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357.東斜里岳(知床山域/1452M)
東壁フリー登攀の御褒美はアルペン雰囲気たっぷりの斜里三座の揃い踏み
マンネリ化打破 今季は北日高のスキー山行が続いていたが、マンネリ化は否めず、久しぶりに管外遠征をプランニングする。行先は斜里山魁の一座・東斜里岳。勿論、初山で準備の段階からモチベーションが上がるのを感じる。万全を期すべく前夜の内に麓の清里町に入り車中泊する。深夜3時に起床。満天の星空のもと登山口となる根北峠へと車を走らせる。峠道に入ると前日の雪が風に舞い所々に吹溜りを作っている。根北峠に着くとそこは強風で木々が大きく揺れているではないか。悪い予感が的中。高揚していた気分が一気にダウンする。支度も横着して車内で済ませ、日の出を待つことにする。そんな折、予期せぬことに登山者の車が到着。彼は完全なスキー狙いで、付近の東斜面を周遊すると言い残し先に出発していく。出発を逡巡していた私だが、こうなると俄然ヤル気が出てくる(笑)。夜も明けきらぬ内にヘッデン山行のスタートを切る。
濃いガスと強風 
根北峠からは、2010年3月に南斜里岳に上がっており、歩き始めはほぼ同じルートである。幸い、轟々たる風音はするものの、樹林帯は比較的静寂を保っている。20センチほどの新雪ラッセルが何だか心地良い。フラットな地形と変らぬ植生、方向感覚がマヒしてしまいそうだ。30分も歩くと充分に明るくなるが、樹間から見え隠れするはずの東斜里岳は白いガスに包まれている。背後左の標津山魁は山並を露わにしているのだが‥。途中でGPSによるコースチェックをしてみると、南にズレていることが判明。木立を回避している内に方向がズレたようだ。決定的なミスコースという訳でもなく、徐々にルートに修正をおこない、パンケニワナイ川が望める尾根南端(Co750P)で予定ルートに合流する。結果、樹林帯を抜けだすのに2時間弱は30分ほど時間オーバー。新雪といえどもラッセルが堪えたようだ。風は強まり、沢を挟んで対峙する南斜里岳の東尾根もぼんやりと見えるだけである。一方、予定ルートに目を移すとCo1070Pの尾根分岐がかろうじて浮かび上がるだけで、その先はガスに覆われている。シュカプラや吹溜りが交互に現れる緩斜面を上がる。
劇的に視界改善 ペースも上がらず、頻繁に小休止を繰り返す。心の中では「Co1070Pまでだな」という気持ちに傾いていた。標津山魁の左側に広がる太平洋がオレンジ色に鈍く輝いている。広かった尾根も次第に収斂し傾斜も増してくる。クラストした斜面にエッジが利かない。Co1070Pまではスキーでと思っていたが、直下でギブアップ。スキーをデポし、アイゼン&ピッケルに切り替える。心なしか周囲が少し明るくなったように感じていた。もしかすると東斜里岳が見えるかもしれない。心を弾ませながらCo1070Pに上がると、前方にぼんやりと東斜里岳が望めるではないか。風は一段と強くなるが、その基部までは行ってみようという気になる。ほとんど踏み抜くこともなく、アイゼンを軋ませながら歩く。それにしても風が強い。耐風姿勢をとること度々で、気を抜くと飛ばされそうな気がする。おそらく、15M/S近くはあるのではないだろうか。頂上山塊に近づいているせいもあるが、強風でガスが飛ばされているようで、視界が劇的に良くなっていく。
大きく高い東峰 平坦な尾根地形の奥に東斜里岳が整った山容を見せてくれる。第一印象はとにかく大きく高いである。Co1070Pから1時間も歩くと頂上峰の基部に到達する。ガスは完全に切れ、嬉しいことに風まで弱まってくれた。風が強ければ基部から撤退するつもりだったが、これだけの好条件、登らない手はない。右手前方には尾根越しに流氷に占領されたオホーツク海が、その右には平坦で真白な海別岳が遠望できる。背後の標津山魁は尖峰が存在感を発揮している。そして、左手には南斜里岳と1508峰(西斜里岳)が青空を背景に堂々たるスカイラインを形成する。絶好のロケーションの中、いよいよ頂上アタックである。キツイ傾斜は絶壁のごとく迫ってくる。ここをフリーで登ろうなんて無謀だ!というもう一人の自分が疑問を呈する。確かに、ネットなどでは、ザイル確保という記述をよく目にする箇所だが、何とかなりそうな気配はある。下から見た限りでは、この壁は二段となっていて、中間部がやや平坦なようである。時間をかけて弱点を探す。
直下を慎重登攀 下段は比較的容易で、全体としては固いが、やや不安定な雪面に慎重なアイゼン&ピッケルワークを繰り返す。登攀者の緊張とは裏腹に氷化した小さなエビの尻尾がキラキラ輝いて美しい。正面の岩場の左側を回り込み中間部まで上がる。そこで一息入れた後、上段に取付く。明らかに下段よりは立っていて苦戦を予感する。最初はやや右側にルートをとるが、ラスト2メートルが突破できない。次いで、左側に回り込んで偵察する。こちらは、傾斜は少し緩むが長さがあり柔らかい雪質もイヤラシイ。左側はパンケニワナイ川源頭が、右側は幾品川源頭がそれぞれ大きく口を開けている。慎重の上にも慎重を期し下した決断は右側ルート。ザックをデポし30メートルザイルを担ぎ上段アタックをかける。下を覗き込むと足が竦みそうだが、確実な三点確保で弱気を一掃する。パンケニワナイ川方面からスノモの爆音が山中に轟く。彼等から東壁に取付いている私が見えるだろうか。問題の2メートルを突破すると、もう難所はなく、11時前にピークに立つ。
時間かかり過ぎ スタートからの所要6時間は想定外だが、登頂の対価としては些細なことだろう。狭く細長い頂上からは得も言われぬアルペン的雰囲気を味わうことが出来る。北側に一際高いドーム状の斜里岳が鎮座し、その左に意外と大きい馬ノ背ピークが連なる。西側の1508峰は端正な山容で山名がないのが不思議なくらいである。それに比べると、名前のある南斜里岳は尾根上のポコ程度にしか見えない。東方向奥には薄ら知床連山も遠望でき、スタート時には考えられなかった状況好転である。我身の幸運に感謝しながら下山の途に付く。基部まではとにかく気を抜かずにクライムダウンである。時間にして20分程度、降りきった時は大きな安堵感に包まれていた。緊張していたのだろう、直後に大腿部が攣ってしまった。南斜里岳に登った時に、東斜里岳はザイルを使用したパーティ登攀でなければ登れないと考えたことを思い出していた。当時より登攀技術が向上したとは思えず、経験とそれに裏打ちされた自信が私を前向きな気持ちにさせたのだろうと思う。
源頭にスノモが 登頂した満足感と広がる大絶景に酔いながらの尾根下りだが、右足元のパンケニワナイ川源頭にスノモが姿を現したのだ。源頭斜面を勢いよく駆け上がる。彼等も爽快であろうことは想像に難くない。単純な「スノモ悪者論」に与するつもりはないが、冬山へ入るための教育とか準備が必要だということである。登山者の場合は、それ相応の体力や訓練が必要なので入山者は自ずと限られるが、スノモは簡単に山奥深くまで入れてしまうことによる危険や弊害も潜んでいる。果たして、彼等はどう考えているのだろうか。登高時は強風とガスで苦しんだ尾根も春らしいポカポカ陽気である。雪質が一様でないため恐る恐る滑り降りるが、滑降目的で来た訳ではないのでこれで充分である。問題は平坦な樹林帯の滑りがどうかということだったが、スキーが高下駄状態になることもなく、望外の滑りを得ることが出来た。往路のトレースはかき消されていたが、私が付けた全てのコースサインを回収できたのも何よりというべきか。帰り際、根北峠から望む東斜里岳が本峰以上に大きく高く見えたのは気のせいだろうか。
★今回、実は密かに本峰に登るつもりでいた。9時くらいまでに東斜里岳に上がれれば行くつもりでいたが、2時間遅れでは問題外である。見た目だが、ルート上で難しそうなのが馬ノ背ピークの処理である。高さのある細尾根だけに、私の技術レベルでは、フリー登攀は厳しいかもしれない。残すは東コルから南西側をトラバースし馬ノ背に上がる方法だが、こちらは雪崩の心配もありそうだ。いずれにしても、順調に推移したとしても東斜里岳から往復4時間位を見ておく必要があるだろう。
■山行年月
2013.03.17(日)
■天気
曇後晴
■同行者
単独
■山行形態
積雪期登山
■コース:往路/帰路
根北峠・東尾根
ガス迫る樹林帯 尾根端から1070P
南斜里岳東尾根 ガスるCo1070P
1070P直下で青空が 1070Pから東斜里岳
右奥に海別岳 大きく高い東斜里
辿りし東尾根 南斜里と1508峰
エビの尻尾 東壁下段の岩場
張付くエビの尻尾 東壁上段
本峰と馬ノ背P 流氷のオホーツク
端正な1508峰 南斜里岳
標津山魁 スノモ斜面を疾走
下山時の東斜里 GPSトラック
コースタイム
前夜札弦道の駅車中泊
根北峠 4:50
Co1070JP 8:50
東斜里岳 10:55
所要時間 6:05
東斜里岳 11:05
Co1070JP 12:05
根北峠 13:30
所要時間 2:25
自宅午後6時10分到着