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270.富良野岳(十勝連峰/1912M)
久々の単独遡行は初見参の三峰山沢で美しさと楽しさと険しさを体感する
北日高から転進 7月末の週末は大雪・ポンクワウンナイ沢の予定だったが諸般の事情でキャンセルとなった。ならば、未遡行の沢が多い北日高へとプランを組んだはいいが急用で札幌へ行く羽目に。テンション低下は否めないが、好天予報の週明けにスライドすることにする。が、その後、アプローチとなる北日高の主要林道(チロロ、ペンケヌーシ、戸蔦別等)が通行止になっていることを知る。そこで、急浮上したのが富良野岳・三峰山沢である。少し遠いが、増水さえしていなければ全く問題はなく、急遽の転進となった。往復6時間近いドライブは辛いので、前夜の内に麓の上富良野町に入り「日の出公園」駐車場で車中泊する。翌日5時過ぎ、濃いガスと微かなラベンダーの香りに包まれた公園を後にして十勝岳温泉に向かう。途中でガスも切れて山も見え出すがスッキリとはいかない。吹上温泉分岐となるT字路手前に気象庁の地震観測施設があり、そこに車を止め6時25分に歩き始める。
不気味な構造物 車道を30メートルほど下がるとヌッカクシ富良野川に降りる林道があり、ゲート横をすり抜けてそこを行く。直ぐ下流に砂防ダムがあり、ここは今年2月に富良野ジャイアント尾根に上がった時のルートでもある。その時は一面銀世界だったが、今は石に埋め尽くされ荒れた雰囲気の河原と化している。増水も濁りも認められずまずは一安心する。林道は川を横断し三峰山沢の左岸に伸びているので、ルートロスの心配は全くない。左から三峰山沢の沢音を聞きながら淡々と歩いて行くと、林道は直ぐに荒廃し蕗原となる。入渓前だというのに衣服は朝露でグショグショである。それでもこの道のお陰で幾つかの砂防ダムを苦もなく越えることが出来る。しかし、それも高さのある築堤が突如現れピリオドを打つ。山中に不釣合いな構造物はいつ見ても気味が悪い。右手の斜面を上がり再び現れた道を行くと自然と砂防ダムの上に導かれる。ここから入渓かと思いきやさにあらず。最上流の砂防ダムを越えるため直ぐに右手の枝沢に入り、ある程度詰めてから右岸を乗越すとようやく築堤上に出る。
優美な九重ノ滝 完全に土砂で埋まったダム上には優しい朝日が降り注ぎ、穏やかに広がる麓の大地も目にすることが出来る。このダム上は二股(Co1170P)となっていて、水量の多い左沢は上富良野岳に突き上げている。富良野岳に上がる目的の右沢は灌木に消えているが、その先に目を向けると、切り立つ岩壁の間を落ちる白い帯状の流れが飛び込んでくる。地形図「九重ノ滝」でいよいよ核心部へと突入する。遠目では高さのある滝に映ったが、滝下まで行くと当り前のことだがそれほどの高さは感じない。赤茶けた岩盤を流れ落ちる水の白さが眩しい。事前情報はあえて入手せず、自分の感覚で判断しルートを選ぶ。左岸は被り気味なので右岸水際から上がる。最初の滑滝は高さも幅もあり美しい。以降、蛇行しながら小滝が連続する。容易に直登出来そうだが、取付いてみるとペロリとして手掛かりがまるでない。そんな時は右岸を低く小さく巻く。ブッシュを頼ったり、久々にバイルも使う。
華雲は城壁の主 赤い岩盤を抉るようなトイ状の流れが岸辺の緑と相まって美しい景観を描いている。およそ1時間の快適な遡行はCo1350P付近でようやく終息する。実に、高度差150メートルにも及ぶ滑滝の連続であった。ただ、途中で小休止をとる時などは慎重さが必要だ。うっかり足を滑らせようものなら怪我では済みそうもないので灌木にピレイをとったほどである。平穏さを取り戻した沢だがそれは10分と続かなかった。雪渓が残る左岸奥に城壁のような岩壁が現れ、そのやや右から高さ30メートルほどの滝が豪快に落ちている。地形図「華雲ノ滝」で、それはさながら城壁の主のようで、左の浅いルンゼを流れ落ちる細い滝を従え圧倒的な威圧感を放っている。ここは左岸の灌木帯から高巻く。沢床への降口にはテープも打ってあり、踏跡も比較的明瞭であった。ま、ここのルート選択肢はほぼゼロではあるが‥。核心部を抜け出すとほどなくCo1480二股でここは左に入る。
詰は花畑の急登 源頭方向に目をやるが頂上部はガスに覆われ見ることはできない。この日の天気は晴予報だが山はやはり別なようだ。沢はごうろ帯となるが流れは細くなる。両岸は赤茶けた地肌が剥き出しとなり崩れているところもある。所々に水色の岩床も現れ目を引く。Co1560二股、Co1590二股はどちらも右をとる。後者の左股は岩棚から細い流れが滝となって流入している。傾斜は一気に増し遠かった源頭付近の岩壁や岩塔が徐々に近づいてくる。沢筋は次第に浅くなり岩の隙間を細々と流れていた水もCo1700付近を越えると消失してしまう。一息入れながら辿りし方向を振り返ると、岩壁の奥に三段山が遠望できる。生憎のガスで十勝岳は見えないが、足元は一面エゾルリソウの群落で気が和む。最盛期なら鮮やかなお花畑の中、ごく浅い沢筋を黙々と上がっていく。北尾根の派生ポイントにコンパスをセットし、岩壁や岩塔群を避けながらルートをとるが、想像以上に傾斜が強いので緊張する。
12年振りの夏道 バイルやせいぜい膝下程度のブッシュ類の枝を頼りに攀じ登る。正直、下を見るのが少し怖い。ブッシュ丈が腰くらいになるとやや傾斜が緩み上が開けた感じとなる。灌木からハイマツに植生が変わると一登りで稜線だった。ガスの中に頂上とそこに立つ登山者の姿が見える。そして、話し声も聞こえてくる。変な所から現れたメット姿のオヤジにさぞ驚いたことだろう。そこは夏道から30メートルほどの北尾根上で、予定ルートより若干右寄りだったが許容の範囲内である。御愛嬌のハイマツ漕ぎを2〜3分で夏道に合流、あっけない遡行の幕切れで頂上に立つ。登山者で賑う山頂の一角で早速ラーメンタイム。遡行してきた身には例え微風といえども寒さを感じる。アウターを着込んでのランチとなる。1時間の大休止もガスはとれず眺望を楽しむことはできない。諦めて夏道を下るが、縦走路分岐までは高山植物が目を楽しませてくれ、やはり富良野岳は花の山である。98年7月、登山を始めた年に静子と登って以来だが、登山道は深く抉れていたるところに木の階段が出来ている。
下降は左沢選択 復路は夏道をそのまま十勝岳温泉まで下る選択肢もあったが、時間が早かったことや、十勝岳温泉から車までの車道歩きも辛そうなので、Co1500付近から左沢の枝沢に降りる。たまたま、居合わせた登山者(外国人パーティ)の怪訝な様子が可笑しくて、笑いをこらえるのに苦労した。この沢は浅いV字沢で御多分にもれず地肌剥き出しである。時折現れる白い岩床が赤茶けた景観のアクセントとなっている。10分ほど降りるとCo1420二股で、本流上流90メートルに地形図「雌鹿ノ滝」で、二条の流れが10メートルを落ちる。遡行するなら左岸巻きだろうか。このあたり直線的でスッキリとしていて開放度満点の渓相である。100メートル近くも続くスラブ状の岩床を降りていくと、沢床が突然途切れ、はるか下方に下流の流れが見える。地形図「雄鹿ノ滝」である。物凄い高度感を感じながら、右岸の灌木を伝って滝下の偵察を行うが、ダブル使用を前提とした40メートルロープでは歯が立たない。直瀑ではないものの傾斜は強く落差はゆうに25メートルほどはありそうである。
雄鹿ノ滝で消耗 滝右の灌木帯もしくはルンゼに懸垂下降する方法もありそうだが、こちらもロープはギリギリっぽい。「高巻き下降」を決断し、少し戻って右岸高巻きに移る。傾斜が強く沢靴では苦しく、おまけに密集した笹藪プラス灌木なので消耗する時間帯が続く。何とか傾斜が緩むところまで上がり、下降を開始する。ルンゼの右、やや傾斜が緩む藪斜面に狙いをつける。こういう所では地形図に現れない絶壁に出くわすこともあり、笹に掴まりながら急斜面を慎重に尻滑りする。巻き開始から30分ほどを要してようやく沢床に降り立つ。見上げると30メートル近くはありそうで、落ちる水はベールのごとく霧状に変化している。滝は下になるほど幅が広がりドッシリとした印象を与える。流石に「雄鹿」だと納得する。滝の右岸落口に残置スリングがあったが、懸垂下降をするには、相当な高度感に耐えられるという条件が付くことは言うまでもない。左岸の攻略方法としては、手前から巻いて、傾斜のある砂礫面に出て懸垂もしくは灌木伝いに降りるそれである。下から見ると最も楽そうに映るが、ミスすると代償は大きそうである。右岸巻きは辛い藪漕ぎだが滑落からは逃れられ安全というべきか。
満足の代替沢行 ここからは僅かに小滝や滑床も現れるが、基本的にはごうろ帯となり、荒涼感溢れる沢をひたすら下降するだけで何もない。左岸から顕著な沢筋が2本ほど流入するのを見ると見覚えのある砂防ダムの上で、入渓点の夏道枝沢出合からCo1170二股まで、高度差330メートルの下降に70分ほどもかかってしまったことになる。沢中では羆の痕跡をほとんど見ることはなかったが、左岸の道には古いものの彼らの糞が数箇所あった。好物の蕗が生い茂る道では笛を吹きながらの通過となった。但し、腰丈ほどまでに成長した蕗原に彼らの食した痕跡はなく、育ち過ぎると美味しくないということだろうか。それにしても砂防ダムの多い沢で、1.6キロの間に大小8基が構築されている。ほとんどが埋まっているのも驚きである。今回の沢行、日高の代替プランとしては、難易度、楽しさ、美しさとも贅沢なそれで満足することが出来た。白銀荘での癒しの湯もいただき、鬱積した週末のストレスはどうやら発散できたようである。
■山行年月
2010.08.02(月)
■天気
曇一時晴
■同行者
単独
■山行形態
沢登り
■コース:往路/帰路
三峰山沢右沢
夏道・三峰山沢左沢
ダイセツトリカブト 九重ノ滝遠望
九重ノ滝@ 九重ノ滝A
九重ノ滝B 九重ノ滝C
九重ノ滝D 雪渓の奥にルンゼ
華雲ノ滝 Co1480二股下流
Co1520から頂上 水色の岩床
Co1590左股の滝 Co1680から頂上
源頭から三段山 Co1760付近
エゾルリソウ群落 稜線直下
三角点 イワギキョウ
ハイオトギリ チングルマ
ヒメイワショウブ 不明
ウメバチソウ トカチフウロ
コガネギク 木の階段
エゾキンバイソウ 枝沢の白い岩床
雌鹿ノ滝 スラブの岩床
雄鹿ノ滝落口 雄鹿ノ滝
左沢の小滝 GPSトラック
コースタイム
上富良野町車中前泊
地点分岐等 時間
登山口 6:25
Co1170二股 7:15
Co1480二股 9:10
富良野岳 10:55
所要時間 4:30
富良野岳 11:55
Co1500枝沢出合 12:50
雄鹿ノ滝(下) 13:40
Co1170二股 14:00
登山口 14:30
所要時間 2:35
自宅18時45分到着