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337.十勝岳(南日高/1456.6M)
核心部もあくまで易しく初遡行時のグレード評価「!」の妥当性を再確認
よく言えたなあ 十勝岳ピークに突き上げる直登沢のうちもっとも早く遡行したのがコイボクシュメナシュンベツ川南面直登沢(2003年)である。遡行時期は6月半ばで雪渓も多く残っていた。当時の山行記を読んでみると、沢の全容を掴めないにもかかわらず、難易度は「!」と書かれていた。沢登り3シーズン目、僅かな遡行本数でよく言えたものだと、我ながら恥ずかしくなってしまう(汗)。ならば、経験を積んだ今、この目で確かめてみようと再遡行を決める。早朝、前泊した上杵臼の道路情報館を出発すると、雲ひとつない楽古岳付近の稜線が視界に飛び込んでくる。浦河町の予報は終日「曇」なので、少し、得をしたような気持で楽古林道を走る。楽古山荘には先客の車が1台あるだけで静かな朝を迎えたようだ。支度をして5時過ぎにスタートする。南面直登沢出合まではすっかり荒廃した林道から右岸・左岸の巻道を淡々と辿る。朝露でウエアがずぶ濡れになるのも鬱陶しいが、点在する黒々とした羆の落し物もプレッシャーとなる。このルート、林道で親子連れの羆と接近遭遇した経緯があるからで、頻繁にホイッスルを吹く。この山域は羆の密度も濃いようだ。
ガレがなければ 50分で530二股(=南面直登沢出合)に着く。左股の苔むした巨岩とその隙間を流れ落ちる水‥
。いつ見ても美しい絵である。9年振りの南面沢はどんな印象を与えてくれるだろうか‥。ここからが本番とばかりに気を引き締める。直ぐにCo570二股で水量は2対1で左が多い。左に入ると岩床が露わになり、小滝や滑が出てくるが、その流れは直ぐにガレに埋まる。振り返ると、南面沢出合付近が朝日に輝いている。水流が復活するとCo660二股で、ルートとなる右股は釜付の可愛らしい滝となって落ち、その直上は極小規模な滑床となっている。両岸がダケカンバでスッキリとした沢筋だったが、それもつかの間、Co750P付近から沢は再びガレに覆われる。その長さ300メートルほど。前方奥には青い空と稜線付近の尾根が望め、両岸の濃い緑とも相まって、ガレさえなければ美渓ともいえるほどである。周囲を見渡してもガレの発生要因は見当たらない。そのメカニズムやプロセスを知りたいものだ。不安定なガレを避け左岸沿いを上がる。
大滝は左岸直登 Co810Pあたりでようやくガレから抜け出すと、沢は北西から北に向きを変え、右岸に名残の雪渓を見る。9年前は一面、雪渓に覆われていた所である。両岸は岩壁となり、背の低い灌木やブッシュ類が僅かにへばり付いていて、沢の解放感は満点である。正面奥高くに滝かルンゼかは分からないが、白い流れが見える。Cp900右股で、今回のルートではないのが残念である。Co900を左に入ると一気に核心部に突入する。いきなり、傾斜の緩い20メートルほどの滝で二筋の流れが特徴的である。ここは左岸をアッサリと直登する。水飛沫が心地良いが、残念なことに沢はこの辺りから次第にガスに覆われだす。滝の上は傾斜のある滑床が続き、Co960Pで幅広のガッチリとした滝(3M)を左から越えると核心部は終わる。あっけない印象は禁じ得ないがこれもまた沢である。気を取り直してガレを詰めるとCo1060で二股に行きつく。前回は右をとり東コルに上がったが、今回はピークダイレクトの左を選択する。「山谷」ではこちらの方が易しいとあるが‥。
久々ルートミス 右股の傾斜のある流れが滝のように映るが、果たしてどうだっただろうか。下降時に調べてみることにし、水量がやや少ない左に入る。ほどなく微妙な二股地形が現れ右右と進む。Co1170二股は左は顕著な沢形だが、右はどん詰まりのような地形である。地形図を良く見れば分かるのだが、実は、適当に見ていたのと、高度計表示が1160だったので、「もう少し先」と思いそのまま沢なりに上がる。ご丁寧にテープがぶら下がっているものだから疑いもしなかった。10分ほど遡行するが二股が出てこない。不審に思いGPSで確認してみると、テープ地点が1170二股で、既にCo1240付近まで上がっていた。ピークダイレクトは1170を右に入らなければならないのだ。3分ほども降りればいいのだが、それが面倒だ。このまま詰めても頂稜西1430P付近には上がれる。万事アバウトな私のことだから、戻らずにそのまま進むことにする。ほどなく水流が消失するが、沢形は明瞭で、背の低い笹をかき分けながら順調に高度を稼ぐ。左右の尾根も目線に近づいてくる。
易しい直下の藪 問題はいつハイマツが出てくるかだが、Co1350P付近でようやくお出ましになる。そこにもピンクテープが‥。気合を入れてハイマツ帯に突入するが、嬉しい誤算が生じる。ハイマツが膝程度しかないのだ。大股でグイグイと登っていくと、Co1420付近で右に斜上する踏み跡に出会う。少しそれを辿るも不明瞭となったので、ハイマツを5分ほど漕いで頂上西の稜線に出る。北側・上二股沢からのヒンヤリとした風を受けながら4分で頂上に着く。途中までの好天は何処へやら、視界は50〜100メートル程度しかない。だが、ポカポカとした暖かさはあるのであずましい頂上ではある。30分ほど休んだ後、遡行予定ルートから下降を開始する。コンパスの指示通り10分ほど下っていくと沢形に入る。Co1420付近なので、登高ルートよりは藪漕ぎは少ないが、その上の藪はこちらの方がややきつそうだ。涸滝の処理にやや神経を使うシーンはあるものの、概して容易にCo1170二股に戻る。実際の地形と地形図を見比べ、読図の甘さを反省したことは言うまでもない。
ラスト霧雨模様 Co1060二股まで下降し、右股の偵察を行う。高さにして50メートルほど遡行してみるが、それは滝ではなく、ナメっぽい傾斜のある流れだった。ガスは往々にして水流を迫力に満ちたものに変えるようだ。直登には手頃な傾斜でも下るのはシンドイ。右岸の草付を巻いて降りる。核心部を下る頃にはガスから霧雨へと変わり、気温も下がってきた。日射しこそななかったものの、山頂のポカポカ陽気が嘘のような天気である。長大なガレ場を過ぎ、左から顕著な流入を見ると正面に南面直登沢出合の対岸斜面がガスの中から浮かび上がる。出合の景観が安堵感を与えてくれる。ここからは何度か渡渉はするものの、地形図404標高点まではほとんど入渓することなく、山荘まで40分ほどでカバーする。初遡行時は60分以上要していた。巻道の存在にも気が付かず、404Pまで沢中を歩いていた記憶がある。辺りを見渡す余裕がなかったのだろう。
丁度いい難易度 今回は、初遡行時のグレード評価「!」を検証することを主目的にした沢行だったが、結論的にいえば当時の評価は正しかったと思う。勿論、これは主観的なもので、グレード評価も単なる個人的な目安でしかない。その限りにおいてコメントするとすれば、遡行、下降の支障となるような滝やゴルジュもなく、微妙な高巻きやトラバース、強烈な藪漕ぎもない。ロープを使用する場面もなく、従って、沿面距離約5.5キロ、標高差1090メートルも遡行時間は4時間前後で済むことになる。凡相は経験者にとってはつまらないと映るだろうが、私など、こんな沢が丁度いいような気がしてきたものである。
★帰路、天馬街道・翠明橋公園で偶然ganさんと1年振りの再会を果たす。聞けば、オムシャヌプリ南西面直登沢を遡行してきたとのこと。実は、前週、ganさん達はこの沢で雪渓崩落事故に遭遇している。その現場検証をかねての沢行で、問題の雪渓は跡かたもなく消えていたという。リーダーとしての責任からは免れようもなく、この間、想像を超える心労があったに違いない。沢登りは事故リスクも大きく、その軽減に最大限の努力を払うのは当然だが、それをゼロにするのは不可能である。不幸にも事故が起こってしまった時にどう行動するのか。ここで、リーダーの力、パーティの結束力が問われる。適切な判断と行動でダメージを最小限に抑え込むか、それとも、誤った指示や対応で被害を拡大するのか、である。事実経過や対応の詳細は省くが、あえてコメントするとすれば、今回の事故、前者の力が発揮されたと私はみている。ちなみに、負傷されたメンバーも1週間ほどの入院・加療を終えて職場復帰している。
■山行年月
2012.07.08(日)
■天気
晴後曇後霧雨
■同行者
単独
■山行形態
沢登
■コース:往路/帰路
コイボクメナシュン川南面沢
Co530左股の美景 Co580付近の小滝
Co660右股の小滝 朝日輝く出合付近
長大なガレ場 Co850付近から上流
Co900の大滝 大滝落ち口から
大滝直上の流れ Co960の幅広滝
ガスるCo1060二股 オオバミゾホオズキ
源頭付近の沢 ハイマツ帯突入
頂上風景 下降沢1420付近
Co1060右股の流れ GPSトラック
コースタイム
上杵臼道路情報館車中泊
楽古山荘 5:00
南面直登沢出合 5:50
大滝 6:50
Co1060二股 7:15
十勝岳 8:50
所要時間 3:50
十勝岳 9:15
Co1060二股 10:00
大滝 10:20
南面直登沢出合 11:00
楽古山荘 11:40
所要時間 2:25
自宅午後04時10分到着