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206.屏風岳(北大雪/1792.2M)
5年越しの悲願成就なるも九滝の沢旅は体力と強い精神力が必須条件
つい先日、ニセイチャロマップ林道大函ゲートで門前払いを喰らった北大雪の屏風岳。早速、そのリベンジの機会がやってきた。メンバーは前回と同様、Oginoさんと谷本さんだ。関係部署に問い合わせたところ、残念ながら、林道は法面工事のため一般車の入林は禁止しているということだった。今回の沢行、早立ちして5キロのウォームアップからスタートすることとなった。大函からニセイチャロマップ川沿いの林道をおよそ75分、入渓点のニセイチャロマップ第一川出合に到着する。
最初は険悪な沢 沢行はここからが本番で、先ずは堰を丸太の助けを借りて右岸から越える。直ぐに3MほどのF1が現れ、その奥に2個目の堰である。右岸を巻いて上がるが、このあたりは函状地形であり、暗いこともあり険悪な沢というイメージである。堰建設も相当の難工事だったに違いない。「険悪」という印象は、次のF2(10M)で決定的となる。右岸を高巻くが、巻き道は思ったほど明瞭ではない。北大雪では比較的メジャーな沢だが、今季はあまり人が入っていないようだ。最初から消耗する沢に少しビビリるが、F2を過ぎると渓相は一転して、平坦で優しい川原歩きとなる。Co900付近で川床が黒味を帯びた岩盤に変わると、沢は右に折れてそこにF3(20M)である。高さ、滝幅、水量共にある立派な滝である。直下右岸の垂直な岩壁もあり、ロケーションは中々いい。ここは順層で左岸水際を快適に上がる。沢は再び穏やかさを取り戻し、川原も開けてくると、前方には目指す屏風岳が見えてくる。2人の強き岳人を得て、今日こそはあの頂に立てると思うと思わず笑みがこぼれる。
流木のデブリ帯 930二股は左股に入るが、出合付近は流木が詰り流れは細い。Oginoさんによると、流れが出ているだけまだましで、前回はそれもなく、素通りしてしまいそうな状況だったらしい。確かに顕著な沢形ともいえず、中間尾根の張り出しや右股沢左岸の崖地形などに注意しなければ分かりにくいところではある。この沢の数少ないブタ要素は1050二股までだろう。とにかく、沢は流木で覆われ、ブッシュも煩いのである。先を行く2人にルートを切り開いてもらえるからまだいいが、単独なら肉体的には勿論、精神的にも滅入るところである。木の枝で目尻を突いたが、腫れただけで済んだのはラッキーだった。1050二股は右・直登沢に入る。ここからは流木もなく、灌木のトンネルを上がる。強い日射しをシャットアウトしてくれるので沢中はヒンヤリとした感じすらする。Co1200を過ぎると2M〜3Mの小滝が現れ、水飛沫を浴びながら直登していくと直ぐに滝(7M)でここは右岸を巻く。Co1265で一息入れたのち遡行を再開すると、Co1325で20M2段でここは左岸を巻く。Co1400過ぎの15M2段では、私は左岸を巻き、2人は右岸を巻く。
美しい源頭風景 ここを越えると今度は滑が現れ、1460二股付近まで続く。1460二股を右に入ると流れはグーンと細くなり、周囲はキンバイソウの花畑と化す。その先に目を移すとピーク近くの稜線が見え、雲ひとつない青い空が広がっている。背後の流れの奥には、大雪の山々が折り重なるように浮かび上がる。これほど雰囲気の良い源頭風景は久々である。花畑に身をうずめ暫しくつろぐ。沢屋達の表情が満足感と安堵に包まれている。だが、次第に増す傾斜で登高にも厳しさが加わる。基礎的な体力で劣る私には苦しいシーンだ。Co1550あたりで水を確保すると、その直ぐ上で水流が消失する。いつの間にか周囲は花畑から笹藪へと変わる。こうなるとスパイク付ノンスリップ靴の出番である。胸までもある笹原を力任せに上がっていくが、疲れた身体には辛い藪漕ぎである。それに、ノンスリップ靴がしっくりこないのもある。靴底スパイクがフラットに斜面に接地すればいいのだが、どうしても前後左右に傾いてしまう。そうすると、足首や足裏に痛みが出るのだ。スリップは防げるが痛みに我慢できず、稜線前でそれを脱ぐ。
トラウマ払拭を 荒地や背丈の低い灌木帯に植生が変わると頂稜は近い。一列に並ぶハイマツ帯を抜け出すと頂上直下西の鞍部で、Oginoさんと谷本さんが待っていてくれる。北から西へかけての展望が大きく広がり、爽やかな風が吹き抜ける。頂上は指呼の距離、稜線の北側の踏跡を、ニセイカウシュッペ山や平山などを眺めながら辿ること5分で待望の頂上に立つ。今年4月、残雪を利して南西尾根から上がっているので、2回目のピークだが、念願の沢からの登頂だけに嬉しさも一入である。考えてみると、5年越しの悲願成就であった。Oginoさんと谷本さんにとっても思い出多い山で、登ると必ず「何かある」そうなのだ。苦い経験なども話してくれるが、今日こそは何事もなく下山し、トラウマを払拭したいという。ランチをとりながら、360度の大眺望を満喫する。残雪期に縦走した武利岳と武華山を真西から見ることになるが、その長さと起伏は意外なほど大きく感じたものである。
緊張感ある下降 復路はピークから100Mほど東に移動し南東面沢を下る。この沢は直線的な形状で、水平距離にして1キロほどだろうか、Co1200の出合付近をはっきり望むことが出来る。ピークとの標高差は約600M。平均斜度は35度近くにもなり、Co1420二股までの傾斜は更にきつい。笹やブッシュに掴まりながら超スローペースで下るが、足元が見えず浮き石も多い。何度も尻滑りを強いられる。最後から行くので落石にも注意が必要で、緊張した下降となる。1420二股は左岸にトラバースし、やや傾斜の緩んだところから沢身に戻る。傾斜がきつくてとても直接は降りられない。この二股、右がピーク直登沢だが沢形は小さく川床も高いので上がってきても気がつかないかもしれない。最後はピークから南に派生する尾根にぶつかる左沢の方が明瞭で、ついついこちらを選択したくなるはずである。どちらの沢も登りには使いたくないと思う。1420二股から下はガレぽいが、細々とした水流もあり下降は楽である。1200二股の出合まで滝も滑も何も出てこず、下降沢としてはうってつけである。
彼等の世界実感 先を行く谷本さんが「そこに羆がいましたよ」という。左岸のブッシュの倒れ方が気になっていたがやはりいたのだ。慌てて右岸の急斜面を上がっていったという。あらためて、ここは彼らの世界だと思う。ピークから90分かけて1200二股に降り立ちホッとするも、ここから930二股までも簡単な川原歩きとはならなかった。二股の直ぐ下流には7Mほどの滝が連続し右岸を巻いて降りる。そこから少し下ったところにも8Mほどの滝が出てきて、気を抜く暇がない。数個の小滝を下り、Co1070付近では黒い滑が断続的に続く。左岸、右岸のブッシュや木の枝を支えに降りる。高さのない2段滝を過ぎるとほどなく930二股で、ようやく一息つく。ここからは、遡行時のルートが頭にあるのでほとんど考える必要はない。大滝(F3)こそ左岸の巻き道を使ったが、F2、F1ともに忠実に往路を辿り高巻く。出合付近の堰を右から回り込み降りて行くと、そこは見覚えのあるニセイチャロマップ林道であった。
山谷的評価は‥ 九滝の沢の登下降に要した時間はトータル10時間30分、特別難しいというわけではないが、体力と精神力が必要なタフな沢という印象である。今回も単独ならかなりの苦戦を強いられたに違いない。若くて強いOginoさんと谷本さんが辛酸をなめたというのも、何となく頷ける屏風の沢旅であった。2人に感謝し、沢行を反芻しながらクールダウンよろしく1時間少々の林道歩きで大函パーキングに凱旋する。Oginoさんも谷本さんもトラウマを払拭できたに違いない。
さて、九滝の沢の難易度だが、「山谷」的評価をするとすれば、「!*」相当が妥当だと思う。ただ、例えば、南日高の同グレードの楽古岳コイボクシュメナシュンベツ川北西面直登沢との比較では、明らかにこちら(九滝の沢)の方が変化に富み、ハードな沢行を強いられるだろう。
■山行年月
2009.08.09(日)
■天気
快晴
■同行者
Oginoさん、谷本さん
■山行形態
沢登り
■コース:往路/帰路
九滝沢南面直登沢
九滝沢南東面直登沢
F1 F2
F3直下を遡る F3大滝
F3落口から 屏風岳
直登沢の滝@ 直登沢の滝A
滑と背後の山並 沢から稜線
源頭の花畑 三角点標識
ニセイカウシ 武利岳と武華山
表大雪 下降沢出合方向
本流の滑@ 本流の滑A
本流の滑B GPSトラック
★コースタイム
自宅午前3時00分出発
地点分岐等 時間
九滝の沢出合 6:15
Co930二股 7:40
Co1050二股 8:15
Co1460二股 10:00
屏風岳 11:50
所要時間 5:35
屏風岳 12:45
Co1200二股 14:15
Co930二股 15:35
九滝の沢出合 16:45
所要時間 4:00
自宅午後8時15分到着