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371.大槍(北大雪ニセイカウシュッペ山南稜/1840M)
F1からの怒涛の登攀的遡行に耐えローソク岩を目にした時は天へも登る気持に
リベンジなるか 北大雪で山谷グレード「!!」の沢といえば、ニセイカウシュッペ山南稜大槍に突き上げるニセイノシキオマップ川だろう。「天国への階段」がある沢といった方が分かりやすいかもしれない。私は2006年9月に単独で遡行を試みたが、悪天と時間切れでF2から撤退している。今回、もっちゃんの同行を得てリベンジ沢行となった。天気は午後から崩れる予報なので午前中勝負と見て、前夜は層雲峡公共駐車場で車中泊する。翌朝、もっちゃんと合流し、国道から発電所横の林道に入るが直ぐに鍵付きゲートに阻まれる。少々当てが外れたが、これは想定内。手前の駐車スペースに車を止め、直ぐに歩きだす。激しく水を落とす砂防ダムを見ながら左岸から右岸へ。後半はブッシュに覆われ踏跡状態の林道を歩き、Co770Pの最終砂防ダムから入渓する。北西にコブのように突きだした流れを遡ると、川は直線状となり、Co943P手前では奥にヤケにピラミダルな山が遠望出来るようになる。ダラダラとした沢歩きが続くだけにちょっとしたアクセントとなる。
前半ダラダラも 入渓後1時間でCo1069二股到着。水量は左右ともほぼ同じ。ここは左だが、右は下降に予定している小槍からの沢である。Co1140二股を右に入ると、Co1230付近では大槍が望めるようになり、険しい渓谷に刻まれた細い沢筋が視界のものとなる。どうやらF2付近のようだが、まるで垂直の壁のように映る。「アレを遡行することができるのか‥」。私の心に、不安とも闘争心ともつかない複雑な想いが駆け巡る。そして、それは増幅しながらF1まで続くことになる。勿論、同行のもっちゃんがそれを知る由もない。Co1250二股は地形図より判然としない印象で、慎重に周囲の地形確認を行う。左の沢筋の角度のある滑床が目を引く。沢は次第に傾斜を増し、背後には石狩川を挟んで対峙する表大雪の山並が望めるようになる。いつの間にか伏流となり、それが復活するとほどなくF1である。穏やかというか、何もないブタ沢渓相(笑)は劇的に変化する。周囲は高さのある絶壁に覆われる。黒々とした岩肌は遡行者を威圧するに充分な雰囲気を漂わせる。
F1突破後に痙攣 F1(8M)は正に「門」のようで、遠目には小さく見えるが、近づいてみると水を吹き出し中々の迫力である。滝下には僅かに雪渓も残っている。「滝下で小休止しましょう」ともっちゃんに言っていた私だが、到着するや否や、空身で左岸アタックをかける。残置スリングでループ確保を取りながら落ち口まで上がる。ロープをセットし滝下まで降りてザックを回収、再び落ち口に。最後にもっちゃんを確保し、ここの突破に30分ほどを要する。60分を費やした初挑戦時を苦々しく思い起こす。全身ずぶ濡れとなり、両足の大腿四頭筋が痙攣している。無意識のうちに身体を酷使したようで、悲鳴を上げている。核心部突入直後だけに、先行不安に襲われるが撤退する気にはならない。F1から傾斜のあるガレ沢を10分も上がると待望のF2「天国への階段」である。一説には標高差100メートル、3段の滝と言われている。真偽のほどはわからないが、そう言われるとそんな気もする。1段目は難なく上がれるが、2段目は角度も長さもあるので緊張する。
中段で緊張のF2 途中にピンを打ち、ループ確保しながら2段目右岸を突破し、もっちゃんを確保する。滝は確かに階段状ではあるが、平坦で細かいホールドに欠ける。私の力量ではフリーではやや苦しく、初挑戦時にここから撤退したのは正解だったようだ。落ち口から3段目までは平坦で間隔もあるので、3段目というよりは別の滑滝といった趣である。ここはホールドが細かいので突破は容易だし、滝上は開けていて光で満たされているのがさながら天国だ。大腿の痙攣も治まるから不思議だ。登攀に集中していたせいか感じなかったが、下流から押し寄せるガスが冷たい風を運んできて猛烈に寒い。右岸に滝となって流入する支流を見ながら小滝を超える。我慢できずレインウエアを着込み遡行再開。直ぐの二股を右に入るとF3(10M)で、取付いてみるがフリーでは無理。私はバイルを併用し右岸を低く巻くが、足下の草付が崩れ微妙なそれとなる。私を見ていたもっちゃんは高く巻く。F3を越えるともう難所はなく、ひたすら稜線を目指すが傾斜は益々強くなる。
登山者の声響く Co1700を過ぎると正面にローソク岩が登場、これ以上の目標物はないと一人ほくそ笑む。ゴツゴツとした岩床が次第に草付に変り沢形も浅くなる。南稜直下ではあまりの傾斜に耐えきれず、右手の背の低いハイマツ帯に逃げ込む。大槍とローソク岩の鞍部に突きあげる沢筋を詰め、待望の稜線に出る。一瞬、ガスが切れ辿りし方向の視界を得るがもう秋の佇まいである。足元のウラシマツツジもすっかり紅葉している。大槍基部にザックをデポし大槍ピークに向かうが、傾斜がキツイので気を使う。狭いピークからは天気が良ければ大眺望に酔うところだが、残念ながらほとんどガスに包まれている。その分、高度感に恐怖を感じることはない。夏道を歩く登山者の声や鈴の音がガスの中に響く。端正なアンギラスやゆったりとしたニセイカウシを見たかったが、贅沢は言うまい。好天ならニセイカウシまでというプランもあったが、本峰登頂への拘りは全くなかった。基部まで降りてランチタイムとする。岩壁で風は凌げるがジッとしていると寒い。
意外と快適な道 こんな中、もっちゃんは上半身裸になりインナー交換だ。いやはや、若さというか、寒さセンサーが鈍っているというか‥(笑)。復路は南稜を小槍付近まで下り、Co1069右沢を降りる予定である。視界不良の中、コンパスの指示に従い下降を開始するが、最初はハイマツ漕ぎで辛い。南稜はCo1800の肩付近から南西に方向を変えるが、Co1770Pで左側から小槍へ続く夏道に出会う。どうやら大槍の東側をトラバースするように開削されていたようだ。沢登りの下降ルートとして使われているだけなのでハイマツや灌木のトンネルと化してはいるが、足元は意外としっかりとした道で、日高の判然としない登山道などよりはましかもしれない。ガスの中から次々と浮かび上がる沢筋や山塊にため息が出る。好天なら絶景に歓声を上げながらの下降となるだろう。それだけに、夏道・南稜ルートが廃道になったことが惜しまれる。小槍とのコルまでと思ったが、視界があるので手前のCo1620付近から沢筋に降りてゆく。ハイマツ帯から草付を経て沢筋に入る。
汚い印象下降沢 狭い沢だが傾斜はあり、巨岩の横をすり抜けたり、何度もクライムダウンを強いられる。Co1440辺りで左手から小槍コル沢が流入してくる。滝と呼べるものは10メートル前後のものが4個ほど出てくる(Co1390、Co1340、Co1310、Co1290)。その内、懸垂下降は3回で残置スリングがセットされていた。この沢は、とにかく流木と斜面の崩落がいたるところで見られ、どちらかというと汚れた印象である。雪崩や雪解水によるダメージが大きいと思われる。狭く立った両岸が、広く低くなると川原林も現れ、ほどなく、Co1069二股である。下降を開始して3時間、ここまで降りてようやく安堵感に浸る。途中から降り出した雨は本降りとなり、本流は遡行時より増水したような感じだが、下降の支障とはならない。ピンクテープを見ると砂防ダムで、そこから25分で車に戻りつく。身体もおニューのザックもすっかり濡れてしまったが、達成感溢れる沢行だっただけにそれも気にならない。雨に打たれながら後始末と着替えを済ませ帰路に就く。
二度美味しい沢 ニセイノシキオマップ川は評価が分かれる沢でもある。F1まではゴーロやガレが続き何もないからで、前半はブタ沢ということになるが、後半の怒涛の登攀的遡行を考えれば苦になるものではない。沢にも個性があり、全く渓相の異なる沢を遡行できるのだから、「2度美味しい」と考えるくらいの余裕が欲しい。沢のグレード設定にあたっては、その沢の様々な要素の内、難易度の一番高いそれで決めるべきで、「!!」は適性というべきである。少なくとも、巻きを許さないF1とF2は私にとって高いハードルで、過去に経験したことのない緊張感を覚えたものである。それ故、単独で挑むにはリスクが大き過ぎる訳で、今回、もっちゃんの同行なしには成立しない沢行だった。もっちゃんに感謝したい。
★それにしても、気になるのは南稜ルートだ。沢登りの下降ルートしてはせいぜい小槍北コル辺りまで使われているのだろうから、完全に廃道化しているのは小槍と朝陽山の間と推測するのが妥当である。私は藪を専科としている訳ではないが、辿りながら確認してみたい誘惑に駆られる。もっとも、体力的には不可能なので、せめて、体力や知力に自信のある強者の踏破記録を目にしたいものだ。
■山行年月
2013.09.07(土)
■天気
曇後雨
■同行者
もっちゃん
■山行形態
沢登り
■コース:往路/帰路
ニセイノシキオマップ川
南稜→ニセイノ川1069右沢
Co1069左股 核心部遠望
雪渓抱くF1 水流強いF1
F1上部から下流 F2(2段目まで)
F2(1段目上) F2(2段目)
F2の落ち口 簡単な3段目
Co1560付近の渓谷 迫るガスと寒気
F3(右岸巻き) Co1620付近
前方にローソク岩 稜線から沢筋
ウラシマツツジ ローソク岩
南稜1760P付近 下降沢源頭@
下降沢源頭A F4(Co1390)
F3(Co1340) F2(Co1310)
F1(Co1290) GPSトラック
コースタイム
前夜層雲峡公共P車中泊
林道ゲート 5:15
入渓点 5:50
F1 8:05
F3 9:45
大槍 11:15
南稜大槍基部 11:30
所要時間 6:15
南稜大槍基部 11:45
南稜下降点 12:35
Co1069二股 14:50
入渓点 15:50
林道ゲート 16:15
所要時間 4:30
自宅午後07時15分到着