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302.ピパイロ岳(北日高/1916.7M)
痺れるほどの緊張感に包まれた大高巻きに耐え百花繚乱のフィニッシュへ
選択肢はひとつ 週半ばにHYMLのganさんから日曜日ピパイロ沢行のお誘いが入る。が、私は土曜日に北日高の幌内分岐峰を単独で遡行予定だったので、体調が良ければ同行させていただくことにしていた。あくまで初沢の幌内分岐峰東面直登沢優先で考えていたが、生憎、当日は小雨と濃霧模様。テンション上らず、芽室小屋でキャンセルを決める。こうなると選択肢は一つしかなく、早速、テント担いで合流場所の戸蔦別川八ノ沢出合に向かう。午後の穏やかな日差しを受けて6号砂防ダムを歩きだすとHYMLのクリキさんにバッタリ出会う。聞けばカタルップ沢の帰りとのこと。クリキさんとは2009年7月の知床縦走中にも二ツ池CSで偶然出会っている。なにがしかの縁というものを感じるといったら少しオーバーか。15時過ぎに八ノ沢出合に到着。最初にテントを設営する。ツェルトかテントか迷ったが、降雨対策や居住性を考えると格段にあずましいはずである。
ganさんの雄叫び ganさん達が到着するのは19時過ぎ。時間はたっぷりあるので久々に釣糸を垂れる。1時間ほどでオショロコマ3匹を釣り上げ、みんなの分までと張り切った瞬間に針と糸を持っていかれる。何と、竿の先端がすっぽ抜けてしまったのだ。メンテナンスのゼロの代償である。それならばと、少し早いが焚火を起こす。川側に立ちあがる煙に懐かしさを感じるのは歳のせいだろうか‥。岩魚を焼いて塩を振りかける。ビールのおかずには贅沢で美味しすぎるというものである。山が闇に包まれる頃になっても待ち人達はこない。予定変更になったのだろうと思い、そそくさとシュラフカバーに潜り込む。沢音を子守唄に眠りに落ちる。翌日は3時過ぎに起床。準備を整え、皆を待つ。5時まで待って来なければ一人で遡行するつもりでいたが、4時半過ぎに、ganさんの雄叫びが聞こえ、ほどなく、こざるさんを先頭に彼らがやってきた。ganさんとガッチリ握手。2007年の小楽古以来である。初対面のアウルさんにトヨニ東峰をご一緒したもっちゃんの総勢5名のパーティが揃う。
流木で無残な滑 5時前に戸蔦別川本流遡行を開始する。2006年の戸蔦別岳(Bカール経由、山頂泊)以来、5年振りの戸蔦は新鮮である。20分弱で九ノ沢出合に到着。左岸から吹き出すように本流に注いでいるが、記憶にある強烈さは影を潜めている印象である。今回の沢行はここからが本番で、ganさん曰く「★★の可能性」とあれば自ずと気合が入る。加えて、新沢靴=アクアステルスソール(キャラバン)のデビューで、その適性を把握する目的もあった。開けた沢を先行者とは少しだけ違ったラインを心がける。前半は比較的平坦な滑床が続くが、「意外といける」というのがファーストインプレッションである。それにしても流木と土砂のデブリが酷い!。これがなければ垂涎の滑床である。綺麗な滑を知っているganさんやもっちゃんの目には悲しく映ったことだろう。Co960二股を過ぎると小滝が連続する。Co1020Pで5メートルを越えると、Co1030Pで「く」の字の15メートルを見る。ここは左岸水際のホールドを頼りに直登する。
問題の1080二股 Co1040Pで右岸から階段状の滑滝が流入。目指す本流は深いV字谷の様相を呈し、どんづまりに直瀑(10M)と雪渓が見えてくる。左岸からは50メートルの滝が落ち込み、問題のCo1080二股である。「問題」というのは、ganさんともっちゃんはここから撤退した経緯があるからで、今回は、いわばリベンジ沢行なのだ。目指すは左股であり、直登を許すほど甘くはないらしい。側まで行ってみたい気はするが、それは無駄な行為というもの‥(笑)。ここは右岸高巻きしかないと意見の一致を見るが、果たして沢身に戻れるのか。先ずは、草付から灌木帯まで急斜面を30メートルほど上がる。成り行きで私がトップでルートを拓く。藪が濃い分、安心感はあるが、足元を覗くと奈落の底が透けて見える。慎重にトラバースを継続するが、対岸の大滝につい目を奪われる。必至に藪と格闘すること30分、ようやく左股の沢床が安全圏に入ってくる。懸垂下降も視野にあったが、灌木の枝を掴みながら沢身に戻りホッと一息つく。この辺りの巻きは沢勘を頼りにしたある種の「賭け」なのかもしれない。高巻きとしては一級のそれで、結果的には、ここが南東面直登沢の核心部であった。パーティ全員が無事に巻き終え、沢床に安堵の顔が揃う。
余りに低い源頭 直上の10メートルは右岸から直登する。その後も滑床が続き、Co1200過ぎで小滝が連続し、お助け紐も出たりする。何でもないような小滝などで事故は起きるもの。ganさんの慎重さが安心感をもたらす。Co1250二股は左股だが、水量は右股が圧倒的に多い。ピーク直登ではないが、流域面積は右股が広いので当然の水量差だ。左股は沢形も乏しく、壁のようなので、横着してコンパスを切らずにいると自然と右に入ってしまうに違いない。「ここは左」と互いに確認し、濡れた岩壁を上がるが、一瞬、ズルリとして冷や汗をかく。岩壁を上がった所で、ganさんから「ここで水確保!」との声。まさかと思ったが、水流がないのである。ピークまでは700メートル近く。源頭にしては低すぎるが、皆さん念のために水を汲む。私は水流復活にかけてスルーする。気懸りは藪の濃さと長さだが、再び明瞭になる沢形に一縷の望みをかけて涸沢を詰める。藪登場となれば、若いもっちゃんにトップをお願いすることになるのだが、中々出てこない(笑)。涸滝がいくつか出てくるが、いずれも優しく、全く順調に高度を稼ぐ。Co1600付近からキンバイソウの黄色が鮮やかだ。
ヤブが現れない Co1700過ぎの分岐を左に入るといよいよ沢形は浅くなり、傾斜も増すが、そこからは圧巻のお花畑が待ち受けていた。キンバイソウやエゾフウロ、ヨツバシオガマなどが咲き乱れている。真っ先に目にすることが出来るのもトップ故のご褒美というものだろう。メンバーに「凄い景色だよ」と声をかける。ラスト200メートルを切りもっとも辛い所。つい無言の登高になりがちだが、ここでは自然と笑みがこぼれ、会話も弾む。「藪が現れないかもしれない」、そんな予感が現実味を帯びてくる。これではもっちゃんの出番がない。ganさんが「もっちゃんだけは右の藪を上がったら」との気配りを見せる(爆)。それにしても、羆の掘り返しがスゴイ。それも新しいものばかり。何処かで5人の沢屋を息をひそめて見ているのだろう。沢筋の糞といい、羆の密度は濃いのかもしれない。好天の期待とは裏腹に周囲は次第にガスに包まれる。Co1850を過ぎると背の低いハイマツや灌木が出てくるが、それは申し訳程度。そこを抜け出すと、前方に高みが見えてくる。
山頂の主役は誰 絨毯のような草地をゆっくりと上っていく。見覚えのある岩場だが、確かめるように回り込むとくたびれた山頂標識が現れる。ピークダイレクトだけに握手にも力がこもる。予想通り登山者はおらず、沢屋の独占となる。和気あいあいとしたランチタイム、主役は間違いなくこざるさんだった。理由はメンバーのみぞ知るにしておこう。お天気さえ良ければ北日高の絶景を目にすることが出来るのだが‥。およそ40分の滞在の後、頂上を後にする。下降ルートは夏道を東に向かい、Co1730Pを降りきった辺りからCo960右沢に降りるプランである。登山道を覆う草木はたっぷりと水を含み小雨もパラついてきた。全身ずぶ濡れになりながら歩くが、特に、1730Pからの下りはきつかった。何度もスリップしそうになるも、かろうじて持ちこたえられたのはステルスソールのお陰だろう。鞍部のCo1550Pから右沢に突入する。笹や灌木を掴みながら急斜面を下がると沢形に出会い、Co1450付近で水流を見る。ここは夏道縦走の水場として使えるようだ。
ステルスの評価 そう言えば、下降点にテープが打ってあったが、もしかすると水場のサインかもしれない。この右沢は難しい所は全くなく、75分ほどで620二股に降り立つ。後は滑床を淡々と降りるが、ステルスソールのためかつい腰が引けてしまう。勿論、フェルトソールでも滑下降は辛いのだが、安定したグリップ力という点ではフェルトに軍配が上がるようだ。但し、草付とか泥壁、夏道、藪漕ぎには強い。流木や土砂が多水で綺麗に洗い流されることを願いつつ九ノ沢から本流に戻る。私はテントの撤収があるのでスピードアップして八ノ沢出合に向かう。濡石、乾石、渡渉いずれもステルスに敵なしである。八ノ沢出合付近に単独の登山者が見えたが、私と入れ替わるように去っていく。テント撤収中に皆が到着。ロープ(35M)をもっちゃんに背負ってもらい、5キロの林道歩きに耐える。クールダウンにはやや負荷大だが、目的完遂後だけにそれも苦にならない。15時過ぎに6号砂防ダムに到着すると珍しく若者達がいる。一人は、前年10月オムシャヌプリ南西面沢で会った函館のすがちゃんだった。御挨拶をいただくまで分からず失礼してしまった。彼等はガケノ沢出合BCでガケノ沢から札内岳へ上がり、山スキー沢を下降するという。中々やるなあ〜と。
渡りに船的沢行 九ノ沢からピパイロ岳へ上がりたいという漠然とした思いは以前からあったが、単独ではかなり厳しいため具体化しないでいた。その意味では、今回の沢行は「渡りに船」だった。声をかけてくれたganさん、同行のアウルさん、こざるさん、もっちゃんに感謝したい。さて、南東面直登沢の印象だが、山谷的難易度では「!*」に相当すると思われる。序盤は延々と続く滑床、小滝群、そして、緊張の右岸大高巻きと飽きさせないが、中盤は何もない涸沢登高となり、ほとんどブタ沢の様相を呈す。だが、終盤は高度差200メートルにも及ぶ花畑となり、想定外の百花繚乱のフィニッシュとなる。この花畑を見るだけでも遡行価値があるというものである。また、Co960右沢は安全な登高・下降ルートとして充分に使えるという印象だ。今回、私以外は6号砂防ダムからの日帰りピストンで12時間の沢行となった。かなりの体力を要するルートであり、八ノ沢出合BCの1泊2日のプランがお勧めである。

★再訂正 釣果ですが、先に、岩魚からヤマベへと修正しましたが、そのポイントは、バーマークといわれる模様でした。その後、ふ〜ちゃんさんから、「戸蔦別水系ではオショロコマしか釣れない」「オショロコマにもバーマークがある」「ヤマベとは魚体と色彩が全く異なる」等のご指摘をいただきました。山岳活動だけでなく、釣りにも長じているふ〜ちゃんさんの見解には説得力を感じます。、この際、「オショロコマ」に変更いたします。(管理人)
■山行年月
11.7.30・31(土・日)
■天気
30/曇、31/曇時々雨
■同行者
ganさん、アウルさん
こざるさん、もっちゃん
■山行形態
沢登り
■コース:往路/帰路
南東面直登沢(九ノ沢)
夏道→960二股右沢
BCのテント 焚火
オショロコマ 吹き出す九ノ沢
出合直上の滑床 Co860の沢景観
Co900付近の滑 Co980付近の小滝群
Co1010付近の小滝 「く」の字15M滝
15M滝を登攀中 Co1040右岸の滑滝
V字渓谷と直瀑 高巻いた右岸斜面
Co1100付近の滑滝 奥に1080右沢の滝
Co1110の10M滝 Co1130付近の滑床
Co1200の滝 小滝でお助け紐
Co1250左沢 二股直上の涸沢
Co1550付近の沢 Co1780付近の沢屋
花の競演 Co1800過ぎの花畑
花愛でる沢屋 真新しい掘り返し
山頂標識 右沢下降点風景
Co960二股付近 GPSトラック
コースタイム
自宅午前11時30分出発
地点分岐等 時間
6号砂防ダム 13:30
BC(八ノ沢出合) 15:15
所要時間 1:45
BC(八ノ沢出合) 4:45
九ノ沢出合 5:05
Co960二股 5:35
Co1250二股 7:20
Co1710二股 8:50
ピパイロ岳 9:35
所要時間 4:50
ピパイロ岳 10:15
Co1550下降点 11:05
Co960二股 12:20
九ノ沢出合 13:00
八ノ沢出合 13:20
13:35
6号砂防ダム 15:00
所要時間 4:45
(15)
自宅午後06時30分到着