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344.トムラウシ山(表大雪/2141.2M)
出だしのミニクワウンナイに歓喜するも連続する涸滝と詰の大急登は辛かった
鮮やかな朝焼け 岩内岳ウエダ川東面直登沢をご一緒したもっちゃんから、パンケトムラウシ川からトムラウシ山への沢行お誘いメールが飛び込む。私は、北日高の幌内岳(九ノ沢左沢)沢行を予定していたが、比較にならないほど魅力的なプランなので、即座に同行をお願いする。当日未明に出発という手もあるが、安全を期して前夜遅くにトムラウシ温泉まで入り、車中泊する。早朝4時、もっちゃんと合流し、先ずは彼の車を短縮登山口にデポする。私の車でパンケトムラウシ川出合を目指す。樹間に見える朝焼けが燃えるように赤い。あまりの凄さに天気が急変するのでは、と心配になってくる。林道は、カムイサンケナイ川に架かる神威橋から20分ほど(Co920P)の枝沢出合で突如として崩落している。寸断された林道断面からは、最近崩落したものではないことが分かる。地形図から、パンケトムラウシ川出合までは10分ほどと見て、林道を歩きだす。
川幅一杯の滑床 今回はもっちゃんの山仲間・テルさんも一緒だが、溢れる若さが羨ましい。左手の尾根を回り込むように高度を下げていくと目指すパンケトムラウシ川出合である。この沢はトムラウシ川の支流で、通称「西沢」と呼ばれている。小さな沢形で少し鬱蒼としているが水は綺麗だ。極薄い空色で、波長の短い青い光を散乱させるような物質が含まれているのかもしれない。入渓後15分でいきなり川幅一杯に落ちる滑滝が登場する(Co930P)。高さ8メートル、幅は10メートルほどだろうか。美しさに見惚れつつ、ここは右岸水際を直登する。滝上からは200メートル以上の滑床が続く。クワウンナイのミニチュア版という印象だ。3人が驚嘆の声を上げながら歩いて行く。もっちゃんが「日高にはない趣きがある」と口にする。Co960二股は右を選択するが、滑床が続く左股も捨てがたい。流れを堰き止めるような巨岩を回り込むと15メートルほどの滝で(Co980P)、苔むした岩床を落ちる幾筋もの水が美しい。バイル効かして無理矢理左岸を高巻く。
特徴的な函地形 沢身に戻ると両岸は迫立ち、函状地形となる。そのどん詰まりにり、20メートルはありそうな滝で(Co1030P)、滝下には浅く広い釜がある。水は高さ2メートルほどの所から左右2個所流れ落ちている。何やら不思議な空間である。直登は勿論不可能で、ここは少し戻り、左岸の草付を上がり、傾斜の緩む灌木帯をトラバースして落ち口上流に戻る。巻き道は意外と明瞭である。巻きに要した時間は20分ほどで、草付登高に不慣れなテルさんにロープを出す。そこからの沢といえば、水流は消失し巨岩と涸滝が支配するようになる。とにかく、Co1400過ぎまで涸滝がこれでもかと頻繁に出てくるのである。その数、20個以上はあったように思う。地形図からは読み取ることのできない渓相である。特徴的なシーンをい幾つか文章で再現してみたい。Co1100(10M)とCo1130(10M)の滝はいずれも直登する。前者は傾斜もあり見た目は厳しいが、順層なので容易に登攀できる。後者は僅かに水流があり、左岸の僅かなホールドを頼りに突破する。
清い水の不思議 Co1140Pではを釜付のノッペリとした滝(3M)を見る。私とテルさんは右岸を巻くが、もっちゃんは果敢に直登を試みる。しかし、結果は惨敗。胸まで水に浸かることとなる。この滝は最高のウォータースライダーで、下降ルートでないのが残念!。Co1160付近は美しさが凝縮され、思わず足を止めてしまうだろう。やや、ゴルジュっぽい地形で、岩壁と岩は苔に覆われている。足元には澄んだ水が溜まり、なんと、沢床に刻まれた筋すらクッキリと浮かび上がる。さながら、「緑の回廊」といった雰囲気すらする。それにしても、流れがないにもかかわらず、これほど水が清いのは何故なのだろうか。遡行区間、全体に共通する不思議である。Co1170Pで釜付25メートルで、滝上部の岩床がハーフパイプ状に窪んでいる。強く激しい水流を思わせる。そう言えば、巨岩にポッカリと空いた穴も‥。気の遠くなるような時を経て浸食されたのだろう。
全身のバランス 右岸を巻いて落ち口に出る。Co1210で釜付5メートルを越えると、Co1230では傾斜の緩い5メートルCSと、変化に富んだ滝に出くわす。この辺り、背後にはニペソツ山が望めるようになる。Co1280の5メートルは、岩床の斜上する僅かな隙間に足を突っ込み落ち口に抜ける。全身のバランスが必要な場面だ。Co1290で8メートルを直登し、Co1320の10メートルは右岸を巻く。Co1330の8メートルは身体をねじ込むのも難しく、Co1340の10メートルはノッペリとした岩床を見せる。何れも右岸を巻く。Co1350付近を過ぎると、ようやく沢は開けてくる。Co1370で釜付5メートルで、深く抉られた釜が目を引く。Co1420で右岸にへばり付くように雪渓が残っている。滴り落ちる水が涼風を運んでくれる。但し、近づくのは危険で、もっちゃんが「危ないですよ」と声をかけてくれる。沢が少し左に曲がる所に岩を積み上げたような10メートルがあった。
山頂ダイレクト 最初、左寄りに直登を試みるが、上部3分の2辺りで行き詰る。ならば、右寄りはどうかとチャレンジするも、岩質が脆くイヤラシイ。ヤル気満々のもっちゃんを説得して、右岸を巻く。結局、この涸滝が締めくくりのそれとなった。ここまで要した時間は4時間20分ほど。遡行距離こそ短いが、連続する涸滝の処理に手間取ってしまった。少々、オーバータイムだが、いざとなれば夏道に逃げられるので、精神的に追い詰められた感覚はない。核心部の厳しさと美しさに思いを馳せながら進んでいく。Co1500過ぎで前方が一気に開け、トムラウシの頂上山魁が視界に飛び込んでくる。天気も最高で、もっちゃんとテルさんに山頂ダイレクト以外の選択肢はないようだ。若い二人に引きずられるように、私も同意する。600メートルの急登は苦しいだろうが、夏道下降なので13時までに登頂出来ればという余裕があった。Co1530二股を右に入るが、これは早過ぎた。沢筋がやや不明瞭になり薄い藪を漕ぐことになる。足元のチングルマも綿毛姿だ。
叫ぶもっちゃん 鹿道に助けられながらジワジワと高度を稼ぐが、予想通り、二人はどんどん先を行く。私はいつもの通り失速する(笑)。突然、2番手を進むテルさんが「羆だよ」と声を上げる。羆は左手の沢筋に逃げたらしいが、以降、もっちゃんの雄叫びも一際大きくなる。東峰ダイレクトを意識し、Co1900付近で左にトラバースし、隣のより顕著な沢筋に出る。ここまで上がると、東大雪の山々は一望のものとなり、高かった前トムラウシ山も平坦な1743も眼下のものとなる。左奥の下ホロカメットク山は何処から見ても端正な三角錐である。高度を上げるにつれて藪は姿を消し、岩山然とした様相を呈してくる。ザレ場のコマクサが痛々しい。先頭を行くもっちゃんは東峰に到達したようで、ほどなく、テルさんも頂上稜線に消えていく。私のスローペースに痺れを切らしたのだろう。もっちゃんが本峰に向かうと叫ぶ。私は、東峰からの僅かな登り返しが辛いので、この日のピークは東峰と決めていた。タイムリミットまで40分を残し何とか東峰に辿りつく。
空身でピストン もっちゃんは本峰直下に達し、テルさんは本峰に向かって東峰を下っているところだった。山頂の登山者は、思わぬ所から現れた登山者に驚いたことだろう。私は20分ほどのランチタイムの後、本峰直下の夏道に降りる。ウラシマツツジが紅葉している。猛暑が続いてはいるが、もうそんな時期なのだ。頂上まで30メートルほどの夏道に合流し、ここに荷をデポしピークに向かう。山頂にはもっちゃんとテルさんだけで、週末のこの好天にはそぐわない100名山の頂上風景である。もっちゃんから安着ビールをご馳走になりながら、360度の大眺望を堪能する。テルさんは初めてのトムラウシとのこと。初登頂が沢ルートからというのは稀有な例に違いない。山座固定で暫し時が流れる。つくづく、大雪はゆったりと雄大に佇んでいると思う。13時過ぎに下山を開始する。沢装備を詰め込んだザックは登高時より重い感じがするが、これも目的成就故にさほど苦にならない。但し、脚には相当きているようで攣ることしばしばで、ダブルストックが有難い。
遭難者に見える 分岐から南沼CSのカラフルなテントに別れを告げ、夏道を下る。沢から直接夏道に向かうとトムラウシ公園付近に上がるのだが、そこまで降りてしまうと、本峰は高く遠い。ピークダイレクトはやはり正解だったようだ。ふと、夏道登山者から見えたに違いないが、彼等にどんなふうに映っただろうかと思う。もしかすると、遭難者に見えたかも‥(笑)。前トム平ではテント担いで上を目指す登山者と下山途中の登山者が行き違う。風もなく優しい日射しに、横になると寝入ってしまいそうになる。そんな誘惑に打ち勝ち岩場を下り、コマドリ沢出合まで降りる。カムイサンケナイ川に水流はなく、左岸にあったはずの湧水もない。ガッカリしながら右岸沿いの夏道を300メートル弱下り、右岸尾根の背まで100メートルほどの登り返しに入る。玉粒の汗を滴り落としながら15ほどで難所をクリアする。もう辛いところはなく、カムイ天上で小休止を入れた以外は何も考えずに淡々と下降を続ける。結果、4時間弱で下山を完了することが出来た。
タイヤ交換12分 ヤレヤレと思った矢先、デポしてあったもっちゃんの車の右後輪がパンクしているではないか。協力してタイヤ交換を12分で済ませ、私の車を回収に行く。林道車止にはもう一台車が止まっていた。パンケトムラウシかトムラウシ本流か、はたまた渓流釣りか。車を脇に寄せてあって良かったと‥。ちなみに、ここには車は2台止められるスペースがある。トムラウシ温泉に着いた頃には山は暗闇に包まれていた。「秋の日はつるべ落とし」とはよく言ったものである。往復12時間に及ぶ山行に身体は悲鳴を上げているにもかかわらず、心は満足感で溢れ、ハンドリングも軽やかに家路を急ぐ。遡行そのものも充実したものだったが、もっちゃんとテルさんの和気藹々としたやりとりも楽しかった。誘ってくれたふたりに感謝したい。

☆もっちゃんのhp(山行記)は下記からどうぞ。
http://www9.plala.or.jp/mocchann-hidaka/kiroku250/202tomurausi.html
■山行年月
2012.09.08(土)
■天気
快晴
■同行者
もっちゃん、テルさん
■山行形態
沢登
■コース:往路/帰路
パンケトムラウシ川
夏道(温泉短縮C)
滑滝 滑床
Co980の滝 Co1030の滝
Co1100の滝 Co1130の滝を登攀
Co1140の滝 直登に挑戦
澄んだ水 緑の回廊
Co1170の滝 Co1210の滝
Co1230の滝 微かに色づく水
背後にニペソツ Co1280の滝
岩床の穴 Co1290の滝
Co1320の滝 ハーフパイプ
Co1340の滝 Co1370の滝
Co1510からトムラ 先行する若者
東峰直下 東峰から本峰
コルから十勝連峰 ウラシマツツジ
山頂標識 GPSトラック
コースタイム
前夜トムラウシ温泉車中泊
林道車止 5:05
パンケトムラ川出合 5:20
Co1030滝 6:05
Co1530二股 10:00
トムラウシ山東峰 12:20
12:40
トムラウシ山 13:05
所要時間 8:00
(20)
トムラウシ山 13:15
前トム平 14:30
コマドリ沢分岐 15:05
カムイ天上 16:10
登山口 17:00
所要時間 3:45
自宅午後09時05分到着