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301.トヨニ岳東峰(南日高/1460M Co950撤退)
初沢の東峰東面直登沢は豊似川水系一の厳しさで遡行者の挑戦を門前払い
新規開拓の誘惑 南日高、とりわけ野塚峠周辺には日帰可能で手頃な難易度の沢が多く、何度も足を運ぶ山域である。魅力的な沢は何度訪れても楽しいものだが、時には新規開拓をしてみたい誘惑に駆られる。沢情報の多くは、「山谷」やネット上で入手し、最小限の情報だけを頭に遡行することになる。だが、ピークに突き上げていながら全く記録の無い沢も多い。技術も体力も経験も中途半端な私が、そのような沢に入ることについて否定的に見る向きもあるだろう。が、情報の存在は安心感をもたらす半面、沢行そのものの面白みを半減させる。私の沢行の理想は、白紙状態で沢に入り、ルートファインデイングや遡行・下降技術等の全てを自分で判断し遂行するというもの。ここは勿論、各自相違がある部分である。前置きが長くなったが、今回のトヨニ岳東峰東面直登沢も前述した視点から選択したもので、以前から温めていたプランである。
心強き強者同行 偵察的沢行ではあるが、豊似川水系で遡行経験のある右股沢(山谷グレード!!)と左股沢(同!)の渓相からして、私の力量でおおよそ何とかなるだろうとの見通しはあった。加えて、いつものTorimotoさんと、HYMLのもっちゃんさんが同行してくれることになり、一層意を強くしたものである。登山口となるのは野塚トンネル十勝側駐車帯で、最初は側を流れるポン三の沢川(豊似川支流)を495二股まで下降する。獣道を繋ぎながら30分弱で到着するが、早くも汗だらけとなる。ここからは平坦な流れを時に渡渉し、時に広い川原林にルートをとる。ブッシュ類もほとんどなく、実に歩きやすい。かつて造材道でも通っていたような雰囲気もある。Co530でトヨニ岳南峰へ突き上げる南東面沢を左に見ながら右沢に分け入る。渓相にさしたる変化はなく、快調なペースが続く。先に何が待ち受けているか不明であり、休みは極力入れないで歩く。
落ちても大丈夫 前方に高く鋭角的な中間尾根を見るとCo600二股で、川原林は次第に姿を消す。直ぐに可愛い釜を持つ滑滝が連続して現れ、その上は滑床が断続的に登場する。単調な遡行にピリオドが打たれ、三人の顔に緊張感とも余裕ともとれる笑みがこぼれる。Co645二股を左に入ると釜付の小滝と滑床で、続いて黒いスラブの滑滝(10M)が現れる。ここは左岸を慎重に上がる。直上は滑床で、時折、薄いながらも日射しがあったりするので次第に気分は高揚する。Co730で行く手を2メートルほどの小滝が遮る。釜付で滑り台のような滝で、ノッペリとした両岸岩壁にもホールドはない。ショルダー突破も視野にあったが、落ちても無傷と見て、何とか滝上に攀じ登り後続にロープを出す。綺麗な沢との印象を抱いた次の瞬間、流れはガレの下に隠れてしまう。原因は右岸斜面の顕著な崩落のようである。Co780付近で小滝を越えると、いよいよ雪渓のお出ましである。やはり東面の渓谷である。刺激を与えないように上を行くが、それは100メートルほども続いただろうか。
意決して雪渓下 両岸は迫立ち深いV字谷の様相を呈してくる。左岸には50メートルルンゼが流入し、深山幽谷の真只中に身を置いている自分を感じる。辺りにはガスが立ち込め、崩壊する雪渓も見て取れる。果たして沢床に降りられるのか、その先はどうなっているのか‥。崩壊した雪渓の奥にイヤラシいブリッジがかかっている。もっちゃんさんが、「1万円もらっても上はいけない」とジョークを飛ばす。本来なら巻くところだが、簡単に許してはくれない。意を決して下を行く。崩れた雪渓にピッケルで支点を取るが、それがグラリとしたりするので冷や汗ものである。直ぐに小滝に出会い、その先にまたブリッジである。左岸高巻きに入るが何とかなりそうでならない。微妙な傾斜の岩斜面は決定的にホールドが不足していた。雪が運んだと思われる土砂や細かい木の枝が余計に滑りやすい環境を整える。止む無く、ここもブリッジ下を通過する。奈落の底、思わず急ぎ足になる。ようやく突破と思ったのもつかの間、今度は20メートル近い滝に行きつく。
滝に攻略法なし 直瀑とまではいかないが、左右は岩壁でホールドも全くなく見た目に弱点はない。本格的な登攀技術や確保技術の裏付けなくしてこの滝を越えるのは難しい。少し戻り、左岸の大高巻きも検討するが、傾斜のある草付プラス岩壁では歯が立たない。仮に、灌木帯まで上がれても傾斜と高さのある斜面が続いている。ロープは30メートルと35メートル、懸垂で沢身に降りられるかどうかの保証もない。沢は核心部に突入したばかり。滝の奥にCo970二股の中間尾根も見えているがここで危険を冒す必要性は全くない。相談の結果、Co950Pで撤退を決める。雪渓下を潜り抜け下降を開始する。さながら、敗走する沢屋といった気分だが、頭のどこかで突破方法を考えていた。Co800Pまで降りると右岸に浅い沢筋を見る。巻くとすれば、この沢をある程度詰めてから長いトラバースの後、Co1050過ぎで沢身に降りるしかないだろう。密度の濃そうな灌木の藪を克服できる体力と気力が当然必要になり、沢登りというよりは藪山のジャンルである。
代替のC640右沢 捲土重来するとすれば邪魔な雪渓が消え、草木の勢力が涸衰える晩秋が狙い目だろうかなどと思ったりするが、自分の力では遠く及ばないとも‥。振り返ると稜線方向(東峰北東尾根)が見え、青空も顔を出してきた。敗退する時はこんなものらしい。小滝をゴボウで降りたり、全身シャワーのクライムダウンでCo640二股まで戻る。時間も早いので、ここからもっちゃんさんの提案で右股に入る。東峰北東尾根1296Pに突き上げる沢で、当然ながらこちらも記録はゼロである。こちらは正午を目途に、行けるところまでという遡行プランである。直ぐに滝(5M)が現れ、こちらもヤバそうな予感が‥(笑)。直上の滑滝を越えるとトイ状の8メートルで、ここは左岸を巻く。黒い岩床が印象的だ。Co700付近で流木の架かった小滝を越え、Co750付近で判然としない二股を左に取ると沢はスッキリとしたV字谷に変わる。Co760付近で可愛らしい小滝が3個連続する。いずれも落口には流木が引っかかっていた。遠目にはちょっとした大物に見えたが‥。
アッサリと撤退 Co800P手前で石の詰まった小滝(2M)に出会う。黒い巨岩に三条の流れが美しい。濡れながら越えると眼前には再びチョックストーン滝(CS2M)が現れる。狭く深い沢筋なので石も詰りやすいようだ。ここが中々越えられない。Torimotoさんがシャワー浴びてトライするも難儀している。その奥に架かる20メートルほどの滝が見事な迫力を放つ。私は左岸の草付を高巻きに入る。傾斜はあるがブッシュが濃いので何とか灌木帯まで上がれそうだが、所々にオヤジの痕跡がある。大量の糞などもあったりする。羆もここは高巻くようだ。やがて、もっちゃんさんが突破したとの声がかかる。慎重に下降して、もっちゃんさんから滝上の様子を聞くと、20メートル滝の突破は困難で高巻きも許さないという。所詮、時間調整の沢行だけに、滝突破に拘る意識は失せていた。Co810Pでアッサリと撤退を決める。Co780P付近まで戻りランチとするが、左岸に浅いルンゼがあり、ここを詰めて灌木帯まで上がれば20メートル滝をまとめて巻けるだろうとの見方で一致する。ただ、東面直登沢と似たような渓相だけに、その先でも苦しい展開が待ち受けているに違いないが‥。
心はモヤモヤ感 下降時、完膚なきまでに打ちのめされたはずなのに敗北感は希薄だ。何かモヤモヤとした屈辱感に襲われていた。自らのプランのいい加減さとか、全力を出し切れなかったことに起因するのだろうか‥。同時に、同行してくれた二人に、アバウトな沢行に付き合わせてしまい済まないという気持ちも交錯する。が、時にはこんなこともあるとお許しをいただきたいと思う。下降してくるはずのCo530左股の流れに悔しさを感じ、Co495二股からトンネルまでの足取りに重さを感じるのはやはり敗退という事実からだろう。それでも、沢装備を解く時には無事に戻れたという安堵感に満たされ、「忠類道の駅」で温泉をいただく頃には、次回沢行のプランに思いを巡らしていたのだから現金なものである。
最上位にランク さて、東面直登沢についてだが、わずかCo950Pまで遡行しただけなので評価するには無理がある。撤退点までの印象としてコメントしてみたい。同じ豊似川水系の右股沢との比較でいえば、標高にして、南峰北東面沢出合(Co800P)の150メートル上ということになるが、沢の長さも滝の数も大きさも右股沢が上位だが、高巻きは多くの場合容易で、直登可能な滝もある。そもそも、それほど顕著で深いV字渓谷ではない。それに比すると、今回の東面沢は前述の通り様相を異にする。少なくとも、目視の限りではCo970二股までは渓相に変化はない。地形図からもco1100付近までは核心部が続くと思われ、「ここさえ突破すれば」という状況ではなさそうである。私がこれまで遡行してきた沢の中では最上位にランクされる難易度の可能性がある。山谷グレード!!!の沢は見たこともないが、これに泳ぎなどが加わればそうなるのだろうと想像している。ちなみに、Co640右沢も東面沢に酷似した渓相で、かなりの苦戦を強いられることが想定される。なお、南峰直登の左沢(南東面沢)も滝の量と質において上回るが、攻略法は容易に見つかる。
■山行年月
2011.07.23(土)
■天気
■同行者
Torimotoさん
もっちゃんさん
■山行形態
沢登り
■コース:往路/帰路
豊似川支流東面直登沢
同上
釜付滑滝2段 Co645手前の滑床
Co650付近の小滝 スラブの滑滝(10M)
快適な滑床 Co730の小滝
ガレを上るToriさん
雪渓直下の小滝
雪渓上のMoさん 左岸の50M大滝
崩壊間際の雪渓 ブリッジ潜るMoさん
小滝と奥の雪渓 スプーンカット
雪渓奥の20M滝 撤退点付近全景
下降時の滑り台 大巻取付のルンゼ
右沢F1(5M) 1340付近の滑床
右沢F2(8M) 右沢小滝群
右沢CS滝@ 右沢CS滝A
右沢20M滝 下降時Co520付近
下降時の495左股 GPSトラック
コースタイム
前夜忠類道の駅車中泊
地点分岐等 時間
野塚トンネル 4:50
Co495二股 5:15
南峰南東面沢出合 5:35
Co600二股 6:00
撤退点(Co950P) 8:00
所要時間 3:10
撤退点(Co950P) 8:05
Co640二股 9:45
撤退点(Co810P) 11:20
Co780P 11:35
12:00
Co640二股 12:20
Co495二股 13:00
野塚トンネル 13:25
所要時間 5:20
(25)
自宅午後06時30分到着