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55.クワウンナイ川遡行(表大雪/忠別川水系)
名渓クワウンナイ川で岩魚を食し名物の滑床を心ゆくまで楽しむ
【1日目 /8月3日 天人峡温泉→ポンクワウンナイ川出合→カウン沢出合(970m二股)】
 悪天のため断念した経過(7月下旬)のあるクワウンナイ川遡行。捲土重来を期すべく再度の挑戦となった。午前5時前に天人峡温泉の駐車場に到着。ここで、私達と同じ日程でクワウンナイ川を遡行するという函館の男性Tさんと知り合いになる。自力で遡行する自信はあるものの、天気動向も気になるし、かってないロングコース、体力や技術、判断力もそれなりに求められる。正直、同じ沢に入渓する人がいるというのは実に心強いもの。不安感が薄れリラックスした自分を感じたものである。
 メットに渓流シューズ、ネオプレーン製のスパッツに靴下。沢スタイルに身を固め私達が先に駐車場を出る。車道を戻り、忠別川に架かる仮橋を渡り荒れた林道に上がる。と、いきなり「クワウンナイ川入林禁止」の大きな看板が目につく。あまり気分のいいものではないが、無視して先へ急ぐ。入渓地点はポンクワウンナイ川出合だが、コースサインなどは一切なく、地形図で確認しつつの遡行である。水量もさほどなくホッとしたのもつかの間、河原が徐々に狭まり水位も上がってくる。股下くらいの徒渉も珍しくなく、妻と二人でスクラム組む場面もたびたびである。618m標高点を過ぎると函のお出ましで、右岸を高巻く。固定ロープもあり難なく通過する。以降は河原も広くなり陽が差し込んできたこともあり、開放的な気分に浸りながら徒渉やへつりを繰り返していく。渓相そのものは基本的に明るいようである。途中、右岸に大規模な崖崩跡があり、巨岩が今にも落ちそうに張り出しているところなどもあり、気が抜けないことには変わりはない。783m標高点で数少ない左岸からの流入を確認。予定通りのペースにすっかり気を良くする私達、思わず笑みがこぼれる。前述したTさんが876m標高点の手前付近で私達に追いつく。丁度、私達が高巻いている時で、彼は悠然と流れの中を遡行していく。慣れた身のこなしに豊富な経験と自信がうかがえる。前後しながら進むが、カウン沢出合には私達が先に到着する。ガイドの「良いテント場」という記述に札内川八の沢出合をイメージしていたが、期待はずれであった。それでも最先着の特権で上部に一番良い場所を確保しテントを設営する。昼食を摂り一息入れたところで、釣りをすることに。義弟から譲り受けた竿を取り出していると、既に釣りを始めていたTさんが来て、親切に針や錘などを調整してくれる。その甲斐あってか、静子はあっという間にイワナを吊り上げる。Tさん曰く「真剣な表情を見ているのが何とも楽しい」とのこと。私と二人で成果は10匹ほど。味噌汁と塩焼きで美味しくいただきました。焚き火も大きくなり、雰囲気は最高だったが、雲行きが怪しくなり、4時頃から本降り状態になり、翌朝まで降り続くことになる。ちなみに、この日970m二股にテント泊した遡行者は全部で12名。中には3時近くに到着し(970m二股迄9時間近くを要している)、これから源頭部まで行きテント泊すると言い出すパーティも現れ驚くやら呆れるやら。勿論、このパーティは970m二股でテント泊した。
【2日目/ 8月4日 カウン沢出合→滝の瀬13丁目→二股の滝→源頭→縦走路→ヒサゴ沼】
 テントを叩く雨音と地を揺るがすような川音で目が覚める。「ヤバイナ〜」と思いつつ川の様子を見に行くと、白波が立ち川幅も広がっている。増水しているのは間違いないが、全く濁っていないのは救いである。雨が止めば行けるだろうとの思いを強くする。Tさんと相談し、暫く様子を見ることと行動を共にすることを約束する。この日の予報は曇、ほどなく雨も上がり明るくなってきたので、12名全員が相前後して出発する。私が先頭で静子、Tさんの順である。当然ながら、私がルートを選択し遡行していく。Tさんに見られるというのは少々恥ずかしいが、自信を持って判断するしかない。増水も思ったほどでなく、順調にF1(魚止めの滝10m)に到着。川幅いっぱいに落ちる滝の見事さにしばし呆然としてしまう。これから核心部に入っていくと思うと、期待に胸の高鳴るのを感じる。カメラに収めた後、左岸を高巻く。早くも滑床が現れ、私達はすでに興奮状態である。直ぐにF2(15m)で、左端を直登出来そうだが、右岸の立派な巻道を使う。左岸に銀杏ガ原からの流れが滝となって落ち込むのを見ると、沢は大きく南から東に屈曲する。日本一の滑床といわれる「滝の瀬十三丁目」の始まりである。川幅いっぱいに広がる水の流れはまるで天女の白い帯のように見える。延々と続く滑床、くるぶしあたりまでの水量も何とも心地よい。この世にこんな素晴らしい所があったのかと思うほどの美しさだ。私達は勿論だが、Tさんもその美しさにいたく感激したようで、「この美しさを一緒に体験でき、伝えあう相手がいる事で喜びも倍増します」と話してくれた。単独行でないにせよ私達とて同感である。夢空間の滑床散歩はおよそ1時間半で終わり、直ぐにハングの滝である。気合を入れなおして右岸の巻道を行く。固定ロープが3本ほどあり、それを頼りに登るのだが、足場が少なく腕力の弱い静子には少々きついかなと思ったが、重いザックを背負ったまま登りきったから立派なもの。最大の難所を終えると15分ほどで1360m二股となる。両股とも落差のある滝で、中央の尾根についている巻道を辿り、2張りほどのテント場を経て左股に入る。後は滑床の余韻に浸りながら気分よく沢を詰める。途中、厚さ5cmもあろうかという藻に覆われた階段状の滑滝なども現れ、どこまでも楽しめる沢だ(ここで少しだけ直登を楽しむ)。源頭部は緑と花(チングルマなどは終わっていたが)に覆われ、周囲の岩石帯からはナキウサギの声が聞こえるというロケーションで、テント場としては最高である。後続のパーティなどはヒサゴからここにテン場を変更したくらいである。源頭からは明瞭な踏跡を辿り、天沼の南の縦走路に出る。ここからトムラウシ山という選択肢もあったが、流石に疲労の色濃くとてもそんな気になれない。天沼付近で遅い昼食の後、ヒサゴ沼へ直行する。登山道付近の花々は盛りを過ぎ寂しい限りだ。やはり7月頃がベストシーズンということのようである。ヒサゴ沼の雪渓で水を確保しキャンプ地に着いたのが4時半過ぎ。即テントを設営したのだが、事件は直後に発生した。愛用のテント「AIR RAIZ2」のグランドシートが縫目に沿い50cmほど裂けてしまったのだ。Tさんからガムテープをいただき応急補修をして事なきを得たものの、日頃のメンテナンスの大切さを痛感する。さて、夕食はイワナの味噌汁とカレーライス、卵スープにお汁粉という食中りでも起こしそうな珍メニュー。それでも美味しくいただき、夜はTさんを交え、山登りや教育論などについて幅広くコミを深める(声が大きく他のテント住人から注意される)。ガツガツせず穏やかで自分の哲学を持っているTさん、人間こういう生き方をしたいものである。結局、Tさんとは3日間ともほとんど一緒に行動をしていただいた。感謝、感謝である。カウン沢出合で一緒にテント泊した5人パーティは、二手に分かれてヒサゴ沼に到着した。後から着いた女性は遡行途中で滑落し、ヒサゴまで11時間ほどを要したという。疲労困憊し滑床を楽しむ余裕などなかったようである。それなりの準備や訓練を経ての挑戦とはいえ、何事もなく名渓を楽しめた私達は幸運というほかない。
【3日目/ 8月5日 ヒサゴ沼→化雲岳→小化雲岳→第一公園→滝見台→天人峡温泉】
 最終日は天人峡温泉に下るだけなのでやや遅めの出発となった。風もなく穏やかな天気、気温も高くTシャツ一枚でも汗ばむくらいだ。雪渓からの涼風の何と心地よいことか。40分ほど歩くと木道で、前方に巨岩を抱いた化雲岳が見えてくる。小高い丘といった感じのこの山は国道交差点のような場所で、この日も何人かの縦走者が休息をとっていた。外国人もいたが、彼らの目に大雪の山並みや登山者の姿はどう映ったのだろうか、聞いてみたいものだ。大雪の「ヘソ」だけに眺望は申し分ない。山座固定に時が経つのを忘れるほどである。ここで驚いたことが一つ。北側の急斜面(ほとんど絶壁)に踏跡を発見する。どう見ても下から登ってきたようである。化雲沢を遡行しここに突き上げたと見るのが自然だが、だとすれば何ともすごい強者という他ない。感心しながら天人峡コースに入ると、登山道側にコマクサの群落を見る。Tさんはその美しさに感心し、暫し魅入っていた。ポン化雲岳あたりまでは、緩やかな起伏の広い尾根を行く。気持ちの良い稜線歩きで、左手には2日間遡行したクワウンナイ川の沢筋が見え、美しい滑床と滝が思い出されてならなかった。
このコース、登りに使う人はほとんどいないと聞いていたが、この日ばかりは事情が違っていた。先ず、1947ピーク付近で学生らしき4人パーティと会う。聞けば5泊6日で十勝連峰富良野岳まで抜けるという。女性も2人いたが根性がありそうで、あふれる若さはまぶしいくらいであった(少しパワーを分けてもらった感じだ)。湿原の手前では単独者2人と相次いで出会う。どちらも話し好きで、深夜登山は当たり前で羆との遭遇経験もあると話す人、肝心の水を忘れ、水場はどこかと聞く人(500ml分けてあげる)。ともに単独行を常としていてもやはり人恋しいことには変わりはないようである。この後は悪路で名高い湿原の中を黙々と歩き、1時間少々で木道のある第一公園に着く。先月花の盛りであったエゾカンゾウは姿を消し、代わって紫色のタチギボウシ(と思う)が主役の座に。ここからダケカンバの急斜面を下り、針葉樹の尾根をひたすら歩く。右下から忠別川の川音が聞こえ、時おり背後の旭岳も樹間から姿を見せる。対岸に羽衣の滝の華麗な流れを見るとほどなく滝見台だ。ここまでが結構長かった。ここで一息入れ、最後の難所涙壁の三十三曲がり(本当に33回曲がるのだ)に耐え、午後3時に無事天人峡温泉に下山する。「やった!」と叫びたくなるような充実感を感じる。静子などは山に向かって合掌していたくらいである。 Tさんの同行に心から感謝し、この日のキャンプ地である旭岳温泉に向かう。
 沢旅の締めくくりは温泉に冷えたビールである。アットホームなロッジでその両方を叶え、充実した山行を思いかえす。至福の一時、何とも言えない満足感である。結局、降雨のためキャンプを中止しロッジ泊となる。酔ってしまったというのが真相だが、頑張った自分へのご褒美としては過ぎるものではないと思う。とにかく、暫くはクワウンナイ遡行の思い出に浸ることになるだろう。
■山行年月/天気
2002. 8. 3/晴のち雨
   8. 4/曇のち晴
    8. 5/晴のち曇
■同行者
静子
■山行形態
沢登
■コース(往路/帰路)
クワウンナイ川
天人峡温泉夏道  
コースタイム(3日目)
ヒサゴ沼CSテント泊
地点分岐等 時間
ヒサゴ沼CS 6:45
ヒサゴ沼分岐 7:45
化雲岳 7:55
8:10
Co1947p 8:40
ポン沼 9:20
第一公園 11:50
12:30
滝見台 14:05
天人峡温泉 15:00
所要時間 8:15
総所要時間 23:35
旭岳温泉H宿泊
コースタイム(1日目)
旭岳温泉CSテント泊
地点分岐等 時間
天人峡温泉 5:15
入渓地点 5:40
Co618p 6:10
Co650p 6:50
Co783p 8:55
Co876p 10:15
カウン沢出合 11:30
所要時間 6:15
カウン沢出合テント泊
コースタイム(2日目)
カウン沢出合テント泊
地点分岐等 時間
カウン沢出合 7:30
魚止の滝岐 8:10
滝の瀬13丁目 9:15
Co1360二股 11:10
源頭 13:10
縦走路 14:20
天沼 14:40
15:30
ヒサゴのコル 16:00
ヒサゴ沼 16:35
所要時間 9:05
ヒサゴ沼CSテント泊
Co850で小休止 カウン沢出合
岩魚釣りの最中 魚止の滝
銀杏が原から 滝の瀬13丁目@
滝の瀬13丁目A 滝の瀬13丁目B
滝の瀬13丁目C ハングの滝
ヒサゴ沼の夜明 日中のヒサゴ沼
ヒサゴ避難小屋