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342.岩内岳(中日高/1497.8M)
時間切れで途中撤退もトップクラスの難易度誇る核心部の遡行に大きな自信
強靭な沢屋同行 「岩内岳」というとほとんどの人はニセコ連山北西端の山を思い浮かべるに違いないが、実は、日高山脈にも岩内岳(三等三角点/点名:岩内岳)は存在する。十勝幌尻岳から南に派生する支稜上に位置し、当然ながら夏道はない。無雪期は主として沢登りでその頂を目指すことになるが、数少ない山行記録によると、西側の札内川六ノ沢から西面沢もしくは南西面沢が登路となるようだ。ただ、こちらは山中一泊を要するロングルートである。一方、東側は岩内川支流のウエダ川が遡行ルートとなる。入渓点まで林道が伸びており、アプローチは格段に良い。沢の長さ、獲得標高から考えると日帰りは難しくないと思えるが、地形図からはハードな沢行が浮かび上がる。それ故、遡行してみたいという誘惑にも駆られる。数年前から密かに遡行機会を窺っていたが、今回、もっちゃん(HYML)という強靭な沢屋の同行を得て実現することとなった。
廊下にゴルジュ 岩内仙峡を抜け、東京部品工業の試験場を回り込みウエダ川左岸の林道に入る。この林道、ブッシュに覆われているが、崩落個所もなく走りやすい。中札内の市街地から30キロ弱入ったCo450二股手前の林道脇に車を止め、先に伸びる林道を少し歩いて入渓する。しっとりとした渓相に感心しながら歩くも、直ぐのはずのCo450二股がやけに遠い。不審に思いGPSでチェックしてみると、既に、Co450右股のCo500二股まで来ているではないか。入渓点確認をサボり、漫然とした遡行でもっちゃんに迷惑をかけてしまった。愕然としつつCo450二股まで戻る。ルートミスで1時間ほどのタイムロスとなったが、これが後後響くことになる。Co450左股も右股同様に趣きのある渓相である。全く穏やかな廊下やゴルジュっぽい地形が頻繁に出てきて、気持が自然と和んでくる。おそらくマイナスイオンが充満しているのだろう。黒い岩床と苔むした岩も中々のコントラストを演出している。可愛らしい釜付滑滝を2〜3個越え、沢が右に曲がった所(Co590)で滝(F1)に出会う。釜付の8メートルほどだが、どうして立派な面構えである。ここは右岸の岩棚を上がる。
圧巻の連瀑攻撃 Co620は三股で左股は20メートルほどの滝で流入する。但し、水量は少ない。ちなみに、右股も幅広の滑滝である。ルートは中股で、穏やかだった渓相は一変し、傾斜も急激に増してくる。Co650Pで手前に小滝を従えたF2(20M)が現れ、ここは左岸を巻く。滝上は階段状の小滝で、黒光りする岩床が眩しい。Co690Pの10メートル(F3)は左岸を小さく巻く。滝上は滑滝が連続し、Co750で10メートル(F4)を見るが、ここは順層なので迷わず直登する。息つく暇もなくCo770Pで4段の滝(F5)で、3段目まで直登するも、最後の4段目は右岸を小さく巻く。全体では30メートルほどありそうだ。Co790付近で滝下に流木が詰った滝(F6)7メートルを越えると沢は城壁のようなどん詰まりとなり、正面に圧巻のF7(30M)が登場する。ルートは左岸高巻きしかなく、急な草付斜面をバイル効かして上がるが、落石を起こさないように足元に気を配る。上部の灌木帯から笹藪をトラバースして沢身に戻る。巻きに要した時間は30分ほどだろうか。
雪渓奥に大滝が Co840で左岸に流木のかかったF8(7M)を越えるとCo850二股で、ルートとなる右股には巨大な雪渓が待ち受けていた。冷気がガスを発生させ幻想的な絵ではあるが薄気味悪いのも確かである。長さは100メートル近くあるようで、左岸斜面から雪渓端に乗る。慎重に移動し、私は左岸斜面に、もっちゃんは右岸斜面に降りる。雪渓下の大きな空洞を目の当たりにすると恐ろしさすら感じる。Co880二股を左に入り、少し上がるとF9(30M)が私達の遡行を阻む(Co930P)。水は滴り落ちる程度で、ほとんど涸滝状態である。滝上部に不自然に引っかかっている流木が面白い。左岸を小さく巻けそうな気もするが、露出した岩盤をトラバースしなければならない。イヤラシイ傾斜と高さは突破を容易に許してはくれない。安全最優先で、手前から灌木帯まで上がり大きく高巻く。中間に一本沢筋が入っており、これが意外と急で深い。回避しようとするとドンドン上へと追いやられてしまう。執拗に纏わりつく獣臭を振り払うかのように藪を漕ぐ。
記憶にない巻き 結果として、70〜80メートル上がり、200メートルほどの横移動となる。懸垂で沢身に戻るが、巻きに要した時間は60分で、私自身、これほど厳しい巻は記憶にない。滝上は流木の巣と化していた。沢身に無事戻ったはいいが、直ぐ上は水流こそ乏しいが三段の滝(F10)で、高さは合わせて20メートルほどある。一段目は右岸の岩棚を上がり、二段目、三段目は直登する(Co980P)。私がリードするが、ホールドは意外と確かだ。滝の上流は流木の詰まった小滝が出てくるものの、核心部を脱した穏やかさが漂う。但し、傾斜は依然として急でガレも一段と強くなる。やがて、岩盤が剥き出しの7メートルほどの涸滝(F11)が現れ左から越えるとCo1100二股となる。時間は11時20分。頂上までは標高差にして400メートルほど。空身で往復も考えるが、順調に登高、下降できても最低2.5時間は見ておかなくてはならない。核心部の厳しい下降を考慮すると無理はできない。タイムリミットを11時30分に設定していたこともありここから撤退することを決める。
幸運な落石回避 右股に少し入った所でランチタイムとするが、出だしのミスルートがなければ‥。後悔の言葉が口をつく。そんな時、カ〜ンと、やや甲高い音が左股から聞こえてくる。自然落石である。左股で休んでいたら直撃を受けていたかもしれない。我身の幸運に感謝しないではいられなかった。苦戦必至が頭にあったせいか、ランチを僅か15分で切り上げて下降を開始する。大きな滝はおおむね遡行ルートを降りるが、F9はその上部のF10から一気に巻いてしまう。ここは下降といえども辛い巻で、沢身に戻るポイントを探すのに一苦労する。中程度の滝は数が多く、何処を上がってきたか忘れてしまうシーンが度々あった。懸垂下降は巻きの急斜面(F7)とF5、残置スリングのあるF2での3度だけ。ことのほか消耗したのが、滝と滝の間の連続する小滝や滑滝の処理で、登行は容易でも下りは難しいことを痛感させられる。一切の手抜きが許されない下降は相当な緊張感をもたらしたようで、F1下まで降りてしまうと急激に足に来てしまう。それでも、私の沢行史の中では文句なしにトップクラスの困難度の沢を遡行出来たという喜びは大きく、精神的な疲労感はない。
最後に重大岐路 敢えて、小滝の釜に突っ込みクールダウン。この日ばかりはずぶ濡れも悪くないが、カメラのレンズが剥き出しのため乾く暇がない。そんな訳で、どの写真もピンボケや歪みが発生し何とも情けない。防水といえどもレンズカバーは必携である。核心部の厳しさとは対照的な平坦部の穏やかさに癒されつつ、Co450二股に戻りつく。直ぐに林道に上がるが、ここで重大な岐路にぶつかる。果たして車は左(上流)か右(下流)かという‥(笑)。しっかりとした林道ゆえに迷ったのだが、私の微かな記憶とタイヤ痕から右を選択する。が、行けども車は見つからない。またしても私の判断ミスかと落ち込んだ矢先に車が現れ、何とか私の面目を保つ。Co450二股から撤退点まで標高差にして650メートル。遡行に要した時間は5時間30分で、下降のそれは4時間30分である。ウエダ川東面直登沢の高い難易度を示す数字と言えるだろう。
怒涛の滝沢「!!*」 この沢の核心部はCo600付近からCo1100二股までと思われるが、とにかく、辟易するほどの滝の多さで、大物や中程度のそれは言うに及ばず、3メートル前後の小滝などは数知れずである。明らかに滝沢である。前述したとおり、困難な巻きを強いられる滝もいくつかあるが、特徴的な黒い岩床は総じて順層なのが救いだった。さて、グレードだが、「山谷」的に表現するならば、技術的には「!!*」くらいに相当するのではないだろうか。私は「!!」までしか経験がなく、あくまで、それとの比較でという条件付だが‥。直ぐにでもリベンジしたいが、往復12時間ほど見ておかなくてはならず、陽が短くなる秋はやや厳しいかもしれない。ともあれ、濃密な沢行に久々の充実感を覚えながら林道を帰路に着く。誘ってくれたもっちゃんに感謝したい。願わくば、捲土重来も共に成し遂げたいものである。

☆もっちゃんのhp(山行記)は下記からどうぞ。
http://www9.plala.or.jp/mocchann-hidaka/kiroku250/201iwanai.html
■山行年月
2012.08.25(土)
■天気
■同行者
もっちゃん
■山行形態
沢登
■コース:往路/帰路
ウエダ川東面直登沢
入渓直後の沢 Co580付近@
Co580付近A F1
Co620左股の滝 F2
F2上部の滑滝 Co640付近
F3 Co920付近の滑滝
F4 F5
Co760付近 F6
F7 F8
雪渓トンネル F9
F9上へ懸垂下降 F10
F11 Co1100右股
Co1050付近を下降 雪渓上を下降中
F5懸垂下降 F2懸垂下降
穏やかな渓相 GPSトラック
コースタイム
自宅午前02時50分出発
Co450二股 5:45
Co620三股 7:00
Co850二股 8:45
Co1100二股 11:20
所要時間 5:35
Co1100二股 11:35
Co850二股 12:35
Co620三股 14:45
Co450二股 16:00
所要時間 4:25
自宅午後06時15分到着