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287.ウペペサンケ山(東大雪/1848M)
積雪厳寒時の本格山行で大雪の絶景に酔いアルペン的雰囲気を満喫する
【@浄水場→夏道登山口→尾根取付→Co1181コル(BC)】
新ルートを発見 
このところの正月山行は北日高が定番となっていたが、今年2011年は東大雪のウペペサンケ山に決める。この山の積雪期の一般ルートは、メトセップ林道を詰めて主稜線1595Pから東に派生する尾根を辿るもので、「北海道の山と谷」でも紹介されている。ただ、このルートは林道歩きが8キロほどもあり、ラッセル必至の厳冬期に、単独ではかなり辛いものがある。2003年4月末にこのルートを辿っているが、ワカンで尾根取付まで3時間30分ほどを要している。結局、この時は、主稜線1696コブで時間切れ。糠平富士が随分と高く険しく見えたものである。とにかく長いというのが印象で、このルートからのリベンジはあり得ないと‥。ところが、ネットから別ルートの情報を得るに至り、にわかに、積雪期挑戦の可能性が現実味を帯びる。それは、糠平川沿いの林道を辿り、前述した1595Pからの支尾根に取付くというもので、糠平の市街地から浄水場まで2キロほどは除雪が入っているので、林道歩きは実質6キロほどで済むという。「これなら何とかなる」と、山中一泊でプランを組む。
ズシリ食い込む 肝心のお天気だが、上空には今季一番の寒気流入で日本海側には全国的に大雪が予想されている。東大雪山域の位置する太平洋側東部は好天予報だが、その急変がないことを祈りつつ浄水場横の林道除雪終点を出発する。前年の1839峰以来の縦走装備となるがその重さが肩にズシリと食い込む。こんなんで上がれるのかなあ〜と思いながらラッセル開始である。幸いそれは10センチ〜20センチ程度、サラサラ雪なので意外とペースはいい。この林道、枝沢に沿って何度も蛇行を繰り返す。最初のそれは浅い沢を渡りショートカットするが、他のは沢が深いので林道を淡々と行くしかない。右手対岸に屏風山と1286Pが酷似した山容を見せる。3時間35分で夏道登山口を左に見ると取付尾根は近い。道なりに右進して橋を渡ると目的の尾根末端である。ペースが上がらなければここをBCにして2泊3日という予備プランもあったが、時間的にも体力的にもまだ行けそうなのでCo1181コルを目指すことにする。
風音を子守唄に 直ぐに造材道跡のような雪面に出会ったので、それを利用するが行く手を倒木が遮り迂回を強いられる。それが面倒なのでコンパスの指示通り直線的に上がっていくと再び造材道跡とクロスする。それと付かず離れずといった感じで高度を上げていく。北に向きを変えた尾根を5分も辿ると1286Pの西斜面で、トラバース気味に進んでいくと1181コルである。眼前に主稜線1595からの支尾根が走り、東には1286Pへの西斜面である。テント場としての条件は良さそうで、安堵感に包まれる。辺りには古く太い切株があり、往時には盛んに切出されたに違いない。1時間ほどかけてテントを設営。あとは、テントに潜り込み、ガンガンストーブを焚きながら腹ごしらえで、ついでに濡れた手袋や帽子を乾かす。インナーブーツは履いたままで体熱乾燥に委ねる。夜になると小雪が降り始めるが、空には星達が煌き月明かりがテントを照らす。とにかく寒いので、着れるものは全て着込んでそのままシュラフに入る。時折、支尾根から聞こえてくる轟々たる風音を子守唄に眠りに落ちていた。
【ABC→1696コブ→糠平富士→本峰→糠平富士→1696コブ→BC尾根取付浄水場】
予定の早朝行動 3時に起床、外へ出てみると相変わらず小雪が舞っている。月明かりもないが満天の星空である。尾根の強風は気になるが、早立ちして行けるところまで行ってみようとアタックを決める。久々のテント泊なので手際が悪い。バタバタしている内に出発が4時30分になってしまった。30分遅れでテントをスタートする。勿論、まだ漆黒の闇が支配する世界で、ヘッデン行動である。コンパスの指示に従い樹間を縫って登っていく。アタック装備なのでとにかく軽い。といっても冬山だし、往復8時間はかかるので日帰装備に準じたそれである。尾根の背に上がると兎の足跡に出会う。それに導かれるように時に直登、時にギグを切る。左手には糠平温泉街、後方には十勝三段のオレンジ色の灯が浮かび上がる。ふと、「俺は何をやっているのか」と思う。Co1400付近で尾根形状は斜面に吸収され、広い針葉樹のパウダー斜面を黙々と登る。Co1450で左から尾根が合流するとほどなく針葉樹は姿を消す。
アイゼンに感心 次第に尾根形状がハッキリし、やや南側の雪庇寄りにルートをとる。すでに闇の支配からは解放され、右手には糠平富士も望めるようになる。傾斜が緩み、1595P以南の主稜線も指呼の距離となる。1595P直下からカンバの疎林を右手にトラバースし主稜線に立つ。西側遠くに雲は出ているが、予想に反して風はほとんどなくこの時期にしては好天の部類だろう。が、日の出前、寒々とした景観が何処までも広がっている。クラストした尾根をハイピッチで進むと管野温泉分岐で前年夏の親子登山を思い出す。カンバにコースサインを付けながら主稜線を北上していくと、雲間から太陽が顔を出す。周囲の景観がやや赤みを帯びて心まで暖かくなる。荘厳な太陽儀式に感動し、生きとし生けるもの全てが太陽エネルギーに依拠していることを痛感させられる。Co1696Pでスキーをデポしてアイゼンに履き替える。新調したワンタッチアイゼンだが、装着時間は僅か2分ほどで、しかも軽い。流石に高いことはあると感心していた。稜線上は完全にクラストしており、アイゼンが心地良く軋む。
鋭きピラミッド Co1720でストックをピッケルに替える。気温はかなり低く、東斜面にサンピラーが発生している。山で目にするのは2度目。デジカメで撮るが巧くいかない。簡易ハーネスを作りピッケルバンドと結んだ後、糠平富士を目指す。2003年時は「細く険しく」映ったが、苦もなく糠平富士に上がる。8年間、それなりにステップアップしてきたということか‥。最初に目に飛び込んできたのが白きニペソツで、天狗と前天狗を従え鋭きピラミッドである。糠平湖北端のタウシュベツ橋も僅かに頭を出している。今季は水量が多いようだ。湖面は凍結しているが、何かのトレースが走り、全体としてデコボコした感じに見える。対照的なのが然別湖で、こちらは鏡面のような静寂さを見せている。メトセップ川右岸の屏風山をはじめとする小ピーク群も面白い。本峰までの頂稜は細い所もあり、悪天ならキャンセルのところだが、薄いガスが出ているだけで風もやさしい。迷わず本峰目指して歩きだす。中間の鞍部まで細い所が2か所、ナイフリッジとまではいかないが、幅は30センチ程度で慎重に通過する。
頂稜辿り本峰へ 北斜面に映る自分の影がアルペン的雰囲気を醸し出し、景観に酔った自分を感じていた。復路の登り返しを考えると鞍部への60メートルほどの下降は幽鬱になるが、往路は気楽なものだ。アイゼンの歯を引っかけないように注意する。シュカプラの向こうのニペソツがだんだん大きくなる。石狩連峰とクマネシリ山魁、武華山と武利岳の北大雪も遠望できる。小さなギャップに数回耐えBCから5時間で本峰に到達する。山頂標識はさながらモンスターと化しており、裏側を覗かせるだけである。ウペペ西峰方向に目をやると、十勝連峰からトムラウシ山、表大雪方面が一望できる。特に、東面に深く大きい沢を持つオプタテシケ山はインパクトを放つ。頂上南斜面で暖かい日射しを受けながら行動食を流し込む。20分の滞在の後、頂上を後にするが、積雪厳寒時の1850メートル付近がこれほど穏やかとは嬉しい誤算だった。糠平富士で絶景を目に焼き付け、一気に1696コブまで降りてしまう。
下降にはご用心 BC到着時間によってはもう一泊と考えていたが、時間的にその必要性はなくなってきた。急いでスキーに履き替え滑りだす。クラストした稜線からCo1500P辺りまではボーゲンを多用するが、以降は尾根南側の雪庇帯にルートをとり樹林帯に滑り降りる。快適パウダーだが木々が邪魔をして気分よくとまではいかない。それでもスキーの速度は圧倒的で、丁度12時にBCに戻ることが出来た。ここで再び腹ごしらえをしてテント撤収にかかる。設営時に木の枝をペグ代わりに使い、ガッチリ固定した分、解体には手間取ってしまった。だが、本峰登頂というご褒美を手にした身には苦痛ではない。13時、すべての作業を終え下山の途につく。さっぱり軽くならないザックを背負っては、滑りを楽しむシーンなどあろうはずもない。とにかく転倒しないように斜滑降プラス山回りターの連続である。高度差270メートルを降りるのに35分も要した訳で、その用心振りが伝わるかもしれない。
ストックポキリ 林道もフラットなので滑りは期待できなかったが、前日のトレース上に僅かに積もったサラサラ雪が滑りを良くしてくれた。春先のベタベタ雪などとは天と地のほどの差がある。だが、時に失敗は付き物である。途中で倒れ込むように小休止を入れた時だった。起き上がろうとストックに力を加えた途端にボキッと鈍い音が。無情にもそれがストッパーのところから折れてしまった。林道ではストックで漕ぐシーンが多くなり、それは不可欠な用具なのだ。中に残ったポールを抜きだし、折れた下半分を差し込む。少し短くなったが、機能的にさほどの低下はないようである。こんな時もあるかとプライヤーを持っていたので事なきを得た。普段、使用機会はないが、あれば重宝する道具である。前日、ショートカットした林道には当然ながらトレースはない。こうなると下りラッセルとなり、ノンシールでは突破できない登り返しも出てきた。これならシールをつけて前日のショートカットルートを降りた方が良かったと思うも後の祭りである。この日も「急がば回れ」は通用しなかった(笑)。
感謝すべき幸運 最後に来て消耗する羽目になったが、とどめは大きな鹿とのニアミスである。私がショートカットのため藪に入ったせいで遭遇してしまった。そんなこんな珍事件に見舞われつつも、下りは下りである。BCから3時間で浄水場横の車に戻ることが出来た。下山後、糠平源泉郷の山湖荘で温泉をいただく。しみじみと目的完遂の喜びに浸る瞬間だが、気が抜けたか腰に違和感が走る。ギックリ腰持ちなので数日は無理厳禁である。ともあれ、積雪厳寒時の山中泊。体力的な衰えもこれありで、単独で登頂出来るのだろうかという不安を一掃出来たことは大きい。ただ、今次山行は私の力量からしてギリギリのそれであり、好天という幸運に恵まれたからこそなし得たともいえるだろう。幸運に感謝し密かに自分を褒めてあげたいと思う。日高には「険しい」イメージがあるが、大雪には「雄大さと多様性」が感じられる。冬の山はそんな山域の特徴を際立たせるのかもしれない。
久々に充実した山行となったが、帰路気になったのは屏風山である。この山のためだけに山中泊とはいかないが、残雪期にアタック装備で西隣の1286Pと一緒にやるのも魅力的なプランである。東大雪も楽しめることを実感したウペペサンケ山行であった。

■山行年月
2011.01.15(土)
   01.16(日)
■天気
15日/曇、16日/晴
■同行者
単独
■山行形態
積雪期登山
■コース:往路/帰路
糠平川コース
コースタイム(1日目)
自宅午前6時20分出発
地点分岐等 時間
浄水場 7:45
夏道登山口 11:20
尾根取付 11:40
Co1181コル(BC) 13:55
所要時間 6:10
林道から屏風山 穏やかな1181コル
テント設営完了 稜線から糠平湖@
管野温泉分岐標 糠平富士
雲間から太陽が 糠平富士と頂稜
稜線南方向 稜線から糠平湖A
直下から糠平富士 ウペペ西斜面
糠平富士から北望 糠平富士から東望
ニペソツ山@ ニペソツ山A
自画像とニペ 頂稜から南望
頂稜の起伏 トムラウシ山
迫る本峰 本舗から北望
本峰標識@ 本峰標識A
頂稜と雲 クマネシリ山魁
細い頂稜 1595東尾根@
1595東尾根A 屏風山と1286P
コルのテント GPSトラック
コースタイム(2日目)
地点分岐等 時間
BC 4:30
主稜線Co1595P 6:35
主稜線1696P 7:10
7:25
糠平富士 8:20
本峰 9:25
所要時間 4:55
本峰 9:45
糠平富士 10:40
主稜線1696P 11:05
11:15
主稜線1595P 11:25
BC 12:00
13:00
尾根取付 13:35
浄水場 16:00
所要時間 6:15
(60)
自宅午後06時30分到着