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341.伏美岳(北日高/1792M)
美しき渓ニタナイに癒されながら高みに立つも緊急事態発生で状況一転
極端に荒れた沢 私の所属する山岳会が今年度初めて沢登りを年間山行計画に盛り込んだ。参加者は会員のtakiさんとishiさんの2人に、友人の小山さん、そして私。先日、野塚岳南面直登沢で沢デビューした小山さんを除けば、現役の沢屋(自称)は私一人。いきおい、私がリーダーとなり沢行をプランニングすることに。上美生の派出所に登山計画書を提出し伏美岳の登山口に向かう。登山口で小山さんと合流しメンバーが揃う。生憎、山はガスに包まれているが、湿度が高いので気温は低く感じない。7時15分に登山口を出発し、直ぐの枝沢からニタナイ川Co680P付近に降りる。最初のポイントCo830二股までは平坦な沢歩きで難しいところはないが、沢は酷く荒れている。随所で斜面は崩落し流木が行く手を阻む。巨木が根元から無残に倒れている。巨大雪崩は考えにくく、5月GWの大雨の影響と思われる。別の沢に来たような印象で、そう言えば、南日高でも山の形を変えてしまうような斜面崩落を目の当たりにしている。気候がどうかしてしまったのかもしれない。
沢日和に好転も 
Co830二股からCo1170二股はこの沢の核心部で、美渓を象徴するかのような滑床や滑滝が続く。視界が良ければ、メンバー全員で感嘆の声を上げたに違いないが、ガスは切れそうで切れない。Co940P付近で突如として現れた雪渓に驚く。この辺り、雪が多かったのだろうか‥。初沢の人もいるので、技術的なことについて簡単にレクチャーしながら遡行する。ゆっくり目のペースとはいえメンバーに行き詰まるシーンはない。10時にCo1170二股に到着する。日射しも少し出てきて絶好の沢日和となりそうだが、メンバーの一人のペースが上がらない。体調がイマイチのようで、Co1170から引き返すことも頭を過るが、本人の意思もあり彼の荷を3人で分担し遡行を再開する。ここからはガレ沢をひたすら詰めるだけ。少し、荒涼とした感じとなるが、苔むした沢床や溢れる解放感が癒してくれる。こまめに休みを入れながら忍耐の登行がつづく。Co1330二股を右に入るとガスを抜け出し、背後は雲海となる。薄らとトムラウシ山の頂上部が浮かんでいる。
初沢者に辛い藪 Co1400を過ぎると沢を覆うほどの雪渓が現れ、Co1440二股まで続く。慎重に右岸斜面を上がるが、漂うヒンヤリ感が心地良い。遅れがちだったメンバーからジョークも出るなどようやくムードは好転する。ここで、会報告用の写真を撮るが、要請にこたえてのVサインが恥ずかしい。Co1440二股を左に入ると、背後は雲上の雪盛山に変わる。主稜線1644峰やルベシベ分岐から西に派生する支稜も遠望できる。Co1600近くになると沢筋はグンと狭まり、止む無く再出現の雪渓上を優しくステップ切って上がる。Co1620Pで左が判然としない二股となる。もう少し上がってから左という気もするが、ここまで上がれば大きな差はない。左に入ると藪漕ぎが開始する。基本的には灌木のそれで、私としては楽な方だが、他のベンバーは初めてなので苦戦している。頻繁に休みを入れ息を整える。前年辿ったルートと少し様子が違うと感じていたが、右側に極浅い沢筋が並行しているようだ。中間の小尾根を乗越して移動するのも面倒なのでそのまま直進する。
全員登頂に安堵 沢筋が消え、ハイマツが現れると直下に至った証拠である。ラストはやや藪の薄い左に回り込むと、ピークの東5メートルの夏道にポンと飛び出す。無人の頂上かと思いきや、若者4人がまったりとしていた。ザックを下ろし、後続のメンバーを迎えに行く。私に遅れること5分ほどで彼等も藪を抜け出し頂上に立つ。6時間の遡行にようやくピリオドが打たれ、メンバーに安堵の表情が浮かぶ。何より、即席リーダーとして、事故もなく遡行出来たのは嬉しかった。メンバーに感謝である。風もなく、Tシャツに着替えても寒さは感じない。周囲の山並はガスの中で、北日高の展望台とはいかないが満足感はある。皆でランチタイムとなるが、バテ気味のメンバーが弁当箱を広げただけで、具合が悪いと言って横になる。気にしつつも、時間がたてば回復するものと思っていたので、おにぎりをいただく。5分‥10分と経過しても横になったままだ。
ヘリ救助を要請 本人に調子を聞くと体調が戻らないという。手足の痺れや呼吸の乱れを訴えている。彼には持病もあるので、私自身、この時点で「ヘリの救助要請」を視野に入れていた。この後、意識の薄れや体温低下等、状態が急変したので、ただちに帯広警察署にヘリ救助要請を行う。勿論、山岳会と彼の家族へも一報を入れる。警察から、折り返し、状況確認とヘリ調整中との連絡が入る。何の障害もなく通じる携帯が有難い。手足のマッサージや頻繁な呼びかけを継続する。やがて、警察署から「ヘリが向かった」との連絡が入り、ほどなく、南の空に爆音とともにへりが銀色の機体を現す。大きく東に回り込みながら反時計回りにゆっくりと近づいてくる。私の黄色いレインウエアを大きく振りまわす。前述の若者達もヘリに向かって手を振っている。ヘリが頭上に来てからが長く感じたが、それはおそらく1分ほどだったのだろう。救助隊員が降りてきて簡単に状況を伝える。手際良くピックアップ用のハーネスをセットした後、救助隊員とともにヘリに収容される。一刻を争う状態だったので、ヘリ到着まで持ちこたえてくれた彼に感謝しないではいられなかった。
飛び込む大朗報 「元気になってくれよ!」と願いながらヘリに向かって頭を下げる。若者達にお礼を言い、彼の荷物を分担し、ただちに下山の途に着く。直後に帯広警察署から、帯広厚生病院に収容された旨、連絡が入る。一安心しながら下山していると山岳会役員から「状態は安定している」という連絡が入り、思わずガッツポーズ。登山口で、警察の事情聴取に応じた後、収容先の病院に急ぐ。その途中、点滴も外れ歩いているとの連絡を受ける。大朗報なのだが、山頂での状態からにわかにその言葉を信じることが出来なかった。直後に、本人からの嬉しい生電話が入る。病院に着くと、劇的に回復した彼がいて、喜ぶ家族や山岳会の役員が揃っていた。私は、判断の誤りや遅れをお詫びし、彼に思わず「良かった!ありがとう!」と言って握手。追加治療や入院の必要もなく、直ぐに普通の生活に戻れるとのこと。病名は伏すが、持病と直接的な関係はないらしい。ラストの藪漕ぎが発作誘発要因となったようだ。これ以上ない喜びに包まれながら帰路に着く。
早期決断すべき 今回のメンバー急病対応について、一程度の混乱や動揺はあったものの、おおむね適切な対応が出来たと思う。他メンバーの協力に感謝したい。ただ、これはあくまで主観的な評価であり、客観的にどうだったのかは別の評価があるかもしれない。それより、私自身はもっと早い段階での判断が出来なかったことを悔いている。判断出来る機会は2度あった。最初のそれは、彼が今回の沢行に参加申し込みをしてきた時である。彼に持病のあることを承知で安易に受けてしまった。@夏道登山をこなしていること、A北面沢は難易度も低く、下山ルートに夏道を使えること、Bペース配分を考慮し荷を軽量化することで対応は可能なこと、C遡行したいという彼の気持‥等が理由だった。だが、持病がある以上、非情にして断るべきだった。2度目は沢行途中での撤退である。Co1170二股でのバテ状態から、瞬間的に頭を過ったが、いつもの楽観論で遡行を続行してしまった。最悪の事態を想定し、体力に余裕がある内に撤退を決断すべきだった。
CLの責任痛感 前記のとおり、私の対応如何では発症を未然に防げた可能性が高い事象である。その意味で、リーダーとしての責任は免れようもなく、批判は率直に受けたいと思う。そして、いかに易しい沢ルートとはいえ、沢登りには夏道登山とは別次元のハードさがあり、肉体的・精神的負荷は大きいということも痛感させられる。当り前のことが思考回路から飛んでいたとしか言いようがない。結果として、当事者を危機的状況に陥れ、パーティに大きな動揺を与えてしまった。痛恨の極みである。この山行記も公表すべきか迷ったが、私の責任を明確にする立場で踏み切ったものである。
終りに、関係各位に多大なるご迷惑をおかけしたことについてお詫び致します。また、とりわけ、迅速に対応下さった帯広警察署および道警ヘリ救助隊の皆様に心から感謝申し上げます。

★今回のヘリ救助にはいくつかの幸運があったと思う。ヘリ飛行に合わせたかのように上空視界が回復し、ほぼ無風状態だったこと。急病発生地点が伏美岳山頂という、ピンポイントで特定出来る場所だったことである。また、彼が医療関係者であり、持病や常用薬について正確な情報を提供できたのも治療に役立ったと思われる。
■山行年月
2012.08.04(土)
■天気
■同行者
takiさん、ishiさん
小山さん
■山行形態
沢登
■コース:往路/帰路
ニタナイ川北面直登沢
夏道(伏美小屋コース)
入渓直後の沢 Co830右股の滝
Co830二股で小休止 Co840付近の滑滝
Co840付近の釜付滝 Co870付近の滝
ナメ床遡行中 Co890左股
Co910付近の滝 Co920付近の滑滝
Co940付近の雪渓 Co990付近を遡行中
Co1050付近の滑床 Co1170左股滝上
Co1340P付近 Co1350P付近
Co1440二股直下 Co1440左股
Co1490P付近 Co1550から背後
山頂の儀式 GPSトラック
コースタイム
自宅午前05時15分出発
登山口 7:15
Co830二股 8:25
Co1170二股 10:00
Co1440二股 11:10
伏美岳 13:15
所要時間 6:00
伏美岳 15:00
Co1224P 15:50
登山口 16:35
所要時間 1:35
自宅午後07時25分到着