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273.武利岳(北大雪/1876.2M)
中ノ沢川の中級評価は少し甘いが遡行者の力量が試されるシーンが随所に
今年のお盆は子供達の時間差帰省や友人達との久々の再会もあり多忙な時間を過ごした。これはこれで良いのだが、山へ入れないことで一抹の寂しさを感じていたのも事実である。8月末になって、ようやく身体が空いたので北大雪への遠征を決める。本来なら沢登り縦走だが、体力的な不安を抱えての単独のそれはリスクが大きすぎる。で、道の駅車中泊をベースにした3日連続の日帰沢行とする。具体的には、中ノ沢川南東面直登沢から武利岳、石沢川北面直登沢からニセイチャロマップ岳(通称名)、パンケシユウベツ川北西面直登沢から支湧別岳というプランである。
増水不安は杞憂 集中沢行初日は武利岳。折しも、前日と前々日に道内は豪雨に見舞われ、天人峡温泉への道路が陥没し死傷者が出るなどの被害が出ていた。天気は急速に回復したものの北大雪とはそれほど離れた罹災地でもなく、中ノ沢川の増水が最も気になるところである。ダメなら流域面積の狭い雲霧山東面直登沢という代替プランも用意して前夜の内に「温根湯道の駅」に入る。広々とした駐車場に清潔なトイレ、道路や天気情報も得ることが出来て登山者にとっても便利な施設である。25日は夜が明けきらぬうちに登山口へと移動を開始する。国道39号線厚和から丸瀬布方面への道路に入ると「落石のため通行止」との看板があるが、岳友oginoさんから武利岳登山口までは支障なく行けるとの事前情報を得ていたので躊躇することなくアクセルを踏み込む。峠を越え武利川沿いの林道に入る。5キロほど走ると武利川810二股で右股が中ノ沢川である。川沿いの林道を更に500メートルほど行くと土場があり車はここでストップとなる。
流木の山に苦戦 気になる水量はどうか‥。準備をしながらチェックするが濁りはなく、水量も膝程度で極僅かな増水と判断、予定通り遡行を開始する。「北海道の山と谷」によればこの沢のグレードは「!!」。私が単独で入れる限界のそれで全身緊張感に包まれながら砂防ダムからの入渓となる。樹木に覆われ鬱蒼とした沢は川幅はせいぜい3〜4メートルで直ぐに二股となる。ここは右をとるが左は上ノ沢川である。真新しい砂防ダムを右から越えるとCo866P上流でまた砂防ダムが現れるが、こちらは苔むした感じでやや古い。ここを過ぎたあたりから沢は次第に流木が目立つようになる。初めのうちは適当に処理していたが、次第に潜ったり押し避けたりその処理に手間取ることになる。以降、流木との戦いはCo1120二股まで続く。川岸のブッシュの倒れ方からして水位は少なくとも30〜40センチは上昇していたはずで、その様子をイメージすると恐ろしくなってしまう。尋常ではない流木は何が原因か。雪崩で沢に木が集まり増水で流されるパターンだろうか。
流れるストック 河原林は全くなく、両岸が迫る中、Co970Pで流木が架かった釜付滝(F1)を見る。高さは7メートルほどでここは左岸を巻くが、直ぐ上にも3メートルの小滝があった。黒い岩床に流木の山、正直こんな汚れた渓相の沢は遡行したくはない。それでもCo1060P付近で滑が60〜70メートルも続くと嬉しくなってしまう。90分でCo1120二股となりここは右股に入るが、水量はほぼ同じである。この辺りからがこの沢の核心部で気合を入れ直しリスタートを切る。が、ここでチョンボ。ストック1本を流してしまう。これまで2度のストック紛失危機は何とか乗り越えてきたが、今回ばかりは許してもらえなかった。気を取り直して遡行を再開すると直ぐに滝(F2)でこれも7メートルくらいである。左岸にホールドもあり直登出来そうな感じもするが、単独ゆえにリスクは冒せない。右岸を巻く。遡行時の単独のロープ確保システムは面倒で、選択肢がそれしかないなら別だが「巻けるなら巻く」というのが私の基本である。Co1180二股は左だが、右股奥に3段滝が見える。各段の岩棚が斜行しており、水流の向きが微妙に変化しているのが分かる。この滝は20メートルくらいはありそうだ。側まで行って確かめる余裕もなく、3〜4メートルの小滝(F3・F4)を2つ越えるとCo1210二股となる。
核心通過に安堵 ここは右股で水量も右が多い。直ぐにガッシリした滝(F5)が現れる。15メートル3段といったところで右岸を巻く。灌木に邪魔されて正確に把握することはできなかったが、滝の上にも滑滝が続いているようで滝の落ち口で沢身に戻るのを断念、一気に安全域まで巻いてしまう。沢は滑床や滑滝が続き、地形図に現れない二股も出てくるがいずれも左をとる。流れもグッと細くなり核心部を通過したことに安堵感を覚える。振り返ると北見富士が大きく見えるが、富士の容はやや歪である。沢は右岸が壁のように切り立ち、水量は細いものの小滝が時折現れ、直登出来ても微妙な身体の動きを強いられたり、巻くケースであっても傾斜が強かったりで、想定外の苦戦となる。Co1490二股を右に入ると2段15メートルほどの滑滝(F6)で、下段は右岸を巻き、上段は左岸を巻く。後者の巻きは角度のある斜面で、バリケードのように張り出す灌木の枝を押し分け掴みながら攀じ登る。Co1575二股も水量の多い右をとる。この付近から傾斜が一気に増してくる。
軟弱な私の選択 涸滝の処理に苦しんだり、細いV字谷のような地形に圧迫感を覚えたりするが、難所はもうなく、専らの関心はルートどりをどうするかに移っていた。水流はCo1690付近で消失、沢はブッシュで覆われるがそれは全く優しい。Co1720二股を右にとると再び細々ながら水流が現れ、結局、Co1750付近までそれは続いていた。Co1760付近に岩塔があり、上部にモアイ像のような岩が立っている。この岩塔の基部が二股となっていて、右をとればピークダイレクトというのは分かっているのだが、そこはハイマツの海。一方、左股は優しいブッシュで、軟弱な私は当然のように左をとる。おそらく南肩の上あたりに出ることになるはずである。そこから30分、最後は稜線南側に壁のように立ちはだかるハイマツを掻き分けて武華山からの縦走路に飛び出す。高度は1860メートルで、前年GWの武利・武華縦走を思い出しながら歩くこと5分で待望の頂上だった。天気は高曇で眺望は比較的よい。武華山の奥に東大雪の山並が青白く浮かぶが、ニペソツの槍が一際鋭く映る。
無人の武利山頂 阿寒山群も遠望できるが表大雪方面は上部にガスがかかっている。ニセイチャロマップ岳や支湧別岳方面は視界良好で、特に支湧別岳は中々鋭角的である。風は冷たくアウターを着込んで写真を撮り食事をとる。夏道のある山は頂上に誰かいるのではないかといつも期待しながら遡行する。今回もそうだったがそこは無人だった。寂しさは否めないが無事に遡行し、登頂出来た喜びには変わりがない。35分の滞在の後、夏道から下山を開始する。恐竜の背のような頂稜を辿り九合目から東尾根を下る。岩場の鎖梯子が嫌で岩を後ろ向きで降りたはいいが、スリップして灌木の上に落ちる。時々こんな失敗をするのが私らしいが気持が緩むとこんなものである。このコースは2000年8月以来で、コース標識が立派だったという妙な記憶が残っている。登山を始めて3シーズン目、標識頼りの登山をしていたことの証拠だろう。パートナーだった静子もいないし、山行スタイルも随分と変わったと思う。果たして、成長しているのかどうか‥。
御愛嬌下降ロス Co1726P付近辺りだろうか、少し傾斜が緩んだ付近で下から何か音が聞こえる。時間的に少し遅かった(12時少し前)ので登山者は来ないとの先入観があった。笛を吹くと人の声が返ってきて、やがてその主達が現れる。女性3人男性1人の4人パーティだった。挨拶をすると沢の難易度や沢靴カバーのことを聞かれる。丁寧に答えたつもりだったが、真意が伝わったかどうか‥(笑)。淡々と下降を続けると、やがて左手樹間から容の良い山が見えるようになる。方角からして、どうやら無類岩山のようだ。前年晩秋に藪山会で十四ノ沢を詰めてピークに立ったことを思い出す。夏道1111P付近から南側の沢に降りる予定だったが、うっかり降り過ぎてしまいCo1000Pから沢に降りる。この沢は下流で南東方向に向きを変えているので、当初予定ルートより500メートルほどは余計に歩かなければならないが、これも御愛嬌である。林道を15分弱歩くと車のある土場で、休憩含め8時間20分のコースタイムは上出来である。
新鮮で静寂な沢 充実感に包まれながら層雲峡温泉「黒岳の湯」で汗を流した後、濁流と化した石狩川に驚きつつ、この日の宿泊地である道の駅「白滝PA」に向かう。上川から高速に乗り一気に奥白滝インターまで走るが、無料走行が申し訳なるほどの快適さだった。下を並走する一般道がガラガラだったのが何故か気になってしまった。
さて、中ノ沢川の印象だが、下部は鬱蒼とした感じで流木が多くゴチャついているが、1120二股からはかなりスッキリしてくる。滝も直登となれば話は別だが、巻はそれほど難しくはない。但し、巻ルートは不明瞭で遡行者のルートとり次第で難しくもやさしくもなるだろう。源頭の藪漕ぎは優しい部類で、沢そのものの長さや獲得標高等を合わせて考えると「!!」評価は少し甘いかもしれない。いずれにしても、遡行者の痕跡は乏しく、新鮮で静かな沢旅は体感できるに違いない。
■山行年月
2010.08.25(水)
■天気
■同行者
単独
■山行形態
沢登り
■コース:往路/帰路
中ノ沢川南東面直登沢
夏道・丸瀬布コース
最終の砂防ダム F1
Co1060の滑床 F2
Co1180右股の滝 F5
F5上部の滑床 Co1350付近
Co1400付近の小滝 Co1450付近の滑滝
Co1490右股滝 背後に北見富士
Co1550付近 Co1640付近の小滝
源頭風景 岩塔のモアイ像
岩塔基部から沢筋 縦走路から頂上
頂上風景 武華山と奥のニペ
北見富士と阿寒山群 南東面沢
支湧別岳 九合目から頂上
ウラシマツツジ 夏道1750付近から
無類岩山 GPSトラック
コースタイム
温根湯道の駅4時出発
地点分岐等 時間
Co830P土場 5:10
Co1120二股 6:40
Co1575二股 9:15
稜線夏道 10:30
武利岳 10:35
所要時間 5:25
武利岳 11:10
夏道・1539P 12:10
沢下降1000P 12:55
林道 13:15
Co830P土場 13:30
所要時間 2:20
白滝PA午後6時到着