たぶんピリカヌプリか‥。25分で南方に戻りここで大休止とする。後発の登山者も到着し山頂はちょっとした賑わいを見せる。前述したピリカ狙いと思われる登山者も到着する。朝3時登山口を出発しピリカ日帰りを狙ったが、手前で濃いガスのため登頂を断念したという。ツワモノという他ない。昼食はganさん特製のラーメンをいただく。少し柔らか目は私の好みでとても美味しい。大雲海に浮かぶ残雪期の山の美しさに酔いながらゆったりとした時が流れる。稜線上につづく登山者のトレースも絵になる。
 復路は、他の登山者が往路を戻るのに対し、東峰から南東尾根を下降することにする。左は日高最南端のカール、右は豊似川左股沢源頭。「落ちるなら左」などと話しているうちに東峰に到着。南東尾根は最初の200メートルほどがイヤラシイ傾斜なので、ganさんの判断で全くのツボ足で下降する。大腿まで埋まるが滑落の可能性は低減する。Co1253pまで降りてしまうと後は危険な場所はなく、尻すべりを楽しみつつ淡々と下降する。途中、2度もワカンの紐が外れてganさんを待たしてしまう。事前のメンテ不足を反省する。尾根を下降しきると次なる問題は豊似川の徒渉である。計4回川を越えるが、最初の2回(支流)はスノーブリッジを使用し何とか通過するも、流石に本流にそれはなく、浅瀬を選んで徒渉する。Co495二股からトンネルパーキングまで緩やかな登りが続く。この区間が短いようで長い。それでもganさんのトレースに助けられなんとかパーキングまで舞い戻ることが出来た。ご苦労さんの握手を交わす。内心、「足を引っ張ってゴメンナサイ」気持を込めて‥。
 前回の境山同様の心地よい疲労感が全身を包む。単独では到底選べないルートだけに、声をかけてくれたganさんに感謝である。素晴らしい景観を目にすることが出来、喜びを共有できる仲間に恵まれたことが何とも嬉しい。単独を旨とする私だが、時には仲間内の山行もいいと思う。今回の山行の印象を短歌(風)に表現し結びとしたい。
☆ 雲海に浮かぶ山並み望みつつ仲間と辿る白い稜線
☆ 輝く神威にピリカ見るにつけあと10歳若ければと
☆ 喜びを共にする仲間ありて山への意欲更に高じる

■山行年月
2006.04.23(日)
■天気
曇のち晴
■同行者
ganさん
■山行形態
積雪期登山
■コース(往路/帰路)
野塚トンネル→主稜線
東峰→南東尾根
コースタイム
自宅午前9時10分出発
地点分岐等 時間
野塚トンネルP 5:05
国境稜線 6:30
Co1251Jp 7:30
トヨニ岳南峰 9:00
9:20
トヨニ岳北峰 9:50
10:05
トヨニ岳南峰 10:30
所要時間 5:25
トヨニ岳南峰 11:40
トヨニ岳東峰 11:50
豊似川495二股 13:20
野塚トンネルP 13:55
所要時間 2:15
総所要時間 7:40
自宅午後4時30分到着
取付尾根 羆の足跡約30cm
稜線は視界不良 1251Jp直下
樹氷咲く1251Jp 雪のない稜線
突然雲が切れ‥ トヨニ岳南峰
トヨニ南峰西面 右はトヨニ東峰
雲海に浮かぶ山 雲海背景に私
徐々に南峰が‥ 南峰直下
ピリカ背景に私 ganさん
トヨニ北峰直下 北峰から南望