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102.ペテガリ岳(中部日高/1736.2M)
山行の鍵は「体力と強い意志」長大尾根越え遥かなる山の頂に立ちました
【@登山口→1121コブ→ポンヤオロマップ岳→1417コブ→テン場】
 7月末はヌピナイ右股川からソエマツ岳と決めていたのだが、直前になって相棒が行けないと言い出した。単独でヌピナイを遡行できるほどの技術と経験が私にはない訳で、急遽ペテガリ岳に転進することとなった。準備不足は否めないが、とりあえず、75Lザックにテントに水(2人で14L)、食料、衣類、シュラフカバー等々、2泊3日分プラス1日分(予備日)の山行に必要なものを詰め込む。途中、大樹のコンビニで相棒用に地形図をコピーするが、この時、コンパスとホイッスルを忘れてきたことに気づく。が、相棒はそれらを持ってきていることやルートデータをアップロード済みのGPSもあるので心配ないだろうということでそのまま行く。道々清水大樹線坂下から拓進の集落を過ぎ、10キロほど林道を走りペテガリ橋を渡ると登山口である。林道は何箇所か路肩が崩れているところがあったが注意して走れば問題はない。
 最終的なパッキングを終えると出発は9時前になってしまった。少々、遅発だが、陽のあるうちにテン場にはつくだろうという呑気さである。いきなりジグをきって尾根末端に取り付く。ムッとする暑さと重い荷がズシリ、玉の汗が噴出してくる。赤茶けた鉄製の梯子場を過ぎるとCo601で、ここから暫くはダラダラとした登りが続く。アカエゾマツの見事な巨木が生い茂り、見るからに涼しげな感じである。このコース2年前に歩いているが、登山道を塞ぐような倒木もあり時間の経過を感じさせる。陽射しは強く風も無い。いつもより水の消費量が多く休む回数も多くなる。1121コブからコースは南西から北西方向に変わる。この付近は笹原だが、登山道は完全に塞がれており、腰辺りまでの笹を掻き分け緩やかに下っていく。正面にピラミダルなポンヤオロマップ岳、アップダウンを繰り返しながら高度を上げていく。尾根は一段と細くなり、足下には深い谷が広がっている。南側はポンヤオロマップ川を挟んで対峙する早大尾根が何とも険しい。正面に見覚えのある岩壁が現れるとその基部を巻き、左側から鎖場を慎重に越えていく。頂稜まで上がり西端まで直線的に進むとポンヤオロマップ岳の頂上である。ここまで6時間、道半ばではあるが、地形図を見ながらコースの長さを痛感する。長めの休息の後、1417コブテン場に向け山頂を後にする。進むべき方向には大きな起伏がいくつか見える。思わず「勘弁してよ」と心の中で弱音を吐く。ここからは初めて歩くコースだけに登山道の状態を気にしつつ高度を下げていく。途中に小さなテン場があり、誰が置いたか青色のシート印象的だった。さて、鞍部からCo1231までは岩尾根といった感じの急峻なそれで、ロープ場や鎖場、鉄線場も登場する。が、登山道は想像以上に明瞭で迷うことはない。起伏を一つ越え1417コブへの緩やかな登りにかかる。遠かった1417コブが徐々に近づいてくる。ややブッシュ類が煩くなってくるが許容の範囲内である。1417コブからコースは西から南に屈曲する。広い尾根を下っていくとほどなく登山道の左手にポッカリと草が刈払われたテン場が現れる。先行していた私は「お〜い、着いたぞお」と後の相棒に声をかける。「嬉しい〜」という相棒の声にも安堵の色が感じられる。登山口から8時間30分ほど、良く歩いたものだ。休む間もなくテントを設営、虫が煩いのでテント内で夕食を摂る。ぬるい泡だらけビールだが、これが実に美味しい。樹間から望む綺麗な日没、翌日の好天を約束しているようだ。期待しつつ眠りに就く。
【Aテン場→1518JP→国境稜線1573JP→ペテガリ岳→テン場】
 2日目、ペテガリ岳へのアタックの朝を迎える。木々を揺らすほどの夜間の強い風も徐々におさまり、アタック日和である。そそくさと食事を摂りアタックザック一つでテン場を出発する。小さな起伏を一つ越え、早大尾根分岐1518JPまで上がってしまうと展望が一気に広がる。左手には早大尾根、二つのピーク(Co1463とCo1483)が険しさを象徴しているようだ。雲行きがやや怪しいが、ピリカヌプリにソエマツ、神威、中岳と続き、目指すペテガリが一際高く聳えている。そして、ルベツネ、1599峰である。山座固定もそこそこに1518JPから北西にコースを転じるが、このあたりがコース中、一番藪が濃い。相変わらずのアップダウン、忍耐の山行が続く。1494コブの登りで下山中の単独登山者と会う。1泊2日でペテガリ岳を狙ったが、水不足(2日で4L持参)でペテガリ岳まで2時間のところから引き返してきたという。言葉の端端に無念さが滲み出ている。私達も水には不安を抱いていただけに他人事ではないと思う。それにしても1泊2日のペテガリ山行とは、超人的というか無謀というか、少なくとも私達には考えられないプランである。1496コブまでは尾根の西斜面に踏跡がある場合が多いが、傾斜もきつく足でも滑らせようものなら無事では済まないだろう。ただ、沢から上がってくる涼風は正に救いの風でした。1496コブ西鞍部のテン場を過ぎ尾根は一段と細くなる。1570コブからは靴幅リッジといわれる部分が現れるが、潅木類もありさほどの高度感はない。右手に岩だらけのAカールが見えてくるが、ガスが1600メートル位から上を覆い始め、肝心のペテガリは濃いガスの中に隠れてしまった。徐々に近づく国境稜線、足元から中ノ川源頭にスパッきれ落ちる深く険しい谷、ここには日高の景観が凝縮されているようだ。
3時間少々で国境稜線1573JPに着く。テン場もあり、長めの休みをとる。視界は悪化の一途を辿っている。ペテガリ沢から吹き上げてくる風を左に受けつつ国境稜線を行く。スッキリとした稜線歩きを期待したが、そう甘いものではなかった。前半はハイマツを漕ぎ巨岩を縫うようにして高度を上げ、後半は笹原を上りきった後、AカールとBカールの間の小尾根を乗越し、羆の掘り返しが激しいお花畑を斜上する。締め括りは小尾根中心のハイマツを漕ぎ遥かなる山の頂上に立つ。視界は50メートルほどで、全く展望は得られないが、ガイドで見た山頂標識を目の当たりにし登頂の喜びを実感する。証拠写真を撮っていると西尾根コースから鈴の音が聞こえてくる。ほどなく単独登山者が犬とともに姿を現す。既知の間柄のように会話が弾む。途中で羆に吼えられ怖かったというが、それでも上まで登ってきたのだからご立派という他ない。聞けば、三石ダム経由の林道を利用してペテガリ山荘まで車で入り日帰山行との事(山荘まで3時間ほど)。この林道、鍵付ゲートなどもあり管理は厳しいようだが、通行許可を申請すれば鍵は借りられるとのこと。前述の登山者曰く「林道の存在が知れ渡り利用者が殺到すれば一般車通行禁止になる可能性もある」と。良識ある利用を心がけたいものである。氷入りの冷えた水を美味しそうに飲む飼い主と、火照ったからだを地面に押し付ける犬の姿が印象的だった。
頂上滞在30分で帰路に着く。目的達成後だけに気分的には高揚しているが、軽率な行動は事故に直結する。あくまで慎重に往路を辿る。国境稜線から東尾根に入ってしまうと強烈な陽射しが復活する。バテないよう水を摂取し行動食をこまめにとる。尾根の鞍部や低みでは沢からの涼風を全身で受け止めクールダウンである。1518コブから辿りしルートを振り返る。遠いペテガリと激しいアップダウン、我ながらよくぞ歩いたものだと思う。緩やかな斜面を下り、小さな起伏を越えテン場への下りにかかった時、広い尾根の右手、登山道から20メートルほど入った所に草木が全く生えていない窪地を発見する。どうやらこれがガイド記述の沼らしい。勿論、水などなく、見た目少し濡れているという感じで、テン場からは50メートルほど1518JP寄りであった。2時前にテン場に着くがテント内はサウナ状態と化していたので、登山道を挟んだ西斜面にツェルトを敷いてゴロリ昼寝する。こちら側は常に涼しげな風が吹き、安着ビールの効果もあってか何とも満ち足りたひと時を過ごす。最終日の行動を考えればポンヤオロマップ岳辺りまで戻るのがいいのだがとてもそんな気分にはなれない。やはり疲れていたのだろう。夕食の後、早めにシュラフカバーに潜り込む。
【Bテン場→1417コブ→ポンヤオロマップ岳→1121コブ→登山口】
 最終日、雲の流れは速いが天気は持ちそうだ。あまり暑くならなければいいがと念じつつテントを撤収しテン場を後にする。残った水は3.5L、生活用水としてはこの2日間、一滴も使用することが出来なかった。顔も洗わず歯も磨かず、いたって非衛生的な生活をしていたことになるが、大袈裟に言えば生きることが最優先である。水が減り食料が減りビールが無くなったことで随分と荷は軽くなった。自然と足取りも軽くなる。1417コブを越え、アップダウンを繰り返す頃になると酷暑を予感させる陽射しとなる。ポンヤオロマップ岳に着いた時はすでに1Lの水を消費していた。予定ではポンヤオロから1121コブまで1L、1121コブから登山口までで1Lという配分なのだが、その通りいくかどうか‥。ポンヤオロマップ岳の頂上でブルーベリーの実を頂く。少々酸っぱいが、子供の頃を思い起こさせる自然の恵みである。今回の山行で唯一のアクシデントはポンヤオロマップ岳直下のロープ場を過ぎ、岩壁の基部を回り込んだ付近で起きた。少し段差のある登山道を木の枝に捕まって降りようとした瞬間、ボキッ!と音がして枝が折れてしまった。勢い余った私は前方に転倒し、登山道側の木にぶつかって止まった。落ちた距離は2〜3メートルで、幸い怪我もなく、加速がつく前に停止したようでラッキーという他ない。相棒などは暫く足の震えが止まらなかったという。事故はどんなところでも起こりうる。リスクを極力小さくすべく、基本に立ち返った行動の重要性を痛感したものである。1058コブを過ぎたあたりからポンヤオロマップ岳を目指す登山者達と行き違いになる。汚れ汗に塗れた身体は異臭を放っていたに違いないが、彼らにはどう映ったのだろうか。気になるところではある。1121コブを過ぎると山旅も終わりが近い。左右の沢から川音が聞こえだすとほどなくCo601で、直下の梯子場を下り、電光を切って斜面を降りる。疲れは足に来ているようで、縺れそうになるのを必死に堪えきるとそこは登山口であった。ダニチェックの後、クーラーの涼風にあたりながら山行を振り返る。ロングコースを歩きとおした達成感と心地よい疲労感が身体を包む。
 長大な東尾根コースは確かに「体力勝負」のそれだが、同時に初志を貫徹する強い意志が山行の鍵のような気がする。そして「水」である。コース中、水場はなく全て担ぎ上げなければならない。水が命水であることをこれほどまでに痛感させられたのはこのコースが初めてである。余裕ある日程と充分な水を確保し臨みたいペテガリ岳東尾根コースである。
 蛇足ですが、下山後に大樹町の晩成温泉まで足を伸ばしました。海を見ながら少し熱めのお湯につかり山行の汗を流しました。入浴料(400円)も安く雰囲気も中々でした。
■山行年月/天気
2004. 7.29/晴
    7.30/晴一時曇
   7.31/晴
■同行者
静子
■山行形態
無雪期登山
■コース(往路/帰路)
ペテガリ岳東尾根
コースタイム(2日目)
1417南コル出発
地点分岐等 時間
1417南コルBC 4:30
Co1518JP 4:55
国境稜線
1573JP
7:40
7:55
ペテガリ岳 9:00
9:30
国境稜線
1573JP
10:20
10:35
Co1518JP 13:25
1417南コルBC 13:45
所要時間 9:15
1417南コルテント泊
コースタイム(1日目)
6時30分自宅出発
地点分岐等 時間
登山口 8:45
Co1121コブ 12:00
ポンヤオロマップ岳 14:45
15:05
Co1417コブ 17:05
1417南コル 17:10
所要時間 8:25
1417南コルテント泊
コースタイム(3日目)
Co1417南コル出発
地点分岐等 時間
1417南コルBC 5:00
Co1417コブ 5:15
ポンヤオロマップ岳 6:50
7:20
Co1121コブ 9:05
登山口 11:00
所要時間 6:00
総所要時間 23:40
14時30分自宅到着
快適なテン場 1518JPから南望
雲抱くペテガリ JPから南望
JPからペテガリ ペテガリA沢
直下の花畑@ 直下の花畑A
山頂標識 東尾根ロープ場
JPから早大尾根 起伏多い東尾根