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251.知床岳(知床山域/1254.2M)
山中泊早朝勝負に徹して悲願成就、辺境の山はその全てを見せてくれた
【@相泊→尾根取付→支流渡渉Co190P→BC(Co610)】
3月も末になると西高東低の冬型の気圧配置は緩み春らしい陽気に包まれるはずなのだが、今年は様子が違う。感覚的には、三寒四温というよりも四寒三温である。それでも家でジッとしている気になれず、比較的好天が続く知床方面への遠征を決める。今季2度目となるが、今回は休養日や予備日を入れて一週間程度の時間を確保する。
メイン山行から 
最初の山行はメインの知床岳である。この山は過去2度挑戦(07年3月/09年4月)しているが、いずれも途中敗退を余儀なくされている。3度目の正直とするべく、山中一泊のプランで万全を期すことにする。前日「道の駅らうす」で車中泊。1日目は、登山口となる相泊を午前7時過ぎに出発。入林帳には日帰りでM・〇橋さんの3人パーティの名があった。1月の伏美岳以来の重装備となるがそんなに重く感じない。カモイウンベ川を渡り、スキーを担いで左岸尾根に上がる。雪はたっぷりで、前述のパーティのトレースがあるのでそれを使わせていただく。ただ、トレースを外れても固雪なのでラッセルはない。ルートどりに難しさはないものの、そのことをほとんど考えずに済むのは有難い。途中で最初の休憩を入れた時だった。何気なくトレースを振り返ると青いものが見える。「あんなもの無かったはずだが‥」と思いつつザックの背に目をやるとメットが消えている!。慌てて戻りメットを回収する。小休止を入れなければ気がつかなかった。危ない、危ない。
先行する登山者 カモイウンベ川170二股の右沢やや上流をスノーブリッジで渡ると初挑戦時のテン場である。あの時は、風雪強く、相泊からここまで4時間も要している。ここでの2泊が懐かしく蘇る。少し進むと樹林帯を一旦抜け出す。コースサインを付け出すのもこのあたりからである。稜線が目の前に展開され、そこに突き上げる尾根や沢筋が明瞭となる。目を引くのは左前方の主稜線862峰で、少し角ばった感じのピーク形状は凄みがある。この山狙いで上がってくる登山者はいないだろうが、余裕があればアタックしてみるのも面白いだろう。雪が積もっているので全容は掴めないが、土砂や樹木のデブリのような地形を横切りCo474Pへの登りにかかる。前2回は奥まで詰めて急斜面にルートをとったが、今回は手前から緩やかな尾根に取付く。Co474Pからはテン場を探しながらの登高となる。Co500Pを越えた付近だっただろうか。前方から話し声が聞こえ、目を凝らすと3人の登山者の姿が見える。
森林限界直下BC 入山帳からは、M・〇橋さんのパーティと思われる。まだ、10時前ではあるが、日帰山行にしては時間的に登頂はどうかなという印象である。というのは、重装備の私が彼らとの距離を徐々に詰めているからである。Co600P付近に彼等のスキーがデポしてあり、ここからツボで尾根に向かっている。私は森林限界ギリギリのCo610PをBCとすることに決める。尾根急登の直下平坦地であり、背後に広がる海と遠望できる国後島‥、ロケーションもいい。側の針葉樹が少しは風避けになってくれるだろうとの期待もある。早速、テン場の排雪作業にかかるが氷化した雪面に手を焼く。スコップの先を何度も打ちつけて砕く。それでもなんとか1時間程度でテント設営を完了するが、気になるのは尾根に取付いた前述パーティで、やたらと時間がかかっているのである。「大丈夫かなあ〜」と思っているうちに尾根頭に消えていった。ランチをとりテント内で寛いでいると尾根から甲高い声がする。外へ出てみると、先のパーティで、尾根頭に消えてから2時間くらいしか経過していない。
イヤラシイ尾根 時間からして、せいぜい主稜線までだろう。稜線上にはガスが出ており、おそらく知床岳を遠望することも叶わなかったに違いない。上の様子を聞きたくて彼等の降りてくるのを待つが中々来ない。挙句はロープを出して確保しながらの下降となってしまう。アイゼン・ピッケルワークさえ出来れば何でもないが、その技術がなければイヤラシイ尾根であり、ロープを出すのもあながち大袈裟ではない。私自身、前年、甘く見て苦しんだ経験がある。結局、彼等と接触する機会を逸してしまい情報を得ることはできなかった。3時過ぎになると周囲は次第にガスに包まれ雪が舞いだしてきた。そして、テントを揺らす風も‥。夕闇が迫る頃になると雪は本降状態となり視界も50メートルほどになってしまう。ラジオからは、翌日も基本的には冬型の気圧配置だが、東部やオホーツク海側はまずまずの天気、との予報が流れる。「早朝3〜4時間でもいいから好天を」と念じつつシュラフに潜り込む。携帯で家族に連絡をと思うが通じない。アンテナが3本立っているのに‥。
【ABC→主稜線Co1065P→知床岳→主稜線Co1065P→BC→尾根取付相泊】
絶景の稜線台地 2日目、夜中に起きてみると満天の星空と月まで出ているではないか。降雪量もさほどではなく、天気の安定している早朝にアタック開始を決める。朝食後、BCを午前5時に出発する。アイゼン・ピッケルスタイルに、稜線上の移動を考慮してシートラとする。荘厳な日の出に背を押されながらの急登だが、アイゼンが心地よく軋み、サクサクという感じで尾根頭に上がる。朝一のウォームアップとしてはややキツイが順調な滑り出しに満足する。緩やかな傾斜が主稜線まで続き、左の1062Pと右の1159Pが目線に近づいてくる。主稜線でスキーに履き替えるが、圧倒的な景観に心奪われてしまう。左遠くには双耳峰然とした硫黄山と東岳、ルシャ山と続く山並が大きく白い裾野を広げている。目の前には大きな野球場のような凹地形が現れ、その奥に知床岳が鎮座している。障害物は何もない。直線的に知床岳を目指して無雪期はハイマツの海の上をスキーを滑らせる。
半島先端に収斂 知床岳の南西尾根東面が朝日を受け眩しいまでに輝き、前景となるミニモンスター群も美しい。傾斜が出てくるといよいよ頂上への登りとなる。2度3度と肩透しを喰らうが、北側に開いた半円状の尾根に出ると、遂に頂上が露わになる。一部氷化した雪面に苦しみながらもスキーのままで問題はない。最後の登高苦痛を楽しみつつ、7時15分に頂上の人となる。静子と知床沼BCで判然としないハイマツルートを辿り登頂したのが2003年、7年振りのピークである。頂上からは北側から西側にかけての眺望が加わる。特筆すべきは、半島先端に向かって収斂していく山並であろう。直線距離にして13キロほどで、地形図に名のある山はポロモイ岳とウイーヌプリだけである。足下はポトビラペツ川源頭で、爆裂火口のような絶壁となって落ち込んでいる。沢筋を下流に辿ればオホーツク海がぼんやりと浮かぶ。同じ崖地形でも、西側は朝日に輝き、東側はシルエットとなっていて、その奥に知床沼のある平坦地形が見える。いかにも辺境的な雰囲気で見飽きることがない。
スキーの優位性 だがのんびりもしていられない。オホーツク海側からゆっくりとガスが移動してきたのである。証拠写真を撮り15分ほどで頂上を後にする。雪質もまずまずなのでスキーのアドバンテージが一気に発揮される。シートラした甲斐があったというものだが、稜線上で悪天に遭遇したら逃げ場がないというのを痛感する。知床岳そのものは優しい山で、特別な技術や体力を要しないが、稜線上の天気動向の見極めにおいて難しさを秘めていると思う。なめてかかるととんでもない目にあうだろう。ま、これは知床岳に限ったことではないが‥。ガスに追われるようにスキーを滑らせ、アッという間に下降尾根の頭につく。例によって、アイゼン、ピッケル、シートラで安全を期す。どうしてもスキーで下降したい向きには、雪面安定が条件だが、1062P寄りの浅い沢形を滑り降りるのがいいような気がする。HYMLのKさんが頂上から1時間で滑り降りたというが、どのルートをとったのだろうか。
羆撃退スプレー 尾根半ばから見るBCの黄色いテントも一段と鮮やかに色を放っているようで、これも悲願達成で心が高揚しているからに違いない。頂上から50分でBCに戻り、小休止の後、テントを撤収、9時30分に下山を開始する。とにかく、荷が重いので傾斜が緩む樹林帯まではボーゲンと斜滑降オンリーである。転倒厳禁であり格好など気を使っていられない。樹林帯まで降りてしまうと天国の下降となる。極僅かの傾斜が適度な滑りを演出してくれる。気分よく滑っていると、トレースを横切る足跡があり良く見ると羆のそれだった。大きくもあったが、明瞭な爪跡からこの日の朝のものらしい。「そろそろ撃退スプレーの時期だなあ」と思う。1時間弱でカモイウンベ川河口で、海岸線を相泊へとストックを漕ぐ。近くの海では漁師さん達が小舟で漁の真最中だった。客観的に見ると不思議な絵になっているに違いない。相泊近くになると雪が徐々に少なくなるが、ギリギリまで雪を繋いでスキーで歩く。横着極まりないと苦笑するも、登頂というお土産付故に許してもらえるだろう。
読み的中プラン 下山完了後は、羅臼まで戻り先ずは温泉で汗を流し、次いでリッチなチキンカレー、締めくくりはコインランドリーで洗濯と忙しい時間を過ごす。翌日は休養日とすることを決め、この日も道の駅らうすで車中泊とする。今回の山行、2日間の行動時間だけを見れば8時間であり、時間的には日帰りは充分に可能である。ただ、過去の撤退経験などから考えると、好天予報であっても午前中からガスがかかりはじめるケースが多いようである。現に、初日BCに到着時点ですでにガスっていた。山は基本的には「午前中勝負」だが、知床岳に限っては「早朝勝負」のような気がする。そのためには山中一泊とし、余裕を持ってアタックすることの方が登頂率は高まるのではないだろうか。今次山行プラン、先ずは「読み」が的中したといえるだろう。勿論、春型陽気に包まれればその限りではないが、今度は雪不足が新たな障害となって行く手を阻むに違いない。
■山行年月
2010.03.28(日)
   03.29(月)
■天気
28日/晴一時雪 29日/晴
■同行者
単独
■山行形態
積雪期登山
■コース:往路/帰路
カモイウンベ左岸尾根
コースタイム(1日目)
道の駅羅臼午前6時出発
地点分岐等 時間
相泊 7:05
左岸尾根取付 7:30
支流渡渉Co190P 8:40
BC(Co610P) 10:40
所要時間 3:35
相泊からの海岸線 ガス湧く稜線
主稜線862峰@ 正面の取付尾根
テント地風景 テン場から太平洋
登高中の日の出 尾根の急登
主稜線862峰A 主稜線南方向
主稜線直下 主稜線から知床岳
知床岳 知床岳南西尾根
硫黄山遠望@ 硫黄山遠望A
稜線台地風景 頂上直下
知床岳頂上 頂上西側の壁
頂上東側の壁 半島先端方向
ガス迫る硫黄山 知床シュプール
尾根からテン場 GPSトラック
コースタイム(2日目)
地点分岐等 時間
BC(Co610P) 5:00
主稜線Co1065P 6:30
知床岳 7:15
所要時間 2:15
知床岳 7:30
主稜線Co1065P 7:45
BC(Co610P) 8:20
所要時間 :50
BC(Co610P) 9:30
支流渡渉Co190P 10:05
左岸尾根取付 10:25
相泊 10:50
所要時間 1:20
道の駅羅臼午後6到着