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 Vol.5             幸せのレシピ(2007年/アメリカ/104分)
■鑑賞日 2007.10.01(月) ■劇場名 シネマ太陽帯広
■作品データ
■監督 スコット・ヒックス
■キャスト ケイト/キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ニック/アーロン・エッカート、ゾーイ/アビゲイル・ブレスリン
■ジャンル ラブ・コメディ
■あらすじ  ニューヨークマンハッタンの人気レストランで料理長を務めるケイトは完全主義者。仕事に対する情熱は人一倍。厨房では料理人たちを取り仕切り、目が回るような忙しさの中、正確に、完璧に、すべての料理を仕上げていく。積み重ねてきたキャリア、努力して手に入れた自信と賞賛、やりがいのある仕事、築き上げた自分の居場所。順風満帆に見えたケイトの生活だったが、姉が突然の事故死。姪のゾーイを引き取ることになった。心を開かないゾーイ。慣れない子育てに悪戦苦闘するケイト。一方、仕事でも生意気な副料理長ニックが現れケイトは内心穏やかではない。だが、ゾーイがニックに心を開いたことをキッカケにふたりの関係は恋仲へと発展する…。
■コメント

 この映画はドイツ映画「マーサの幸せレシピ」をハリウッドがリメイクしたものだ。「マーサ‥」はNHKBSで何気なく見ていて、途中からグングン引きこまれた秀作だけに、ハリウッド版にも期待が高まったのは言うまでもない。
 この映画、ストーリーはとても地味だが、とにかく、心が温まる癒される作品に仕上がっている。ケイト役を演じるのはキャサリン・ゼタ=ジョーンズ。超一流シェフとしての地位と名声を手にするものの何か満たされない心。滲み出る孤独感と疲労感。そんな役どころを上手く演じていたように思う。デビュー当時は少しバタ臭い感じもしたが、ターミナル辺りから気品と美しさが加わった。映画の中でも、一度厨房に入るとキリリと引き締まったシェフ姿はとても魅力的で、こんなシェフならどんな食材も超美味に変身するような気がしてしまう。お客からのクレームにも一切応じず、逆に追い出してしまう辺りは小気味いいくらいだ。スタイルもよく帽子とマフラーが似合う。少し出来すぎの感は否めないが。
大スクリーンで見る料理はカラフルで美しく、さながら芸術品を見るような思いがしたし、パバロッティの「誰も寝てはならぬ」他、数多くのオペラが厨房に流れるが、そのゆったりとした旋律は料理とのマッチングも素晴らしい。最近、オペラを聴くようになったこともあり、実に心地よかった。オペラとともに厨房に現れたニック。お調子者で軽い男というイメージだが、徐々に良い男に変身していく。特に、ゾーイの側で無造作にスパゲティを食べることで彼女の口(心)を開くキッカケを作るシーンは中いい。母を失い心を閉ざすゾーイが厨房で少しずつ変っていく。06年アカデミー賞の助演女優賞にノミネートされた天才子役アビゲイル・ブレスリンが心憎いほどに演じていた。母のお墓の前で彼女が口にする「母を忘れそう」という台詞にはグッとくるものがあった。ケイトの、そしてニックの努力が報われた瞬間でもあった。
 こんな映画の終わり方としてはハッピーエンドしかない訳で、思わず拍手してしまいそうになるが、ドイツ版とはエンディングのみが違っている。そこまでは、マンハッタンという舞台が異なるだけで、設定やストーリー、台詞のはてまでほとんど同じだ。それだけ脚本が良く出来ている証拠でもあるが、ドイツ版は、父親の元に引き取られていったリナ(ゾーイ)をマーサ(ケイト)がマリオ(ニック)の助けを借りて再び引き取るというストーリーだ。私としては、ドイツ版の方がしっくりくる様な気がする。マーサが映画の冒頭から捜し求めていた「何か」こそ「リナとともに生きる」ことだったのだから。
 女性の社会進出が進み企業や組織のトップに立つことが珍しくない時代になった。男に真似の出来ない犠牲的精神と努力をはらいようやく手にしたポスト。満たされて幸せのはずが何か欠けている。多くの女性が抱く空しさなのかもしれない。そんな女性たちを応援する映画でもあるようだ。

 Vol.6             ボルベール〈帰郷〉 (2006年/スペイン/120分)
■鑑賞日 2007.10.06(土) ■劇場名 CINEとかちプリンス劇場
■作品データ
■監督 ペドロ・アルモドバル
■キャスト ライムンダ/ベネロペ・クルス、ソーレ/ ローラ・ドゥエニャス、バウラ/ヨアナ・コボ、イレーネ/カルメン・マウラ
■ジャンル ヒューマンドラマ
■あらすじ

 風の吹きすさぶラ・マンチャの小さな村の墓場で、3年半前の火事でともに命を失った両親の墓所の手入れをする姉妹ライムンダとソレ、そしてライムンダの娘のパウラ。普段はマドリッドに暮らす3人だが、墓所の手入れはラ・マンチャに古くから伝わる伝統なので、定期的に日帰りでやってくるのだ。そしてライムンダには、村で独り暮らしをしている叔母を説得してマドリッドに引っ越させるという第二の目的があった。老齢で身よりも無い叔母を心配するライムンダの善意から出た行動だったが、叔母は頑として聞き入れず、一行は仕方なくマドリッドへ引き返す。しかし、ライムンダとパウラが帰宅してみると夫のパコの様子がおかしい。問いつめるライムンダに、パコは仕事を首になったと告げる。そして事件は翌日に起こった。勤務先から電話をかけても全くつながらないので不審に思ったレイムンダが通勤バスから降りると、バス停で雨に打たれながら待っている娘の姿があった。一方そのころ、ソレの元には叔母の急死の報が届く。電話をかけてきた叔母の友人アグスティーナによると、墓所の契約や支払いなどの手続きはすべて済んでおり、何も心配する事はないという。あまりにも手際がいいので少し不審に思うソレだったが、とりあえずライムンダの家に電話し、皆でラ・マンチャ行きの段取りを決めようとする。しかし信じられない事に、ライムンダの口からは「どうしても行けない」という返事が。何かがおかしい。そう思いつつもひとりで出発し、亡き叔母の家に到着したソレは、信じられない光景を目の当たりにするのだった・・

■コメント  カンヌ映画祭で最優秀脚本賞と最優秀女優賞を受賞するなど、「各映画賞を席巻する珠玉のヒューマンドラマ」というふれこみに引かれ観にいった映画である。
 映画は、沢山の女性達が一心不乱に墓掃除するシーンから始まるが、ある種異様な感じがする。女は男より長生きするので生前に自分の墓を買い手入れするのだという。長生きする女性=逞しく強い女性を象徴するかのような光景であり、映画の内容そのものだったような気がする。
スペインという土地柄のせいなのだろうか。とにかく、アバウトなのである。登場する男といえば、ライムンダの夫パコくらいだが、仕事をクビになり娘に手を出そうとして逆に殺されてしまう。実はパコは義父で、本当の父親はライムンダの‥。つまり、男はとんでもないろくでなしなのである。女が強く逞しく生きなければならない理由があるのだ。ライムンダは娘が殺した夫パコを平然と処理したり、隣のレストランを勝手に開いたりもする。全ては生きるためであり倫理観を持ち出す余地はない。女達の連帯感もまた強いものがある。何も聴かずに黙々と死体処理を手伝う隣人達にも唖然としてしまうし、死んだはずの母がこっそり叔母の世話をしていたり、死期まじかの隣人優しく見守ったりする。勿論、そこには濃密な血のつながりがあるのだが、村社会でも成り立つ空気があるような気がしてならない。
感心させられるのは、おぞましい過去を背負いながらも女達は実に淡々としているということで、ライムンダが昔を懐かしむようにレストランで歌を歌ったりするシーンは切ない。
それと、やはりベネロペ・クルスの存在感だろうか。今までは、線の細い希薄なイメージの女優さんだったが、この映画の中では実に堂々たる演技である。色彩豊かな衣装を身に纏ったその姿はどことなくソフィア・ローレンを髣髴とさせるような気がしたものだ。