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77.トヨニ岳(南部日高/1529M)
連続する滝にゴルジュは流石にグレードUで悪戦苦闘の連続でした
【@下二股パーキング→F4→800メートル二股→900メートル滝(C1)】
 豊似川右股沢は「日高中級入門の沢(北海道の山と谷)」とされているが、今回はこの沢を遡行しトヨニ岳(北峰)へ上がり、南峰を経て豊似川左股沢を下降するというプランである。
 初日、登山口となる天馬街道の下二股の駐車場を出発。先ずは、右股沢左岸の林道を行く。この林道は標高474メートルまで延びているが、ブッシュがひどくなってきたので440メートル付近から入渓する。最初は変化に乏しい沢相だが、標高500メートルを越えると滝が現れ一変する。所々に岩清水だろうか、色鮮やかな水草の上を綺麗な水が流れ落ちている。雰囲気は上々といったところである。F3までは簡単に巻けるが、F4になると少し厄介になる。右岸上部の靴幅程度の段を行くがその先がどうしてもいけない。確か残置ハーケンがあったはずだがと思いじっくり見てみると、目前に色褪せたスリング付のそれがあった。セルフピレイしつつ、先ず私が通過する。続いて静子を確保しようやく突破する。以降も次から次へと滝やゴルジュが現れるが、徐々に滝を巻くのが困難になってくる。さりとて直登・シャワークライムという訳にもいかない。ほとんどは、私が空身で何とか滝上部まで上がり(流れの際を直登したり巻いたりして)、ロープを下ろして静子を確保するというパターンで切り抜けていく。滝と滝の間は比較的平坦で雰囲気も良いのだが、個々の滝の突破に時間がかかりどうもペースが上がらない。出発も少し遅かったのだが、800メートル二股で13時になってしまった。北峰山頂で幕営したかったが、1000メートル二股でのそれに変更する。左股の垂直の滝を見ながら「左股は南峰直登沢だが、源頭から稜線にかけての状況はどうだろうか」などと思う。小休止の後、右股を行くが傾斜が増すのを感じる。900メートル滑滝では左岸から巻き上がり静子を確保するが、この時運悪く落石が発生してしまう。私が「ラク!」と叫ぶ。静子はそれを避けようと身体を捻るが一瞬遅く当たってしまう。急いで下降して「大丈夫か」と私。見ると鼻の横から上顎にかけ少し切れ出血しているが、その他に外傷はないようである。勿論、メットは被っていたので、頭への直撃も避けられ一安心する。早速、消毒液で消毒の後、ガーゼで傷口を覆いテープで固定する。この時点で15時近く、今日の行動はここまでとし、滝上部左岸のブッシュの中に幕営する。傾斜地だが、窪みがありテントが落ちる心配はない。念のためロープ固定する。濡れた身体は体力・気力の減退につながるので、テントの中で全て着替える。厚い靴下にフリース上下は流石に暖かい。この夜はシュラフカバーのみで寝ることになったが寒くはなかった。静子の出血もさほどではなくその他にも異常が出ない。思わぬ事故でお互いに動揺していたのは確かで、一時は「翌日右股沢を戻る」つもりでいたが、時間の経過とともに落ち着き、右股沢を下降するのはむしろ危険と判断。このまま上がり南峰から左股沢を下降したほうが安全との結論に達する。何かあっても、稜線まで上がれば連絡も容易になるとの思いもあった。
【A900m滝(C1)→1000m二股→北峰→南峰→500m二股→国道→下二股パーキング】
 ほとんど寝不足状態で翌朝を向かえ、軽い朝食の後、4時過ぎテントを撤収し歩き出す。1000メートル二股を右に入ると雪渓が現れ、1040メートル二股まで続いていた。ここは、左の北峰直登沢を行くことにし、手前の右岸の草付急斜面を上がり左股滑滝の上部に降り立つ。この場面は右股のルンゼ、中央急斜面、どのルートを選択するにせよ全く嫌らしい。ここからは水流も細くなり、滝も小さくショルダーなどで容易に越えられる。傾斜が増し伏流となると沢形が斜面に吸収される。薄い潅木の中に続く獣道を詰めていくと、ようやく北峰から北東に延びる支稜に飛び出す。そこから確かな踏跡を10分ほど辿り待望の北峰に到着する。天気は最高で、北には南日高三山が鎮座し、その奥にペテガリ岳である。また、南には南峰が聳え、雲の上に楽古岳と十勝岳が顔を出している。得難い眺望に大満足の私達であった。ここから南峰までは稜線上の踏跡を行くが、意外と明瞭である。稜線の西側は一望の下だが、東側となると見通しは良くない。ただ、南峰源頭カール付近はロックガーデンも広がっており、上部のハイマツや潅木類の層はやや薄いようで、800メートル二股を左に上がるという方法もありそうである。1時間少々の稜線散歩を楽しんだ後、南峰で大休止。穏やかな天気、ここでもう1泊したいくらいである。昼食後、東側直下からテン場(1張りOK)を左に見ながら左股沢を下る。この沢はとにかく開けた明るい沢で、ハイマツも潅木も無く1000メートル辺りまで見通せる感じである。ただ、落石の危険は限りなく高いが‥。伏流が続くが、流れが見え出すと滝が現れる。とにかく標高900メートルくらいから700メートルくらいまでは大きな滝が連続する。勿論、懸垂下降だが、雪渓からの下降1回を含め6回ほどアブザイレンをおこなった。なお、懸垂下降を要する滝には残置ピンや残置スリングはあるが、1ヶ所だけ何も無く、太い流木を支点とした。最も緊張したのが800メートル付近に残る長さ50メートルほどの雪渓の処理である。「イヤラシイ雪渓」というのが第一印象だったがそれは的中した。上部から見ると、手前に15メートルほどの滑滝があり、その下方を覆うように雪渓が残っている。沢の両岸は岩壁の急斜面で、雪渓との間にギャップもある。つまり、巻くことも雪渓上に降り立つことも困難な状況なのだ。選択肢は雪渓下を通過するしかなく偵察のため下降してみる。雪渓はこの時期にしては厚く崩壊する可能性は低い。が、とにかく暗い。沢が曲がっているため出口からの光が届かないようだ。ただ、流れは浅く平坦なのが救いである。早速、滝の下まで降り中を急ぐ。濡れるのもかまわず行くと、右岸からの流入を見るあたりで出口を目にする。安堵の胸をなでおろしつつようやく抜け出す。僅かな時間なのだが随分長く感じたものである。それにしてもこの左股沢、源頭のハイマツや潅木漕ぎはないものの、懸垂下降を要する滝の数も多く、グレードは「T(北海道の山と谷)」どころか、限りなく「U」に近い「T*」というのが妥当のようである。滝や雪渓を通過すれば後は時間との闘いである。532メートル二股、500メートル二股(ここを右に入り遡行すると野塚トンネル北口に上がれる)と順調に下降を続ける。川原も広くなり本来なら美しい川床や石を楽しみながらのんびり行きたいところだがそうもいかない。その後、異常も出ず安定しているとはいえ、静子を早く病院に連れて行かなくてはならないのだ。やがて、右手に天馬街道のオレンジ色の明かりが見えてくる。ホッとする瞬間である。左股沢沿いに走る林道に上がり国道に出る。そこからは20分ほどで下二股の駐車場に着く。時間は18時、ようやく下山したことを実感する。
 2日間、落石による負傷というアクシデントに見舞われながらも冷静に対応し、20時間以上の山中行動に耐えられたことは大きな自信となったことは言うまでもない。しかし、技術や装備、そしてプランニング等に甘さがあったことも否めない。若干総括し締め括りとしたい。
【若干の総括】
1.山中泊を前提とした沢の遡行・下降は登山道の整備された山域での一般的な縦走とは明確に一線を画するものであるが、2日間22時間に及ぶ山行に耐え抜いた体力・気力に問題はなかった。
2.ルートファインディングやロープワークは概ね妥当と判断するが、経験不足から個々の行動で時間を要する結果となった。更なる実践の積み重ねが必要である。
3.装備面では、一般的な縦走と同様の考え方で臨んでしまい30キロほどの荷となってしまった。荷は行動の制約に直結するものであり、更なる軽量化への努力が求められる(5キロほどは減量可能)。
4.前述した問題点を認識せずに「北海道の山と谷」のタイムプランをベースに1泊2日のプランを組んだことに少なからず無理があった。2泊3日が妥当と考える。
■山行年月/天気
2003. 7.19/晴のち曇
   7.20/晴
■同行者
静子
■山行形態
沢登
■コース(往路/帰路)
豊似川右股沢
豊似川左股沢  
コースタイム(2日目)
Co950左岸窪地出発
地点分岐等 時間
Co950左岸窪地 4:30
Co1000二股 5:30
北峰 9:00
9:30
南峰 11:00
12:00
Co532二股 15:15
Co500二股 15:50
国道 17:40
豊似川下二股P 18:00
所要時間 13:30
総所要時間 22:30
21時30分自宅到着
コースタイム(1日目)
4時00分自宅出発
地点分岐等 時間
豊似川下二股P 6:00
F4 8:45
Co700 10:50
11:45
Co800二股 13:00
13:30
Co900滝 14:30
Co950左岸窪地 15:00
所要時間 9:00
左岸窪地テント泊
F1 F2
岩清水 小ゴルジュ
中流域の滝@ 左岸からも滝が
中流域の滝A 二股滝(左)
二股滝(右) 中流域の滑滝
Co800左滝 Co800右沢
滝上から 雪渓
北峰からピリカ 北峰から南望
南峰から十勝岳