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326.羅臼岳(知床山域/1659.7M)
南西ルンゼは真冬の厳しさで悔しき途中撤退 初挑戦をアッサリ門前払い
@知床自然センター→愛山荘
消去法的な選択 
天気が安定する3月中盤に久々の4連休とくれば山泊登山である。行先を何処にするか暫し迷うも、結局は南西ルンゼから羅臼岳に決まる。大雪とか日高にも行きたい山はあったのだが、お天気がパッとせず、羅臼岳が消去法により浮かび上がってきたという訳である。前日夕刻に登山基地となる宇登呂に入り、その日は道の駅「シリエトコ」で車中泊とする。シュラフに潜り込みながら、「地震・大津波がきたらどうしよう」などと考える。前年の「3.11」以来、それだけ自然災害が現実的になったということか‥。カーラジオから流れる天気予報は、季節が逆戻りし、真冬並みの寒波が到来すると伝えている。今回ばかりは外れて欲しいと願いつつ眠りにつく。初日は「愛山荘」までなので遅立ちでもいいのだが、あわよくば未踏の天頂山ピークをゲットしたいという欲張りプランゆえ、6時前に知床自然センター駐車場を出発する。横断道路は勿論ゲートが閉じられているが、すでに一車線分だが4キロ弱(標高370メートル)ほど除雪されている。
半分はシートラ 最初こそ道路横をスキーで歩いたもののグサグサ雪でストレスが嵩むばかり。直ぐにシートラに移行するが、所々アイスバーンで兼用靴には辛いシーンである。雪壁に囲まれた真直ぐなアスファルト道をスキー担いで歩く‥。ミスマッチというか不思議な気持ちになる。除雪終点で雪壁は160センチほどもあるので、雪上に上るのも一苦労である。雪壁を崩してキックステップと‥。積雪量もさることながら、寸分狂わず除雪する技術に感心する。そこからは崩れかけたスキートレースを淡々と辿る。最初は見えていた峠付近の稜線も雲に隠れ、背後のオホーツク海から上ってきた黒いガスがアッという間に私を包む。標高550メートル付近で道路がやや右に曲がるが、その手前、右に100メートルほど入った所に雪に埋もれるように愛山荘はあった。前述のトレースは小屋に向かわずに直進している。冬期間でも利用頻度は多くはなさそうである。1階部分はほぼ雪に埋もれているが、幸い入口部分は出入りできるだけ除雪されている。
まったり愛山荘 2メートルの雪壁を降りて小屋内に入る。収容人員は20人〜30人といったところだろうか、こじんまりとした印象である。綺麗とは言い難いが、必要なものはほとんど揃っている感じだ。少し雑然とした小屋内の様子はいかにも山小屋らしい。木の匂いに懐かしさを感じつつ、室内にテントを張る。外はガスに包まれ小雪も舞っているが、付近の散策がてら小屋を出る。天頂山方向へCo650Pまで上がるが視界は50メートルほど。風も付いているのでテンションは上らない。少しだけスキーを楽しみ昼過ぎに小屋に戻る。午後からはストーブて暖をとりながらまったりとした時間を過ごす。燃料となる焚き付けや薪の量もタップリで、関係者のご苦労には頭が下がる。夕刻から雪は本降りとなり、ラジオから流れる翌日の天気予報も降雪、強風、異常低温と三拍子揃ってしまった。明日はこのまま下山かなと、諦め気分半分である。夜中はネズミ達の天国と化す。カリカリと何かをかじる音に、慌てて、スキーや兼用靴をテント側に引き寄せる。
A愛山荘→羅臼岳南西ルンゼCo1100P→愛山荘→知床自然センター】
スッキリ空模様 
アタック当日は5時過ぎに起床。おそらく撤退などという潜在意識のせいか、寝坊してしまった。外に出てみると、何やらスッキリとした空模様ではないか。風もなく、「これならいけるかも」という気持になる。慌てて朝食をとり、サブザックに荷をほうり込む。一気に覚醒し小屋を出たのが6時過ぎ。林道に出てみると、目の前に羅臼岳がドーンと飛び込んでくる。観天望気的には問題はなさそうで、いきなりトップギアで登行を開始する。大きく左に回り込む道路をショートカットする。左に羅臼岳、右に知西別岳方面に続く山並、背後は流氷残るオホーツク海。それぞれの眺望を楽しみながら峠を目指す。じっくり写真でも撮りながら上がりたいところだが、冬型天気となれば早朝勝負である。時間との闘いを意識し歩を進める。気温が低いせいかシールが外れてしまい、先行きに不安が‥。次第に風が出てきて、雪の状態は極端に変化する。シュカプラは当たり前の風景だが、吹溜りでは背の高い道路標識が頭だけ覗かせ、逆に、雪が飛ばされアスファルト路面が出ている所もある。どちらにせよ、冷凍庫の中のような冬景色が何処までも続く。
距離感が掴めず 峠付近まで1時間。快調なペースに安堵するも、流石に主稜線上は風が強く、悪いことに天頂山や知西別方向には大きくガスが発生してきた。羅臼岳は頂上部に僅かにガスが流れている程度で、このまま持って欲しいと願う。北東方向に直線的に南西ルンゼ基部を目指す。右奥には弧を描く太平洋も望むことが出来、ロケーションはいい。灌木とシュカプラの海だが、歩きにくいということはない。この辺り、羅臼岳があまりに大きいせいか距離感が掴めず、山に近づいている実感が希薄である。それでも、右に見える854コブが目線の高さになり、背後の峠小屋が徐々に小さく下に見えていくので、それとわかるといった具合である。峠から30分〜40分ほどは不安材料はなく、南西ルンゼもそれほどの威圧感は感じれなかった。「上がれるぞ」という自信めいたものが湧き始めた頃、皮肉にも山がガスに隠れるようになる。西側からガスが次々と流入し、それはまた強い風と寒気をも運んできた。いつもの冬装備に加えて、目出帽にゴーグル、メット、オーバー手袋(L)の出で立ちだが、それでも少し足りない感じである。「これが真冬の知床か‥」と呟いていた。
ホワイトアウト Co950P辺りからは雪面がほぼクラスト状態となり、傾斜も次第に増してくる。どこでスキーをデポし、アイゼン・ピッケルに替えるか、考えながらの登行となる。それまではガスは流れていて、その隙間から視界を得ることが出来たが、Co1000P付近を越えると視界が極端に悪化する。前方はもとより、辿り来し方向も見えなくなってしまった。それでも30分は視界30メートルほどの中を上がるが、五里霧中の状態に変化はない。ガスの切れるのを待つという手もあるが、強風を避ける場所もなさそうだ。体感的にはマイナス30度位はありそうで、目元や口元も粘ついている。頂上までの標高差は560メートルほど。登行、下降に4時間前後は要すると思われるが、こんな中を行動したのでは低体温症にもなりかねない。何より、前夜来の降雪もあり、ルンゼ内の状態が把握できないのが不安である。初ルート、単独だけに無理は絶対にできない。核心部を前にして残念だが、Co1100Pで撤退を決める。せめて、もう1時間早く出ていれば違った展開になっていたはずで、その限りで悔いが残る。GPSで現在地を特定して、峠方向にコンパスを切りシールのまま降りてゆく。
又もシールご難 ガスを抜け出した辺りでシールを外す。右を外して今度は左をとスキーを持ち上げると何とシールがない!。50〜60メートル戻ってみるが見つからない。そもそも、下降トレースすら直ぐに見失ってしまう。悪コンディションの中、それ以上探す気力も失せ、途中敗退とも相まってすっかり意気消沈である。この日は最初からシールの付が悪かったが、まさか紛失するとは‥。購入してから日が浅いだけにショックも大きい。翌日を予備日に設定していたが、これでは下山するしかない。峠駐車場まで降りて写真を数カット撮り、登高ルートを降りる。下りなので楽に滑降出来ると踏んでいたが、西風が強くてストックで漕がなければ止まってしまうほどである。道路をショートカットする付近からようやく傾斜が出てくるので、短時分の滑りを楽しみ10時前に小屋に戻る。早目のランチを摂り、1時間ほどで撤収作業を完了する。小屋内を少し清掃し、神棚に2礼2拍手1礼。協力金として野口英世1枚を入れる。一夜の宿代としては少なすぎるが‥。11時に愛山荘を後にするが、道路までの僅かな傾斜が辛い。知床横断道、とりわけ、宇登呂側は傾斜が緩い。
疲労困憊の山行 ゲートから愛山荘まで沿面距離7.5キロで約400メートル上る。登りに使う場合はいいのだが、その分、下りの滑りはあまり期待できない。それでも、前日のような締まった雪なら滑れるが、帰路の道路はサラサラだが10〜20センチの新雪が積もっていてスキーは滑ってはくれない。振り返ると、ルンゼにガスを抱く羅臼岳が見える。ここから見ると穏やかそうで、悔しさが募る。Co400P付近で除雪車を見る。日々、少しずつ除雪区間を伸ばしているのだろう。暫くは雪壁を降りてシートラし、ラスト2キロくらいで雪が締まりだしたのでスキーのアドバンテージを発揮することが出来た。2日間の行動時間はせいぜい12時間ほど。さしたる疲労もないはずだが、知床自然センター駐車場の愛車に辿りついた時は疲労困憊だった。こうして、私の南西ルンゼ初挑戦は失敗に終わったが、この時期、天気さえ安定していれば日帰りアタックも充分に可能という感触を得た。次回山行時に生かしたい。もっとも、紛失したシールの捜索もこれありで、知床横断道路が開通するGWに峠から再挑戦し、リベンジを図りたいものである。
★今回、知床山域は厳冬期の典型的な天候だったと思われ、異常気象という訳ではない。途中撤退で、自らの心身能力の限界を露呈する結果となってしまった。少々、ブルーな気持だが、私自身、これまで大きな事故にもあわず単独山行を続けてこられたのも、慎重さや臆病さがあったればこそではないだろうか。そうした視点で今回の判断を検証してみると、むしろ、肯定的に評価すべきと思ったりする。
■山行年月
2012.03.18〜19
■天気
18日(土)曇のち雪
19日(日)晴時々曇
■同行者
単独
■山行形態
積雪期登山
■コース:往路/帰路
知床峠→南西ルンゼ
横断道と雪壁 除雪終点
道路標識 迫る黒雲
愛山荘 愛山荘看板
1階出入口 強力ストーブ
半島地図と暦 羅臼岳
知西別岳方向 背後にオホーツク
埋まる道路標識 積雪計と羅臼岳
雪原と羅臼岳 標識と羅臼岳
雪原からオホーツク 灌木の奥に羅臼岳
背後の峠方向 ガス抱く羅臼岳
知床峠の石碑 凍てつく峠看板
雪に埋まる愛山荘 617峰と横断道
帰路の羅臼岳 GPSトラック
コースタイム(2日目)
愛山荘 6:05
知床峠 7:10
撤退点Co1100P 8:35
知床峠 9:15
愛山荘 9:55
所要時間 3:50
愛山荘 11:00
知床自然センター 13:05
所要時間 2:05
自宅午後06時35分到着
コースタイム(1日目)
「シリエトコ」車中泊
知床自然センター 5:50
愛山荘 9:00
所要時間 3:10