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 Vol.21            エリザベス:ゴールデン・エイジ(2007年/イギリス/東宝東和114分)
■鑑賞日 2008.02.20(水) ■劇場名 シネマ太陽帯広
■作品データ
■監督 シェカール・カプール
■キャスト エリザベス女王一世/ケイト・ブランシェット、フランシス/ジェフリー・ラッシュ、ウォルター・ローリー/クライブ・オーウェン、ベス・スロックモートン/アビー・コーニッシュ、スコットランド女王メアリー/サマンサ・モートン
■ジャンル ドラマ(歴史)
■あらすじ 数奇な運命を背負いながらも25歳でイングランド女王に即位したエリザベス。彼女は国家と添い遂げ、あらゆるる陰謀や策略に抵抗するために、神の御前で女の幸せを捨てヴァージン・クイーンになることを誓う。1587年、世界列強のスペインは虎視眈々とイングランドへの攻撃のチャンスをうかがい、一方では従妹のスコットランド女王メアリーが王位を狙っていた。プロテスタントとカトリックの確執、不安と憎悪が渦巻く中、白昼堂々とエリザベス暗殺未遂事件が起こる。この陰謀を画策したメアリーが処刑されたのを機に、スペイン国王フェリペ二世は1万人規模の大艦隊を組織し、イングランドに攻め入る。圧倒的に劣勢な状況の中、エリザベスは果敢に立ち上がる。彼女はイングランドを勝利に導くことが出来るのか‥。
■コメント

1998年に製作された前作「エリザベス」では、女王即位から絶対権力者として君臨するまでを描いていたが、本作では、それ以降の輝けるエリザベス時代を描いている監督シェカール・カプール、脚本マイケル・ハースト、主演ケイト・ブランシェットなど、主要キャスト・スタッフが前作に続いて名を連ねている。前作が、緊迫した隣国との関係や宗教的対立を背景に様々な陰謀、そして、愛が圧倒的なスケール感で描かれていただけに、正直、かなり苦しいのでは、との予見を抱きつつスクリーンと向き合った。
映画はエリザベスが抱える内憂外患が描かれていく。確固たる地位を築いたはずのエリザベスだが、依然として妾腹女とかバージンクイーンとか揶揄は絶えず、幽閉中のスコットランド女王メアリーを利用した強国スペインとカトリック派の陰謀は顕在化していく。中世ヨーロッパの混乱や謀略、血生臭、その中で蠢く人間達などが前作同様よく描かれていた。ただ、敵味方の区別がつかなかったり、女王暗殺未遂事件が起こるが、なぜ空砲だったのかとか、長官ウォルシンガムの暗躍ぶりは説明不足といった印象を拭えない。114分という時間枠では無理からぬことだが‥。鍵のひとつがやはり宗教の存在の大きさである。仏教を巡る争いが皆無とはいわないが、比較的穏健な部類だろう。しかし、キリスト教は他宗教を駆逐し、争いをもたらしてきた経緯がある。急進的な一面があるような気がする。対立するカトリック派を一掃するよう進言する家臣達に対し「罪は罰するが心の中で考えていることまで罰しはしない」と言い切るエリザベスは女王たるに相応しい傑出した存在だったのだと思う。スペイン大使を国外退去にし、スペインとの闘いを決意するが、勝算はなく妙案もない。占師の言葉に一縷の望みをかける弱いエリザベスだが、占師の言葉でリーダーとして目覚める。そして、迫るスペイン大艦隊を前に兵士達の士気を鼓舞する。「天国で再会か、あるいはこの地で勝利の美酒を!」と。鎧に身を固め長い髪を振り乱してアジるのである。言葉が意味を持ち力となった瞬間である。リーダーたるもの空虚な言葉遊びはすべきではないのだ。願いが天に通じたか、突然風向きが変り、圧倒的に優勢だったスペインの無敵艦隊が風上を利したイングランド軍の火船攻撃の前に敗退し、イングランドは危機を脱する。自然の力で勝つとは、蒙古襲来の時の「神風」や「潮の流れ」が勝敗を決した壇ノ浦の戦いを彷彿させずにはおかない。
しかし、この映画の軸となるのは、エリザベスの愛に他ならない。
王位に就き国家との結婚を誓ったエリザベスだが、女の幸せをあきらめきれず悶々とするのだ。遠くアメリカに夢を馳せるウォルター・ローリーに想いを寄せるも、それはあくまで控えめで、キスするだけで終わってしまう。何とも純情なのだ。女王の威光でベッドに呼び入れてしまえばいいのにと思うのは下衆の浅はかさと言うべきか。エリザベスの想いを実現させるのが侍女ベスである。彼女は勿論女王のお気に入りで、女王の指示でローリーに近づき彼を愛し子供まで授かる。事実を知った女王は激怒するが、最後はその子を我子のように抱き祝福を与える。べスに自分を重ね合わせたに違いない。ベスとともに大きな役割を果たすのが長官ウォルシンガム。さしずめ官房長官といった役どころだが、感情に流されず、国民のために何をなすべきか、冷静に女王に説く。女王にこの家臣ありなのである。衣装も豪華絢爛だが、女王が被るカツラが色々出てきて面白い。例えば、アフロタイプとかオニオンタイプと言った感じで、公の場で地毛を見せることはない。オシャレ感覚というよりは威厳を高めるのが目的なのかもしれない。怖いのは、大きな鉈でクビを切るシーン。首が納まるだけの質素な台にメアリー女王の首が乗り大鉈が振り下ろされる。なんとも残酷。
エリザベス役のケイト・ブランシェットにも触れておかなければならない。女王としての威厳をたたえつつも、信念と愛情の狭間で葛藤し揺れるエリザベスを見事に演じていたと思う。感情のない能面のような顔は印象的で、この役は彼女をおいて他にはいない。アカデミー賞ノミネートも当然だろう、映画の創りもしっかりしており、重厚感だけでなく、スリリングなシーンもある。肯定的な評価としたい。

 Vol.22            歓喜の歌(2007年/日本/シネカノン112分)
■鑑賞日 2008.02.27(水) ■劇場名 CINEとかちプリンス
■作品データ
■監督 松岡錠司
■キャスト 飯塚 正/小林 薫、加藤俊輔/伊藤淳史、松尾みすず/由紀さおり、飯塚さえ子/浅田美代子、五十嵐純子/安田成美、北澤直樹/田中哲司、大田登紀子/藤田弓子、塚田真由美/根岸季衣、五十嵐恒夫/光石 研
■ジャンル ドラマ(コメディ)
■あらすじ 誰もが忙しく立ち働く12月30日。小さな町を揺るがす大事件は、1本の電話から始まった。「コンサートご予約の確認ですね。『みたま町コーラスガールズ』さん、明日の夜7時から‥、大丈夫ですよ、お待ちしてます」。調子よく応えるのは、文化会館の主任・飯塚。しかしその直後には、まったく大丈夫じゃなかったことが発覚する。「みたま町コーラスガールズ」と「みたまレディースコーラス」。よく似たグループ名を取り違えてしまったのだ。セレブな本格派のレディースが「うちの合唱団にとって明日は創立20周年の記念コンサート。今さら変更なんてありえません」と言えば、結成間もない庶民派のガールズも「うちだって明日を楽しみに、家事やパートの都合を何とか合わせながら頑張ってきたんです」と、一歩も譲らない。安定の上に胡坐をかき、仕事も家庭もその場凌ぎでこなしてきた主任は、合唱にかける彼女らの情熱を前に右往左往するばかり。さらには夫婦間の危機から、飲み屋のお勘定まで、日頃のツケが一気に回って来る。大晦日に起きた一大ハプニング。果たして主任の運命は。そして、懸命に練習してきたママさん達の歌声は‥。
■コメント

この映画は、仕事への意欲も喪失し、プライベートでも問題を抱えるダメ公務員が、ダブルブッキングという事件を通して再生していくというストーリーである。原作が立川志の輔の新作落語というのだから驚きである。落語とシネマのコラボレートや如何に‥。
緊張感が欠如する職場で当然のように起こるミス。この場合は、大晦日の2つのコーラスグループの二重受付で、非は明らかだが、当事者の飯塚主任はどこか他人事で無責任極まりない。小林薫がこのあたりを実に良く演じていた。元公務員の私としては、親方日の丸とはいえ今時これはないだろう、と思いつつも腹立たしくなったくらいである。同時に、背景にある「官=悪」というイメージが窺えて悲しくなってしまった。結局、問題解決もコーラスグループが歌声で決着をつけるのだが、潔くていいし、歌声が対立するコーラスグループを融和させるというのも微笑ましい。勿論、観ている私の心も癒された感じである。死の床に伏す幼子を前に歌う「竹田の子守唄」には思わず涙が。また、コーラスグループに参加する一人ひとりの抱える苦悩や置かれている環境が丁寧に描かれ、個々のコーラスにかける想いが伝わってくる。ふと、人間が生きていくうえでの「張り合い」とか「生きがい」について考えさせられてしまった。時間に流されてはいけない。大事なのは「チェンジ・オブ・ペース」なんだと。クライマックスの合唱シーンは流石の迫力だったが、エンディングにはやや不満が残る。「餃子」に触発されてヤル気を取り戻し、見事に公演を成功に導く飯塚主任。公演終了後、彼のために合唱するのだが、映画にその場面はない。色々なエピソードがてんこ盛りの映画で飽きないのだが、ラストの本来描くべきシーンが欠けているのは何とも皮肉である。この映画の欠点もここにあるような気がする。つまり、豊富な内容が、逆に焦点をぼかし映画を散漫なものにしてしまったと。例えば、原作者の立川志の輔本人も落語家として登場し、落語好きのタクシー運転手の話を聞くシーンがあるが、あれなど不要である。それから、市長の大事な金魚で危機を脱する発想はいかにも落語的それで、ふざけた展開ではある。
小林薫以外のキャストでは、天真爛漫で笑顔が素敵な安田成美、上品なお祖母ちゃん役の渡辺美佐子、意地悪そうで実は優しい由紀さおり、シリアスな演技が巧かった浅田美代子などが印象的であった。
 さて、映画の評価となると、正直なところ高得点はあげられそうにない。この映画の予告編を観た時に、何処となく「フラガール」のような期待感を抱いてしまった。確かに、ほのぼのとした音楽コメディなのだが、ただそれだけという印象なのだ。こういう映画があっても勿論いいのだが、やはり、「二兎を追うものは一兎も得ず」なのだと思う。