トップ  自己紹介  マイソアラ  登山トップ  ギャラリー  ブック  BBS 映画日記 リンク

マイソアラタウンはリンクフリーですが、予告なく閉鎖することがありますのでご了承下さい。

メッセージはこちらまで : uzzso9003@mirror.ocn.ne.jp

copyrigrt(c)2001〜2004 shun1@ikeda All rights reserved

300.伏美岳(北日高/1792M)
久々の単独は下界の酷暑のがれ戸蔦別川六ノ沢から涼風吹きぬける伏美岳
悪しきキャリア この山行記も今回で300回目を数える。記念すべき山行を何処にするか悩んだ訳でもないが(笑)、とりあえず、宿題として残っているところからこなすことにする。先ずは北日高の伏美岳南面直登沢から。この沢は2009年6月にTorimotoさんと遡行したが、中流域からの雪渓に手を焼き、日和って夏道下降というおまけが付いた沢行だった。悪しきキャリアを一掃するべく、久々に単独で臨むことにする。戸蔦別林道を走るのはいつ以来だろうか。車から見る戸蔦の流れは濁ってはなさそうだが、白波がそこかしこに立ち、水量・水勢ともに強そうである。車は6号砂防ダムまで。先客もおらず一人寂しく沢支度。強固なゲート横をすり抜け、5時過ぎに歩きだす。灰色の雲が山々を覆うが、ぽっかりと空いた穴の上には青空が見える。何とか天気が持ってくれればいいが‥。先ずは4キロの林道歩きだが、正直これは辛い。このアプローチ条件が捲土重来を遅らせたといえるだろう。
滝と滑のショー カタルップ沢出合から15分も歩くと戸蔦別川に注ぐ枝沢に出会い、これを利用して川床に降り立つ。流木の助けを借りやや上流から対岸に渡る。いきなり腰まで水に浸かり、端から緊張を強いられる。少し戻ると六ノ沢出合で最も上流側の流れを利用し六ノ沢に分け入る。250メートルほど進むと本流に出会い、暫くは巨石や流木やらで鬱蒼とした雰囲気が続く。Co860で左岸にコンクリート護岸のような一枚岩を見て驚く。Co920二股を過ぎると沢は次第にスッキリとしてくる。沢が右左右と蛇行を繰り返した先に1020二股が現れる。目指す左股(8M)は滝となって水を落とし、水量も右股より多い。ここは右岸の藪を小さく巻いて滝上に上がる。そこは滑床となっていて快適に上がるも、フェルト底が減っているので気を使う。Co1050で川岸に汚れた雪渓を見るが問題なく通過する。3メートルほどの小滝を右から越えると、岩床が露わになりこの沢の滑と滝のショーが始まる。それはCo1340二股すぎまで延々ととづく。時間にして1時間30分ほどだが、望外の展開である。
同じ沢と思えず 雪渓登行に泣いた前沢行とは雲泥の差で、とても同じ沢とは思えない。滝はおもなものでも7〜8個はあり、小滝は数知れずである。所謂、大滝は登場しないが、7〜8メートルの中規模クラスが多い。美しさで言うならCo1260で右岸に半アーチ状に残る雪渓奥の5メートルであり、高さならCo1230の15メートル(推定)だろう。直登出来るものは直登し、例え巻く場合であってもそれはおおむね容易である。Co1340二股は水量の少ない右をとる。前回は雪渓を嫌って左に逃げている。右股に入っても滑床は間断なく続き、結局、Co1450付近までそれはあった。この辺り、ガスで隠れていた背後の山々も姿を見せるが、札内岳ガケノ沢や神威岳カタルップ沢はいずれも北面なので沢筋には雪が張り付いている。Co1500付近、沢形は明瞭だが水量は細々という感じになり、源頭を探しながらの登行となる。源頭はCo1600付近で、意外と上まで水はあった。これなら、夏道縦走にも使えそうだ。
あっさり縦走路 Co1650付近で沢形が浅くなり、登路はいよいよ藪になる。が、それは優しい灌木とシラネアオイの群落で、バテバテの身には有難い。30分ほど藪を漕ぐと前方が開けてきて、ヒューヒューと風の音がする。稜線が近いことを物語っているが、狙いの西ピークよりはやや西にずれているようだ。東に方向修正するのもいいが、稜線伝いのハイマツが強敵だ。ここで拘る意味もないので、あっさりと縦走路Co1750に出る。そこから10分弱でピークだったが、左大腿部が攣りだしたので、マッサージしながらの登頂だった。先客が一人いて、ほどなく、その仲間が上ってきた。下界は真夏日、涼風の山頂は賑わいを見せているかと思っていたが、意に反して静かな山頂だった。北日高の展望台といわれるだけあって眺望はいい。目につくのは、カールと雪渓の関係である。エサオマン北東カールはカール壁まで綺麗に雪に覆われているように見える。端正な形状が大量の雪を残しているようだ。
懸垂下降は5回 残雪のお陰でかろうじて存在が把握できるのが戸蔦別岳Aカールで、やはり崩れた感じである。それに比べるとBカールはそれらしく見える。総じて、残雪のお陰で山座固定が容易になるようである。およそ30分、ショートランチで腹を満たし下山の途に就く。ルートは右沢なので、登路となった左沢との間の小尾根を下るが、直下は手強いハイマツと灌木の藪に手こずり下降といえども消耗する。Co1700付近から鹿道を辿り藪を漕いで沢筋に降りる。Co1600で沢形に入り、Co1550で左に水流のある沢と合流する。渓相は左沢と酷似しており、Co1450で最初の滝(8M)を見る。Co1400付近からは小滝群というか傾斜のある滑床が出てくる。遡行は苦もないだろうが、下降となると結構気を使う。Co1300からCo1020二股までは滝のオンパレードで、懸垂下降は5回に及んだ。1箇所、残置スリングがありそれを使ったが、私自身スリング2本を残置した。他2回は太めの灌木を支点とした。
緊張の草付下降 ロープをしまう暇がないほど滝が続くため、一度などは、回収ロープをグチャグチャのまま運び支点にセットしようとしたら、絡んで3倍も時間を要してしまった。都度、きちんと収納することが効率的なセットアップと安全確保にもつながることを痛感する。山での横着はやっぱりいけないのだ。ハイライトはCo1150の推定40メートル大滝だろう。直瀑ではないが、滝上落口から見下ろすと「ホウ」とため息が出るほどの高度感である。40メートルロープ(ダブル使用)では全く歯が立たないことを直感する。勿論、10メートルロープを連結しても不足するだろう。途中に支点となる灌木でもあれば懸垂下降2回でと考えるがそれもない。止む無く、左岸の傾斜のある草付をバイルを効かせながら巻き下降する。適当な所で沢身に戻りたいのだが、斜度が強くて許してはくれない。何とか沢床に降り立った時には大腿部が再び痙攣していた。緊張の巻きだった証拠だろう。
難関の本流渡渉 左沢との中間尾根もほとんど末端で、1020二股までもう何も出てこないだろうと安堵していたら、視線の先の沢床が空に消えている。両岸はちょっとした函地形で、5メートルほどのやや細い滝がかかっている。当然ここでも懸垂で下降する。流石にその下には何もなく、ほどなく右から勢いよく飛び出す水流を見る。ようやく左沢と合流したのだ。標高差800メートル弱の下降に要した時間は2時間30分で、「意外とかかったなあ〜」というのが実感である。やはり、ロープのセットや回収等に起因するのだろう。ただ、左沢と違って巻きはやや難しいと思われる。当り前のことだが、安全のために時間を惜しんではならないと自分に言い聞かせたものである。ここからは難儀する場面はなくひたすら下り、小1時間で戸蔦別川本流に出会う。往路の渡渉点まで遡り最後の難関に突入する。流れだけを見つめていると酔ってしまい平衡感覚が鈍化するので、視線を少し遠くにうつし渡りきる。
唯物論的考察は ガレた枝沢から林道に上がると解放感に包まれる。あとは4キロ弱の林道歩きに耐えるだけでいいのだ。だが、足が痛みだしたり、ザックが急に重く感じたりするようになるのだから皮肉としかいいようがない。唯物論者からは異論をいただくことになるのだが、心の持ちようで身体は表情を変えるようである。林道はおおむね下りなので惰性で歩いていたが、いかに疲れていても林道上の巨大な羆の糞を見るとやはりシャキッとする。笛を吹き存在を知らせるが、自然と早足になっている自分が可笑しい。道端の蕗原が所々で刈られている。思わず羆が食したものかと見てみるが、それは鋭利な切断面を持っていた。量が量だけに、登山者が帰りしなに採ったとも思えず、おそらく山菜狙いでの入山者の手によるものだろう。満々と水を湛える8号砂防ダムの威容に違和感を感じ、カタルップ沢の滑床に癒される。疲れた沢屋の陰を写すエサオマン橋を渡るとそこから15分でゲートだった。
単独行で見極め さて、六ノ沢の評価だが、沢の美しさや優しさでは北のニタナイ川北面直登沢に及ばないものの、難易度ではこちらが確実に上である。一々記録するのが面倒なくらい滝や滑は出てくるし、源頭からの藪漕ぎも硬軟用意されている。戸蔦別川本流渡渉という難行も待ち受けている。それでも山谷的評価は「!*」が妥当だと思う。なお、1020二股からの左右の沢に関しては、右沢が難しく源頭の藪漕ぎも厳しい。従って、左を遡行し右を下降するのがベターであろう。但し、よりハードな沢行を望む向きにはその逆となる。気の置けない仲間達とのパーティ山行は実に楽しいもので、事故リスク軽減という視点からも有益である。だが、不安もつきまとう。甘えから「単独で山に向かう気力や体力が失せてしまうのではないか‥」と。それが故に、時には単独で山に入り自分を鍛え力を確かめてみたいと思う。その意味では今回の沢行は、それなりのレベルにまだあることを実感できた訳で、密かな自信を得た沢行といえるだろう。願わくば、緩やかな経年劣化でありますように‥。

★間一髪 下降時、Co1600で沢形に入りホッとしたのもつかの間、突然、上部でガサガサと音がして落石の襲撃を受ける。咄嗟に右に避けると足先10センチほどのところを直径1メートルの大岩が転がっていった。直前に、灌木の枝が邪魔だったので払い避けたのだが、その衝撃で根元付近でかろうじて止まっていた大岩が動き出したようだ。回避行動が一瞬でも遅れていたら直撃を受けたに違いない。おそらく怪我だけでは済まなかっただろう。幸運に感謝するばかりである。
■山行年月
2011.07.09(土)
■天気
曇後晴
■同行者
単独
■山行形態
沢登り
■コース:往路/帰路
戸蔦別川六ノ沢左沢
同右沢
1020左股の滝 1060の小滝
1080の滝 1110の滝
1150の滝 1170付近の滑
1230の滝 滝落ち口から
1260の雪渓と滝 エゾノリュウキンカ
1340右股の滑床 1500の沢形
1550から下流方向 1620付近の藪
1700付近の藪 シラネアオイ
山頂標識 幌尻と戸蔦別
札内と北東カール 1340付近の滑床
1330の滝 1320の滝
1310付近の滑床 1300の滝落口
1300の滝 1250の滝
1160の滝 1150の大滝
1080の滝 1020右股直上の滝
戸蔦別川本流 GPSトラック
恐怖の落石 カタルップの滑床
コースタイム
自宅午前03時05分出発
地点分岐等 時間
6号砂防ダム 5:10
六ノ沢出合 6:10
Co1020二股 7:25
Co1340二股 8:50
伏美岳 10:25
所要時間 5:15
伏美岳 11:00
Co1330二股 12:00
Co1020二股 13:30
六ノ沢出合 14:25
6号砂防ダム 15:20
所要時間 4:20
自宅午後06時30分到着