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369.神威岳(北日高/1756.3M)
遡行途中に重大なアクシデントに見舞われながらも11時間を超える沢旅完遂
入渓までが長い 今季3本目の沢は北日高の神威岳。遡行は戸蔦別川八ノ沢北西面直登沢で、下降はお馴染カタルップ沢だ。長い林道歩きもあるので、日帰りとしてはややハードな部類である。戸蔦別川6号砂防ダムの最終ゲートを4時過ぎに出発。先ずは八ノ沢出合までの林道歩きである。林道の状態が安定していると思ったら、7号砂防ダムで大掛かりな改修工事中だった。この流域も山の保水能力が落ちているのか、頻繁に工事が行われているような気がする。8号砂防ダムを右足元に見る辺りから林道は荒廃し、ほとんど踏み跡状態となる。朝露でずぶ濡れになりながら70分で八ノ沢出合に到着。何度も目にする光景だが、八ノ沢を遡行するのは初めてで、自ずと気合も入る。沢はスッキリとしたゴーロ帯で、10分も進むと釜付小滝を見る。Co810二股は右だが、左股は堂々たる滝(5M)となって流入する。右に入ると岩床が露わになり、Co870付近まで滑床や滑滝、CSなどが断続的に現れる。特に、Co830の滑滝は苔が美しく、流れが岩床に沿って渦を巻き白濁している。
1100で印象激変 沢は一旦、巨大ゴーロ帯となり、向きを南に変える。この辺り、流れが中州を挟んで分かれているところもあるが、いずれも左を行く。7時前にCo1021二股着となる。水量は本流となる右がやや多い。このまま右に入り、Co1060左股(北西面右直登沢)を上がる手もあるが、今回はここから左(北西面左直登沢)を取る。いよいよ本番突入だが、はじめはデブリなどもありゴチャついた印象である。が、Co1100で印象は激変する。沢はV字形となり、最初の滑床が登場し、その奥に崩壊間近の雪渓がある。テンションの高まりを感じつつ滑を越えた瞬間、左足下に違和感を感じる。見ると、沢靴のフェルトソールの踵部分が剥がれているではないか。布製ガムテープとゴム製マジックテープで応急補修する。本来なら撤退すべき状況なのだが、そんな気は微塵も起きなかった。遡行意欲がよほど勝っていたのだろう。ま、長い林道歩きが嫌だったこともあるが‥。足元に不安を抱えながら、天井が僅かに繋がっている雪渓下を一目散に駆け抜け安堵する。
沢全体が滑滝か 快適な滑が続き、Co1130で崩れた二股を左に入ると、1160でも二股に出会う。進むべきは右股だが、右岸に雪渓が残り、滝下左岸には巨岩が迫り出し、さながら喉のような景観を作り出している。滝は15メートルほどで、傾斜もさほど強くない。直登出来そうな気もするが、取付くまでが厄介なので、左股を少し上がり、乗越気味に右股トラバースし滝上に出る。落ち口に立ってみると高度感はかなりあり、ホールドも乏しそうに見える。巻きは正解だった。滑床は延々と続き、アクセントのように滝が出現する。Co1190、Co1230、Co1240、Co1270、Co1320、Co1330、Co1350でトイ状、Co1420、Co1500でトイ状‥。直瀑であったり、大滝というものはなく、いずれも傾斜の緩い5メートルから10メートル前後の滝で、沢靴に問題がなければほとんどの滝は直登出来そうである。雪渓は所々で現れるが、処理に苦労するものはなく、Co1370がラストだった。いずれにしても、1100から1500過ぎまで滑床が続き、沢全体が滑滝と言っても過言ではない。
ゴム底の運動靴 問題の沢靴は強いプレッシャーに耐えられるはずもなく、核心部半ばでフェルト全体が完全に剥離してしまった。言わば、左足はゴム底の運動靴状態となったが、そこそこのグリップ力を得ることが出来た。ちなみに、フェルトソールは自分で張り替えたもので、右沢靴には剥離の兆候は全くない。どこに問題があったのか‥。1500は二股地形で、目指す左は緩やかな滝となって流入する。沢形は右の方が顕著だ。1570二股も左を取り、1610の二股は右に入る。驚くことに、このあたりまで岩盤が露出していた。水流は細々と続き、源頭は1680付近だった。同時に藪漕ぎの開始となる。Co1700過ぎで一瞬、藪から抜け出し背後の山並が現れる。ピパイロから1967峰、1904Pへと続くラインが美しい。再び浅い沢形に突入し極薄い灌木の藪を漕ぐ。およそ20分の藪漕ぎ、ラストでハイマツの枝をかき分け稜線に出る。カタルップ沢からの踏み跡を1分辿ると待望のピークだった(三等三角点:神威岳)。タイムプランより1時間ほどの早着に気分はいい。
ナメワッカ遠望 北日高の山々が穏やかな表情で私を迎えてくれる。札内岳やエサオマントッタベツ岳は北面を見せているが、カールや沢筋には雪渓が残っている。例年と比べるとやはり多そうで、下降ルートのカタルップ沢も北向きなので気になるところだ。ただ、今季遡行予定の札内岳山スキー沢に雪渓はなさそうだ。それにしても眺望は素晴らしい。いつもの高峰群に加え、遠く、南西方向にはナメワッカやイドンナップと思しき山稜も望むことが出来る。30分ほど、虫攻撃に耐えながら食事と眺望を楽しみ、下山の途に就く。カタルップ沢は2006年9月以来3度目になるが、今の時期は初めてだ。装備に問題を抱えているので、滑沢の下降は難儀すること必至であり、残っているであろう雪渓の処理も大きな課題である。くれぐれも、要所での判断を誤らず、急がず安全第一で降りきると肝に銘じる。刈込のある肩付近から灌木の急斜面に飛び込む。そこに刻まれた新しい遡行者の踏み跡を辿ると、次第に沢形が顕著となり、Co1640付近で水流が現れる。
頻繁な懸垂下降 妙敷山を正面に望みながら開かれた沢を降りてゆくとCo1540で最初の雪渓だ。Co1490の滝は左岸を巻いて降りる。滝下からは標高差にして50メートルほど、雪渓が沢を埋める。Co1380の滝を左岸から巻き、Co1340の大滝も左岸から右股にトラバースし降りきる。ここにも滝下には雪渓が残り、厚そうなので上を行くがヒヤヒヤものである。Co1280付近からは連瀑帯となるが、いきなり、15メートルほどを懸垂下降し、あとはクライムダウン。滝下には巨大な落石が鎮座している。雪渓が解け、沢が落ち着くまで落石には要注意だ。Co1180の高さのある滑滝は左岸を2度の懸垂で降りる。左岸の藪を巻き降りられるという記憶があったが、無理はしないことにする。Co1130には巨岩が流れを堰き止めCSを形成していた。同じように見える沢風景も実は刻々と変わっているのだ。Co1070の右岸ハング滝も懸垂で下降すると、右から沢が流入してくる。ようやく、Co1030の直登沢出合である。勢いのあるトイ状の流れは、いつ見ても遡行意欲をそそられる。
下流域で試練が ここまで2時間50分を要しているが、焦ることなく、水分や行動食を摂る。真夏日の麓を離れ沢中に身を置ける幸せを感じつつリスタート。Co970の15メートルは左岸を懸垂で降りるが、途中でロープを仮固定し直瀑を横から写真を撮る。水量もたっぷりとあり、物凄い迫力である。滝下から改めてその雄姿を眺める。これまで沢山の滝を見てきたが、これほどバランスの整った立派な滝は滅多にあるものではない。以降、ロープを使うような難所は出てこないが、小規模な滑滝と滑床が出合まで続く。ゴム靴とフェルト靴の組み合わせでは最も辛いところだ。案の定、スリップすること度々で、腰が完全に引けてしまう。とても流れの中を降りることが出来ず、巻きやトラバースを繰り返す。いつまで続くかこの試練、と思った下降も沢がCo750で北東に向きを変えるとフィナーレは近い。最後の最後まで滑に苦しめられ、「当分滑は見たくない」、そんな気持ちに思わず苦笑してしまう。山頂から4時間45分、右岸からカタルップ橋に上がり難行を終える。
下降には不向き さて、初遡行となった八ノ沢北西面左直登沢の評価についてだが、完全な滑沢で、厳しい高巻きや微妙な登攀を強いられるシーンもなく、勿論、ロープの出番もない。ルート選択も容易で藪漕ぎも極易しい。遡行者は沢靴のフリクション効かせて快適な遡行が楽しめることだろう。結果、山谷的評価は、長い林道歩きを考慮し「!*」とした。但し、この沢を下降に使用することはお勧めできない。頻繁なクライムダウンやロープ確保を強いられるに違いないからだが、支点となる灌木が乏しいのも付加しておきたい。なお、北西面右直登沢の記録は、ふ〜ちゃんさんの沢行記がある程度でほとんど見かけない。機会があれば右沢にも挑戦してみたい。休憩を含め11時間30分に及ぶ沢行、気がつけば今季初の単独だった。精神的にも肉体的にも良く耐えたと自画自賛する。
■山行年月
2013.08.11(日)
■天気
晴時々曇
■同行者
単独
■山行形態
沢登り
■コース:往路/帰路
八ノ沢川北西面左直登沢
カタルップ沢北東面直登沢
Co830の滑滝 Co840の滑床
Co1100の滑床 崩壊間近の雪渓
Co1150の滑床 Co1160右股の滝
Co1190の滝 Co1230の滝
Co1240の滝 Co1270の滝
Co1320の滝 Co1330の滝
Co1350のトイ状滝 Co1420の滝
Co1500トイ状滝 源頭風景
今回は青ヘル 幌尻と戸蔦別
1967とピパイロ 勝幌と札内
エサオマン札内JP Co1340大滝
連瀑帯 Co11802の滑滝
直登沢出合 Co975の大滝@
Co975の大滝A Co940の滑床
Co870の滑床 GPSトラック
コースタイム
自宅午前02時30分出発
6号砂防ダム 4:15
八ノ沢出合 5:25
Co1021直登沢出合 6:50
Co1500二股 9:05
神威岳 10:00
所要時間 5:45
神威岳 10:30
Co1340大滝 11:45
Co1030直登沢出合 13:20
カタルップ沢出合 15:15
6号砂防ダム 15:45
所要時間 5:15
自宅午後05時30分到着