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200.ピロロ岳(南部日高/1269.3M)
難易度も楽しさも申し分なし 解放感満点の南東面直登沢に遊ぶ
南日高の山といえば、神威岳やピリカヌプリから十勝岳、楽古岳あたりまでをイメージしがちだが、楽古岳以南にも山並みはしっかり続いている。この山域では、小楽古岳(07年7月南面直登沢)と広尾岳(04年11月)に上がっているが、その時の印象が、中々どうして豊かな山魁というものであった。今回、谷本さんのお誘いを受け、ピロロ岳南面直登沢に同行させていただいたが、その印象を更に強くしたものである。なお、ピロロ岳は通称名で、地形図にその名はない。三角点のある「1269.3」との表記があるだけの無名峰である。
ホイッスル紛失 前日、忠類道の駅で車中泊。ここは広くて綺麗で温泉もあるので、いつも車で賑わっている。早朝、谷本さんと合流し、国道236号を広尾方面へ向かう。登山口は、広尾の市街地から西広尾川沿いの林道を12キロほど走った林道終点で、広尾岳と同じである。5年もたつが、静子と一緒に長靴で西広尾川を渡ったことを思い出す。そそくさと準備し6時前にスタートする。暫くは、西広尾川左岸の造材道跡を行く。それはブッシュ類に覆われ、増水で寸断されているものの川の中を行くよりは速い。340二股で進行方向は西から南にかわるが、直後の背丈を超える笹藪を通過中にホイッスルをなくしてしまう。いい音がでていたのにと、少し悔やむ。造材道跡は次第に判然としなくなり、川の右岸と左岸を行ったり来たりしながら進んでいくと、広い川原の
Co450三股である。地形図では三股だが、実際は二股のように見える。ここはやや水量の少ない右に入る。谷本さん曰く、「労山の記録ではここで泳いだとの記録があるが、そんな場所ないですね」と。確かに、泳げる場所はなさそうだ。大水などで流れが変わったのかもしれない。
何かある屈曲点 右沢に入ると直ぐに岩盤が現れ、Co500付近で長さ70〜80メートルの滑に出会う。鮮やかな苔の緑と流れの白が見事なコントラストをなしている。滑を過ぎると6メートルほどの滝で、2条の流れの中間部を直登する。滝上は小規模な樋状の流れで、ここは左岸の笹を頼りに突破する。再び滑があり、可愛らしいF2(3m)を越えると550二股である。この二股は、右沢の流れがブッシュ類に覆われているので、うっかりすると見過ごすかもしれない。水量は2対1で目指す左沢が多い。左沢に入り小滝を2個ほど越えるとCo620二股で、ここを右に入る。左は、ピロロ岳南コルに突き上げる沢で、水量も多く遡行意欲をそそられる。直ぐに雪渓が現れるが、両岸に残っているだけなので、中を行く。漂う冷気は自然のクーラーである。Co690付近で沢は右に屈曲する。振り返ると、北面に深い沢筋を持つ広尾岳で楽古に劣らない端正な山容である。地形図からも何かありそうだと感じていたが、やはりあった。幅広の20メートル2段のお出ましである。どちらも右岸を灌木や笹を頼りに水際を直登する。滝上で二股となっており、進むべき右沢は3メートル滝で、一旦、左沢に入り、そこから藪を乗越し右沢に戻る。ここでようやく一息つく。
コンパスと踏跡 それにしても、この南東面沢は開けていて明るく気持のよい沢である。Co780で5メートルトイ状、2メートル小滝を越えるとCo830二股で、左に入る。次のCo900二股も左に入ると、ほどなく大きな雪渓にぶつかる。水滴は垂れているが、強度はありそうなので下を行く。早足で30メートルほどのトンネルを抜け出す。Co950二股は水量の多い右股に入るのだが、30メートル以上はありそうな大滝が立ちはだかる。右岸の草付から灌木帯を巻きながら上がる。よく見ると2段滝だが、高度感満点である。ここを越えると水流も徐々に細くなってきて、地形図に現れない小さな二股に出くわす。都度、高度計とコンパスで進むべき沢を選んでいく。よく見ると、ピンクのテープがぶら下がっている。Co980は左、Co1050は右と入り、Co1100二股では水流のない右を選ぶ。ここで、谷本さんが水を確保する。暫くは涸沢登高だが、小さな沢は次第に笹に覆われだす。沢形が消失するcO1140付近から完璧な根曲竹の急斜面となる。背丈を超える竹藪なので、頼りになるのは僅かな踏跡とコンパスだけである。
残雪で生き返る 稜線直下に至り竹藪の中に小さな雪渓を見る。茹だるような暑さの中、雪表面の汚れを取り除き、ザラメ状の白い雪を顔に頭に塗りたくる。2人して「生き返る!」と叫んでいたことは言うまでもない。ノンスリップ靴の谷本さんが切り開いてくれた竹藪を必死に上がっていく。そこを抜け出すとハイマツが僅かに顔を出し、頂上が近いことを物語る。先を上がる谷本さんから「稜線ですよ」との声がかかる。いつものことだが、この瞬間がどれほど嬉しいか。少し遅れて稜線に飛び出すと、360度の大展望が広がる。北には楽古岳やトヨニ岳、ピリカヌプリが、南には広尾岳や名も無き1000メートル前後の山々が連なる。やはり、豊かな山魁である。西に遠望できるピンネシリの山魁も大きく見える。ハイマツの枝に目印のピンクテープを付け、微かな踏跡をを北に辿ること2分で三角点のある頂上だった。贅沢なランチタイムをとりながら、周囲の沢を観察する。楽古岳の南東面直登沢、小楽古岳の南面直登沢、広尾岳の北面直登沢も魅力的だ。今シーズン中に、再度、足を運んで見たい山域である。
30m超の懸垂下降 下降は、往路をそのまま戻ることにする。下降ポイントでコンパスをセットし下り始めるが、往路の踏跡など分かるはずもなく、ひたすらコンパスの指示に従う。やがて、ピタリ雪渓に辿りつく。コンパスの精度恐るべしである。それとも私の山カンか‥(笑)。950二股の大滝は、2人のロープを足して(約70M)一気に懸垂で降りる。ダブルのロープ末端の余裕が1メートルほどしかなかったので、この滝はやはり30メートルを超える大物だった。直下、雪のトンネルを潜り抜け、屈曲点付近の20メートル2段滝は2度の懸垂下降で処理。550二股直下の滝では、左岸の岩清水の雰囲気が素晴らしく、2人して、思わず滝行となった次第である。勿論、全身ずぶ濡れで、これ以上のクールダウンはないだろう。夏道登山では絶対にあり得ない沢登りならではの楽しみである。450三股まで降るともう緊張するシーンはない。往路、笹藪で失くしたホイッスルを谷本さんに見つけてもらうと340二股で、そこから15分で登山口だった。
記念の山行記に 南日高は積雪量も北部や中部に比べると少なく、南に面する沢などは早い時期から遡行できる。その意味では、本格的な沢登りシーズン前の端境期の沢行に適した山域との印象が強く、「楽しめる」との期待感は正直希薄であった。だが、この沢に入ってみて、認識を一新することになってしまった。面白さが凝縮した野塚岳南面直登沢よりは、難易度も楽しさも上である。私の中では、確実に再訪すべき沢の一本となった。誘っていただいた谷本さんに感謝である。
気がつけば、山行記も200本目を数えることとなった。だからと言って、200座登頂したかといえば答えは否である。コンセプトは、「山日記」であり、「感想文」であるから、1座に複数の山行記は当たり前である。そして、山(沢)は登るたびに表情を変えてくれる。全く同じなどということはあり得ない。そういった微妙な違い(変化)を表現してきたつもりだが、いつも何かを忘れているような気がする。感性を研ぎ澄まし、山の魅力を発見、発信したいものである。 
■山行年月
2009.06.28(日)
■天気
快晴
■同行者
谷本さん
■山行形態
沢登り
■コース:往路/帰路
西広尾川南東面直登沢
Co500滑 Co5102条滝
開けた沢風景 屈曲点滝@
屈曲点滝A Co780トイ状滝
Co950大滝@ Co950大滝A
楽古と小楽古 ピンネシリ山魁
懸垂中の私 懸垂中の谷本さん
滝行中の私 GPSトラック
★コースタイム
前夜 忠類道の駅車中泊
地点分岐等 時間
登山口 5:55
450三股 6:40
950二股 8:50
ピロロ岳 10:25
所要時間 4:30
ピロロ岳 11:40
950二股 12:35
450三股 14:10
登山口 14:50
所要時間 3:10
自宅午後5時55分到着